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光触媒水分解における電荷輸送過程の可視化に成功 --電荷の動きの違いで反応領域を抽出

2021年06月17日

ポイント

●太陽光による水分解が可能な光触媒における反応活性サイトを特定できる顕微分析手法を開発した。
●顕微画像の時間変化から光触媒反応の素反応である電荷の応答をとらえ、情報科学的な画像解析を行うことで、局所的な電荷輸送過程を可視化できることを明らかにした。
●大面積・自動測定による5年後の実用化を目指す。

 中央大学 片山 建二 教授、海老原 誠 大学院生(研究当時)は、東京大学 堂免 一成 特別教授(信州大学 特別特任教授併任)、TOTO株式会社 徳留 弘優 主席研究員らとの共同研究で、光触媒水分解における局所的な電荷輸送過程を可視化する技術を開発した。本技術は、片山教授らが開発した高時間分解能の顕微鏡データの情報科学的処理手法がベースとなっており、水分解光触媒材料あるいはデバイスにおける性能の起源や課題を明らかにすることが期待できる。
 光触媒水分解は、太陽光エネルギーを利用して、水から水素や酸素を取り出すことのできる反応である。これにより得られるソーラー水素は次世代の再生可能エネルギーとして大いに期待されており、近年では大規模なパイロットプラントによる実証実験も進んでいる。本研究では、TOTO株式会社と東京大学により開発された大規模展開が容易な光触媒印刷シートにおける、光励起電荷の粒子膜内での輸送過程を可視化することに成功した。
 従来、光触媒による水素・酸素発生反応を引き起こす光生成電荷の観察は難しかった。片山教授らが開発した時間分解位相差顕微鏡では、反応にかかわる電荷の挙動を調べることができ、その挙動を情報科学的処理により区別することで、局所的な反応活性を見分けることが可能になった。
 今後、本技術を実用化が急速に進展している多くの水分解光触媒材料に適用することで、触媒活性を分析し、材料の最適化につながることが期待されるため、大面積測定・測定の自動化を進めることで、5年後の実用化を目指している。
 本研究成果は、2021年6月17日シュプリンガーネイチャー誌発行の科学誌「Nature Communications」のオンライン版で公開されます。

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【研究者】    片山 建二   中央大学理工学部 教授 (応用化学科)
               海老原 誠   中央大学理工学研究科 修了生(応用化学専攻)
【発表(雑誌・学会)】 
“Charge Carrier Mapping for Z-scheme Photocatalytic Water-Splitting Sheet via Categorization of Microscopic Time-resolved Image Sequences”
Springer Nature, Nature Communications, DOI: 10.1038/s41467-021-24061-4

【お問い合わせ先】 
<研究に関すること>
 片山 建二 (カタヤマケンジ) 
 中央大学理工学部 教授(応用化学科)
 E-mail: kkata◎kc.chuo-u.ac.jp (◎を@に換えて送信してください)

<広報に関すること>
 中央大学 研究支援室 
 E-mail: kkouhou-grp@g.chuo-u.ac.jp