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【学生の皆さんへ】2020年度前期・春学期を終えるにあたって

2020年08月06日

   2020年8月6日

学生の皆さんへ

                                                 中 央 大 学
                                              学 長       福 原 紀 彦
                                                                                                                      法学部長              猪 股 孝 史
                                                                                                                      経済学部長           山 﨑     朗
                                                                                                                      商学部長              渡 辺 岳 夫
                                                                                                                      理工学部長           樫 山 和 男
                                                                                                                      文学部長              宇佐美   毅
                                                                                                                      総合政策学部長     青 木 英 孝
                                                                                                                      国際経営学部長     河 合     久
                                                                                                                      国際情報学部長     平 野     晋


2020年度前期・春学期を終えるにあたって

はじめに

 暦も8月に入り、関東でもようやく梅雨が明けました。多摩キャンパスと市ヶ谷田町キャンパスでは前期・春学期試験期間も終わり、後楽園キャンパスの試験期間も残すところ少しとなりました。9月21日の後期・秋学期授業開始まで、例年と同じく、しかし確実に特別な夏季休業期間がやってきます。
 2020年度の学年暦・アカデミックカレンダーの執行にあたっては、学生の皆さんをはじめ、ご関係の皆様のご理解とご協力をいただいていることに、心から感謝しています。本年度の前期・春学期を終えるにあたり、また、夏季休業期間と後期・秋学期に向けて、学長と学部長一同より、ここに、メッセージをお届け致します。
 本年度は、昨年度末から続いて、新型コロナウイルス感染の拡大防止のために、大学のキャンパスの利用を制限せざるを得ない状況が続いています。皆さんの大学生としての学修、課外での様々な活動、それらを通じた貴重な交流の機会が、大きく制限されていることに、私たち教職員も、たいへん残念で悔しい思いで一杯です。
 私たちは、何よりもまず、皆さんの置かれている状況を理解することに努め、高等教育研究機関である大学の社会的責務を果たしつつ、皆さんの要望を実現するためにできる限りの努力を続けています。具体的には、第一に、すべての大学関係者の健康と安全を最優先にしていること、第二に、困難な状況にあっても、学生の皆さんが大学の教育課程を履修して単位を修得し、予定の修業年限で卒業ができるようにし、就職や進学、資格試験や国家試験に臨むことができるように努めていること、そして第三に、できる限り経済的負担を軽減するとともに、必要な修学環境の整備と就学支援を行っていることをお伝えしたく思います。

学生の皆さんの状況把握の取り組み

 私たちは、大学・学部への問合せフォーム、学生部のオピニオンカード、さらには学生相談室のホットライン・メールなどを通じて寄せられた学生の皆さんの意見や、父母連絡会を通じてお寄せいただいたご父母の皆さまのご意見のすべてを拝見し、皆さんのお気持ちを理解することに努めています。それらのご意見の多くは、「早くキャンパスに行きたい(通わせたい)」というものでした。
 1年生の皆さんが、それぞれに夢や希望をいだき、本学に入学された、まさにその春に新型コロナウイルス感染症が世界を覆いました。キャンパスでの学生生活を楽しみにしていた中、全く未知のオンライン授業を受講し、疑問点を共有する仲間との接点も得られずに不安を抱えている皆さんの状況が分かります。2年生以上の皆さんには、昨年までと同様の学生生活が送れない日々、焦燥に駆られている状況をみることができます。4年生以上については、進路への不安が大きいことも理解できます。
 そうした皆さんの置かれた状況に思いを致し、大学のキャンパスが利用できるように、安全確保と感染予防のための諸施設の点検を進め、「感染しない・感染させない」「万が一感染者が発生した場合には、サポートに努め、影響を最小限にとどめる」ように、様々な対策を準備しております。そのために、実に多くの関係者の方々のご理解とご協力をいただいていることに、この場を借りて、心から感謝致したいと思います。

学生の皆さんへの感謝

 本学は、4月22日からオンラインによる遠隔授業を開始し、皆さんの教育を受ける機会を最大限確保するべく努力しています。今年度の前期・春学期は、新型コロナウイルス感染症への対応をしながらの授業の実施を余儀なくされ、学生の皆さんにとってはもちろん、私たち教職員にとっても極めて厳しい期間となりました。学生の皆さんには、春爛漫の各キャンパスにおいて、新しい学びと出会いを心待ちにされていたところ、急遽オンライン授業の実施となり、試行錯誤や不安の中での手探りの学修にご不便をおかけした面もあったかと思います。
 また、学生の皆さんにとっての大学は、学びの場であることはもちろん、スポーツ・芸術・文化活動の場であり、生涯の友や師となるべき人々との交流を得て、広汎な社会性、高い倫理観、多様な価値観を身につけていく場でもあります。多くの学生が、そのような大学の役割と機能を深く理解し、キャンパスでの活動の重要性を指摘する意見を伝えてくれました。私たちは、そのことを本当に嬉しく、また誇りに思っています。こうした未曾有の事態下において、理想と事実の双方に立脚し、熱のある意見をしかし冷静に述べることのできる能力こそが、本学の建学の精神にいう「實地應用ノ素」に他ならないと、私たちは確信しています。私たちは、皆さんのこうした意見を踏まえ、本学がこれまで以上に、高等教育研究機関である大学としての社会的責任と機能を発揮できるよう、キャンパス機能の再開を一日でも早く実現すべく努力し続けて参りたいと思います。

後期・秋学期に向けて

 他方で、本学には全国47都道府県のすべてから、また海外の多くの国から、2万5千人を超える学生が集っています。本学は、そうした中で、学生の皆さん一人ひとり、教職員一人ひとりの安全に配慮すべき責務を負っています。とくに、今回の新型コロナウイルス感染症に関しては、大学生を含む若い世代を中心に、必ずしも症状が顕在化せず、無意識・無自覚のままウイルスの伝播者となりうることが指摘されています。本学は、学生教職員のみならず、そのご家族、とりわけ高齢者や健康疾患をお持ちの方への感染リスクを無視することはできません。
 そこで本学では、キャンパス内の人口密度低減、「3密」を回避する教室環境の整備、キャンパス内ソーシャル・ディスタンスの確保、登下校時における公共交通機関での「3密」の回避等について検討を続けています。この結果、学生の皆さんの安全を第一としながら、大学本来の機能を回復すべく、次のような方針を決定しました。
 まず、後期・秋学期の授業については、原則としてオンラインによる遠隔授業での実施を継続しつつ、一定の条件を満たす授業に限っては、対面授業をも実施します。私たちは、後期には、各キャンパスにおいて安全に学生の皆さんとお目にかかれるよう、夏季休業期間中も準備を行うほか、キャンパス機能の回復拡大に向けた努力を継続します。
 また、学生の皆さんが自主的に行う様々な活動を支援するために、遠隔会議授業システムWebexのホスト・アカウントを全学生に配布しました。これにより、皆さんは、従来のように教員がホストする授業に参加することに加えて、一人ひとりが主催者となって、友人と自主的なオンライン学習会を開催し、学生団体のオンライン活動を展開し、学内外に様々なネットワークを広げることができます。毎年10月末から11月はじめに開催される学園祭(白門祭)も、今年はオンラインで実施されます。
 全国でも、全学生にホスト・アカウントを配付している大学は決して多くありませんが、中央大学の誇る学生間のネットワークとコミュニケーションの力の維持発展を願い、学生一人ひとりが、このWeb会議システムによるミーティングを主催することができるよう措置致しました。ぜひ、このメリットを最大限に活用して、これからの時代に必要なスキルの修得にも努めてください。

Withコロナ/Afterコロナ時代に向けた歩みを皆さんとともに

 しかし、Withコロナの時代においては、大学の組織だけが努力をすれば、皆さんの安全が確保されるものではありません。本学のキャンパスが立地する東京都のみならず、日本全体でも、世界全体でも、現在なお感染者数が増えつつあり、本学だけがその影響を免れることはできません。そこで、重要となるのが、コミュニティを構成する一人ひとりの意識や行動様式です。マスク着用、手洗い、ソーシャル・ディスタンスの確保、日常生活や体温・体調の記録といった基本的な公衆衛生上の対策はもとより、感染が疑われる場合には、自分だけではなく家族や友人の安全と命を守るべく行動することも大切です。
 私たちは今、Withコロナ/Afterコロナという時代における、新しい生活様式と文化を生み出すべき重要な時期にいます。中央大学も、これらを踏まえた新しい大学のあり方を模索しています。ぜひ、学生の皆さんも私たちと共に、新しい中央大学の生活様式と文化を生み出す、その担い手になってください。学修であれスポーツ・芸術・文化活動であれ、ボランティア活動であれ、皆さんがこれから本学において真摯に取り組むことすべてが、Withコロナ/Afterコロナ時代における社会の一員として期待される役割を果たす、その第一歩となるはずです。私たちは、Withコロナ/Afterコロナ時代に向けて、皆さんとともに力強く歩みたいと思っています。

おわりに-私たちからのお願い

 さて、間もなく、前期・春学期オンライン授業に関する全学アンケートをお願いする予定です。オンライン授業を受講して感じたこと、後期・秋学期授業を迎えるにあたっての皆さんの意見を、ぜひお聞かせください。私たちは、その意見すべてに耳を傾け、できることから実現して、学生本位、スチューデント・ファーストの大学運営に努めて、皆さんの成長と発展を支え、皆さんとともに、人類の持続的可能性を支えてきた大学の存続を維持し、中央大学の伝統の維持と発展を図る決意です。
 前期・春学期を終え、夏季休業期間に入ります。どうぞ、この夏季休業期間についても、自分の命を守り、身の回りの人の命を守る行動を心がけてください。
 大学キャンパスの利用制限や行動指針等は、引き続き、社会状況を踏まえて、公式Webサイトを通じてお知らせしますので、適宜、確認を怠らないようにお願い致します。また、お困りのことがあれば、この間も大学の各種窓口に相談してください。
 学長・学部長一同、学生の皆さん全員が、健康と安全にこの夏を過ごされ、後期・秋学期開始の際には、オンラインで、またキャンパスで再会できることを願ってやみません。どうかくれぐれも健康に留意され、可能な環境を活用して研鑽に励まれるよう祈念致します。

 

学長からのメッセージ動画「中央大学学生の皆さんへ -前期・春学期授業を終えて-」はこちらから