留学生活は自分一人で生活し、全てを乗り越える経験の連続
「自分を信じる力」を得て「自分が一番の応援者」だと気づく
Loh Jinin(ロー ジンイン)さん
商学研究科 商学専攻 修士2年
マレーシアからの留学生
国際経営学部:2019年4月~2023年3月
商学研究科:2023年4月~2025年3月
[掲載日:2025年3月3日]
オープンキャンパスで見たシラバスに惹かれ国際経営学部へ
- 日本に留学を決めた理由は?
- 私が日本に留学した理由は、特別な「ご縁」と3つの大きな理由があります。
1つ目は、私の両親はかつて日本で留学をしており、彼らから日本の教育環境が素晴らしいと聞いていました。また、私は北海道で生まれたこともあり、日本にはどこか運命的なつながりを感じています。2つ目は、高校時代から経済やビジネスに興味を持ち、特に日本の経営や戦略などの素晴らしさを知りました。日本はアジアの中でもビジネスの先進国であり、そこで学ぶことが自分の未来に繋がると確信しました。3つ目は、自分自身を試し、成長したいという思いがありました。新しい環境で生活し、自分の力で乗り越える経験を通して、未知の領域に挑戦したいと思いました。 - 来日前に準備したことは?
- 留学準備では、資金の確保と語学学校への手続きが最初のステップでした。語学学校に申し込む際には、事前に学費を支払う必要があり、その後、語学学校からの許可書を基にマレーシアにある日本大使館で留学ビザを取得しました。また、日本語を少しでも学んでおこうと努力しましたが、実際に日本に来てからその大切さを痛感しました。準備は大変でしたが、一つひとつクリアするたびに日本での生活への期待が高まりました。
- 中央大学と国際経営学部を選んだ理由は?
- 中央大学を選んだ一番の理由は、グローバルマーケティングに興味があったからです。当時、国際経営学部は中央大学で新しく設立された学部であり、オープンキャンパスで見たシラバスが非常に魅力的でした。特に、グローバルな視点で最新のビジネスを学べる点が自分にピッタリだと感じ、中央大学を選びました。
学部時代に培ったプレゼンスキルは大学院と就活で役立つ
- 中央大学入学後、学部・学科での勉強で力を入れていたことは?
- ●学部時代はゼミや授業、そして自分自身の成長に力を注ぎました。
ゼミ活動… 国際経営学部の木村剛ゼミでは、戦略的経営とマーケティングを中心に学びました。特にプロジェクトベースの学習が多く、チームで議論しながら企業向けの戦略提案を作成するなど、実践的な経験が積めました。
授業内容… グローバルマーケティングの授業では、法律や多国籍企業に関する知識を学び、ビジネスの多面的な視点を養いました。プレゼンテーションが多い授業のおかげで、自分の意見を論理的に整理し発信する力も向上しました。プレゼンテーションスキルは、後の大学院と就活で活かすことができました。
自分自身の成長… 戦略的経営の学びを通じて、批判的思考や論理的思考が鍛えられたことで、問題を深く考え、自分の行動を振り返る習慣が身につきました。
●修士課程では、研究テーマとして「日本のフランチャイズ企業がどのようにハラール市場へ進出しているか」を取り上げることになりました。このテーマを通じて、流通論やマーケティング、統計分析などを学び、それぞれの知識がどのように関連し合っているかを深く理解することができました。特に、消費者行動論の授業で音楽が消費者行動に与える影響について学んだことが印象的で、ビジネスにおける「見えない力」について考えさせられました。論理的思考や解決策の方法もとても役立ち、特に本を読むことで知識を深め、思考を整理する力を養うことができました。このような学びが、研究に大いに役立っていると感じています。
就職活動について
- いつ頃からどのように就活をしましたか?
- 修士1年の5月頃からインターンシップを探し始めましたが、当初は自分がどんな仕事をしたいのか全くイメージがつきませんでした。最初は多くの人と同じようにコンサルティングを目指していましたが、いくつかの応募プロセスを経験する中で、自分の専攻であるグローバルマーケティングの知識を活かしたいと気づきました。その後、就職サイトで営業やマーケティングに絞って検索を進め、航空会社や化粧品会社でのマーケティング・営業のインターンシップに挑戦しました。業界としては、メーカーがメインでした。
これらの経験を通じて、自分に足りない部分や自分の強みについて多くの学びを得ることができました。また、いわゆる「お祈りメール」を何度も受け取りましたが、その度に失敗を振り返り、改善を重ねました。諦めずに挑戦を続けた結果、ついに自分が本当に行きたかった企業から内定をいただくことができました。このプロセス全体が、自分を成長させる貴重な経験となりました。 - 内定先を選んだ理由は?
- マーケティング業界に興味があり、様々な企業を調べる中で、最終的に現在の内定先を選びました。主にマーケティング関連の業務を担当する予定です。選んだ理由は、社風や部署の雰囲気が自分に合っていたこと、そして海外出張や海外滞在のチャンスがあることです。自分の成長やスキルアップのためには、国際的な環境で経験を積むことが重要だと思い、このチャンスを大切にしたいと考えています。
最初は文化の違いに戸惑ったが、今ではすべてが面白く貴重な体験
- 留学して、大変だったこと・苦労したことは?
- 留学生活で一番苦労したのは、やはり言語の壁でした。日本に来る前、わずか8カ月で日本語をマスターする必要があり、文法、リスニング、そして日常会話を一気に詰め込むのは想像以上に大変でした。言葉が通じないと、何気ない日常の一つ一つが不安でいっぱいになるものです。
来日の2日目、新宿でお父さんと待ち合わせをしていたのですが、電話の通信がないため、待ち合わせ時間に会えませんでした。新宿駅で一人で迷い、駅員さんに英語でWi-Fiが使える場所を質問してみたものの全然伝わらず、まさに全敗(笑)。その後、なんとか2時間後にお父さんと合流できたのですが、会えた瞬間、安心感から大号泣してしまいました。今では笑い話になりましたが、言葉が通じない中でのこの経験は、私にとって忘れられない「留学初日トラブル」として心に残っていて、今の日本語力をここまで伸ばせたのだと思います。
また、ホームシックにもなりました。初めて家を離れて、家族や友達と会えないことが本当に寂しくて、特に言葉を交わせる環境が恋しくなりました。
そして文化の違いにも衝撃を受けました。例えば、日本では「時間厳守」が当たり前ですが、マレーシアでは遅刻が日常的にあるので、最初はその違いに驚きました。 - 母国と日本の違いを感じることはありますか?
- 日本とマレーシアの違いで一番驚いたのは『時間』という概念の扱い方です。日本では待ち合わせに10分前到着が当たり前で「時間ぴったり」でも遅いくらい。しかし、マレーシアでは「少し遅れる」が日常茶飯事で、友達との約束で「あと5分で着く」と言いながら、実際は15分後に到着することがよくあります。日本に来たばかりの頃、いつもの感覚で「少し遅れる」と伝えたら、たまに厳しい視線を浴びたのは今では思い出です。
また『お客様は神様』という日本独特の文化にも驚かされました。コンビニでもデパートでも、どんな場面でもお辞儀や感謝の言葉が当たり前で、自分が特別な存在になった気分になります。その一方で「自分ももっと礼儀正しくしなければ」と感じることも多く、日本のサービス精神には感動と尊敬の念を抱いています。母国ではここまでお客様第一主義が徹底していないので、なおさら印象的でした。
さらに驚いたのは、日本人があまり海外旅行をしないことです。日本では「国内旅行」が主流で、パスポートの保有率が16%程度と聞いて衝撃を受けました。ただ、日本は国内だけでも素晴らしい景色や文化が豊富なので、納得できる部分もあります。それでも、これから航空会社で働く身としては、若い人たちに「もっと海外を見てほしい」と伝えたいです(笑)。
これらの違いに最初戸惑いましたが、今ではすべてが面白く、貴重な体験だと思っています。日本とマレーシア、それぞれの文化の良さを知ることで、自分自身の視野が大きく広がったと感じています。 - 日本で特に印象に残る経験やエピソードを教えてください
- 1つ目は辛かった経験ですが、以前、レストランでアルバイトをしていた時、お客様のオーダーを取ろうとしたところ、私の名札を見て「日本人じゃないと注文を取らないでほしい」と言われました。その瞬間、外国人として日本で働くことの難しさを感じました。でもその時、日本人の同僚が「大丈夫だよ」と言って助けてくれ、そのお客様の対応を引き受けてくれました。本当に救われた気持ちになり、日本での生活の中でも忘れられない出来事です。
2つ目はいい経験で、中央大学の国際センターから推薦をいただき、中央大学付属高校の生徒たちの前でプレゼンテーションを行ったことです。約150人の高校生を前に、自分のストーリーや日本での生活について話しました。留学の素晴らしさや、若いうちに新しいことに挑戦する大切さを伝える機会をいただき、とても光栄でした。この経験は、私にとって自分の視点を共有し、多くの人にインスピレーションを与えられた特別な瞬間でした。

日本語学校時代に迎えた誕生日

国際経営学部 木村剛ゼミで木村先生と仲間たち

中央大学高等学校でのプレゼンテーション
常に新しい発見がある日本での生活にワクワクしている
- 日本で楽しんでいることは?
- 日本の都市と地方の生活、最高に楽しんでいます!特にカフェ巡りや美味しいご飯を食べに行くのが大好きで、暇な時には友達と一緒に新しいスポットを探して冒険しています。東京は本当に面白い都市で、一駅、二駅でまるで別世界に行ったかのように雰囲気がガラリと変わるのが面白いです。例えば、目黒や二子玉川に行くと、美味しい料理を楽しみながら、いつも新しい発見があります。どんな趣味や興味を持っていても、東京には必ずそれに関連したイベントやコミュニティが見つかるので、退屈することがありません。
昨年は香川県の直島や豊島にも足を運び、自然とアートの融合を堪能しました。直島の美しいアート作品に感動し、豊島の静けさに心を落ち着けました。
東京の賑やかなリズムと、地方の落ち着いた空気の両方を楽しめるのが、日本での生活の醍醐味だと思っています。毎日が忙しいけれど、常に新しい発見や経験があるこの国での生活は、本当にワクワクしています! - 留学を通じて成長したことは?
- 知識や経験の面では、さまざまな人々と出会い、異なる視点を吸収できたことが大きな財産です。教科書で得られる知識だけでなく、実際のビジネスプロジェクトを通じて得たリアルな学びが、私の視野を広げ、物事を多角的に考える力を育んでくれました。
また、自分自身の内面的な成長も強く実感しています。留学生活は、自分一人で生活し、すべてを乗り越える経験の連続でした。家族や友人の助けがない中で、日々自分自身を励まし、目標に向かって努力を続けることの大切さを学びました。そして、何よりも「自分を信じる力」を得ることができました。「自分が一番の応援者である」という気づきは、これからの人生を支える大きな自信となっています。
この経験を通じて、私はどんな状況や環境でも生き抜いていける力を手に入れたと感じています。これからも、この留学で得た宝物を胸に、さらに成長し続けたいと思います。

大好きなカフェ巡り

大学院の友達と高尾山登山

四国の豊島に一人旅
Message for Future Students
If you're thinking about studying in Japan, my advice is simple: *Just go for it*
Don't wait or keep delaying your dreams. It's never too late to start something new. Studying here in japan has completely changed my life -I've grown so much and gained perspectives I never imagined.
And most importantly, trust yourself. Be your own cheerleader and your own believer. Even when it's tough, remind yourself that you've got what it takes to succeed. Trust me, it'll be an amazing journey!
[後輩の皆さんへメッセージ]
日本で勉強することを考えている人へのアドバイスはシンプルです。
*とにかく挑戦してください*
夢を待ったり先延ばしにしたりしないでください。何か新しいことを始めるのに遅すぎるということはありません。日本で勉強したことで私の人生は完全に変わりました。私は大きく成長し、想像もしなかった視点を得ることができました。
そして最も重要なのは、自分を信じることです。自分自身を応援し、信じる人になりましょう。たとえ困難なときでも、成功するために必要なことは自分に備わっていることを思い出してください。素晴らしい旅になるでしょう!