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グローバル・パーソンメッセージ vol.070 清水 主真さん


 大学卒業後2021年9月から、イギリス、スコットランドにあるエディンバラ大学(The University of Edinburgh)の大学院に留学しています。英国の大学院進学を決めたのは、新型コロナウィルスの世界的パンデミックが大きく関わっています。
 コロナ以前、大学卒業後は航空管制官を目指し、在学中は説明会等に参加したり、航空業界関連の企業を含めた日本での就職に向けて、長期インターンシップ等の就職活動に取り組んでいました。しかし、航空業界はコロナによる大打撃を受けたことにより、将来のプランを考え直さなければならなくなりました。「社会のため、誰かのため」という外にベクトルを向けた人生目標がどうにも思い付かずにいたところ、アルバイト先の上司を含め様々な方に助言をいただき、「自分は何をしたいのか」ということにもう一度向き合いました。


 そして、旅行や留学ではなく、自分の興味のある国でその土地に実際に住んで働くというような生活をしてみようと考え始めました。いろいろな渡航方法を検討しましたが、まず現地の大学で学位を取得しながらその国の文化や雰囲気に馴染んでいき、就職活動を経て現地企業に就職する道が、最も良い選択肢なのではないかという結論に至りました。

大学院選び~イギリスの大学院での暮らしのこと

●留学する国と大学院選び

▲エディンバラ大学オールドカレッジ

 留学に向けた準備は国選びから始めました。留学経験のあるシンガポールという選択もありましたが、欧米の国に挑戦してみたいという気持ちがありました。大学時代に英語圏の主要な国々を訪問した経験から、現地の友だちや人脈、文化を考えるとイギリスが最適なのではないかという結論になりました。

 イギリスは大学院の入試形態がアメリカやカナダより複雑ではないことや修士が1年で終わるために必要経費を抑えられることも魅力的でした。さらにビザのルールが改編され、英国国内の大学を卒業した学生に対して卒業後2年間滞在して労働が可能なビザ(Graduate Route Visa)ができました。この労働に関するビザこそが、海外で仕事をして生活をする上で最も大きなハードルになるとよく耳にするので、その先のキャリアを考えて渡英する私にとって、これはかなりの決め手でした。

 次に、大学院選びで重視したのは、研究する環境、費用、大学のある街、その地域に住む人々の外国人に対する見方という4つの点でした。研究する環境という点では、より高いレベルで研究を深めてみたいと考えました。次に費用に関しては、名門といわれる超有名大学には(実力も)手が出ませんでした。また、歴史があり美しい街並みの地域に行きたいというのも大きな要素でした。現在住んでいるエディンバラは、街全体が世界遺産に指定されています。14世紀に造られた旧市街と18世紀に造られた新市街があり、街をただ歩いているだけで気分が高まります。最後に、外国人に対する寛容度についてはかなり重視しました。というのも、2018年にオーストラリアのメルボルンを訪れた際にアジア人差別のような目に遭ってしまったからです。この文章に人種差別的意図は全くありませんが、当時は周りの人がどんな悪口を自分に対して考えているのか怯えていました。そのような経験から、外国人に対してできるだけ寛容な地域を選ぼうとしました。

 そして、全13大学14学科を受験して合格した中で、最も自分が納得できるエディンバラ大学に進学しました。エディンバラ大学では、学部時代に関連分野を勉強していない学生に対して、より寛容的であり、教授の専門分野にもより関心があったこと、アカデミックランキングでエディンバラ大学は上位にいること、そしてとても早く合格通知を下さったことを踏まえ、最終的にエディンバラ大学へ進学することに決めました。進路の決断から実際の出願まで、大学の先生方をはじめ多くの方にサポートしていただきました。中でも、大輔先輩という1年次に学修していたビジネス英語のコースの先輩には英語や留学という観点ではもちろん、広く進路に関して兄のように親身なって助言をいただきました。

●エディンバラ大学での大学院生活

▲カラフルでいろいろなお店が並ぶヴィクトリアストリート

  現在は、エディンバラ大学のエディンバラカレッジオブアート、都市戦略とデザイン専攻に在籍し、都市計画に関する学修をしています。
 イギリスの修士課程には、Research MasterとTaught Masterの2種類があります。前者は主に研究を、後者は学部の延長のような形で、1、2学期で授業を受け、3学期に修論を書くというようなプログラムです。私はTaught Masterなので、あまり研究生活というスタイルの大学院生活ではないというのが現在です。都市の交通システムの持続可能性と、人々の健康と福祉について深く勉強していて、その他にも、住宅関係や、災害に強い街づくりに関するトピックも授業で扱っています。現在は修士論文の準備を進めており、私はシェアモビリティー(シェアサイクルなど)について地理的・統計的分析を活用しつつ調査をすることにしています。

 中央大学の学部時代に専攻していた言語学とは異なる分野ですが、ここに至ったのには三つの理由があります。一つは、シンガポールの南洋理工大学で留学した際、「理工大学」に来たのだから理系に近い分野の授業を受けてみようと思い、「自然災害とそれに対して社会がどのように適応するか」というテーマの授業を履修していました。軽い気持ちで取っていたのですが、それが意外にも面白くて、いつか関連の分野を学びたいなと思っていました。二つ目は、FLP国際協力プログラムで、2年次に「持続可能性について」、3・4年次には「移民の方々が新しい社会にどのように溶け込んでいくかとその課題」についての研究と調査を行いました。「持続可能性」も「移民」というテーマも街づくりにおいては欠かせない要素です。三つ目は、大学時代に諦めた航空管制官という職業に少しでも関連のあるものを勉強したかったことがあります。交通インフラという観点で多かれ少なかれ空港の話題も授業では出てくるので、親和性は少なからずあると捉えています。

 正規学生としての留学は初めてですが、大学の学部時代に交換留学で外国に長期滞在した経験は大きかったです。特に学術面ではシンガポール留学時代、日本人が特に苦手とするディスカッションの授業中に、議論についていくことができず逃げ出してトイレにこもって泣いてしまったという苦しい経験があり、それを克服できた経験があるので、大変なことは、これまではほとんどありません。
 しかし、学業と課外活動の両立は大変です。現在は、学生寮でレジデンス・アシスタント(RA)として働いていて、主に学生の寮生活のサポートや、オフィスアワー、寮内でのイベント開催と集客などを担当しています。そのほかにも一学期にはインターンシップでソーシャルメディアの運営を手伝いながら卒業後に向けて就職活動をしていました。
 勉強は修士レベルであるがゆえに、相当なエネルギー量を必要とします。私は学部時代に関連分野を専攻していなかったために補わなければならない知識もあるので、普段でも5~6時間程度、課題の前には10~11時間、机に向かっているという生活です。

●スコティッシュイングリッシュ、言葉や文化の違いについて

▲フラットメイトの仲間たち

 私の所属する修士課程のプログラムは、1年間が3つの学期で構成されています。私のプログラムは1学期が理論中心、2学期が実践中心の授業で、3学期に修士論文を執筆という流れになっています。コロナ禍もあるため、大きな講義とグループディスカッションの授業はオンライン形式で、小規模のディスカッション形式の授業はハイブリッド形式で対面かオンラインを選べます。グループディスカッションでは、強いスコットランド訛りのクラスメートの発言がしばしば聞き取れないこともありましたが、シンガポールにいた時の反省を生かして、留学前にYouTubeでスコティッシュイングリッシュを聞く練習をしてきたので少しずつ慣れていきました。
 イギリスの大学院に在籍しているとはいえ、クラスメートの7割は中国からの留学生です。学科やクラスにもよりますが、新たな語学力を伸ばすチャンスと思い、現在では中国語が上達しているのを感じます…!
 そのほか、日本のサークル活動のようなグループに参加しています。スコットランドの他、イングランドやアメリカ、ロシア、ドイツ、ギリシャ、エジプト、ナイジェリア、メキシコ、インド、パキスタン、タイ、台湾、マカオなど、いろいろな国の友だちと交流しています。

 同じ大学に集まる学生は、ある程度似たような教育的・社会経済的背景を持っているからか、共同生活の中で大きな壁に当たったことはほとんどありませんし、表面的に文化的な違いを感じることもありません。これは大学学部時代の授業科目のひとつ「イギリスの文化」を履修していたおかげかもしれません。この授業で文化や階級から政治の話まで、様々な知識を学び、表面的に見えたり聞こえたり感じているものには、実は、歴史的・政治的・文化的な理由があり、その見えない背景などを理解できているからだと思っています。特にイギリスの4つの国の中でも、スコットランドには独自の文化や歴史が強く根付いており、そのようなことを理解してから渡航してよかったと思っています。

2021年秋、COP26・環境問題の映画祭に参加!

 留学スタートからしばらくして、「COP26」と「tve Global Sustainability Film Awards 2021」に参加する機会がありました。どちらもイギリスに在住している中央大学OGの方のご尽力で実現しました。

▲COP26でインタビューを受けている様子

●COP26(国際連合の環境気候変動会議)
 2021年11月にイギリスのグラスゴーで行われた国際連合の環境気候変動会議 COP26。ここでヤングアンバサダーとして、フォーラムの聴講とインタビューの撮影を主に行いました。COP26には、3つの会場があり、政府関係者で国際的な取り決めが行われるブルーゾーン、一般公開の展示のグリーンゾーン、そして、イノベーションゾーンは企業や地方自治体やNGOなどの方々が各々取り組んでいる環境に関する施策や課題について議論をする場所でした。私はイノベーションゾーンでのフォーラムに参加させていただきました。午前中はパネルディスカッションを聴講し、午後に私の環境問題への考えをテレビカメラに向かってインタビュー形式で述べました。
 
 大学院で街づくりについて学んでいることもあり、環境問題や持続可能性といったテーマは大きな関連性があり、このフォーラムは非常に刺激になりました。学んだ学術的な理論が、どのような形で企業や自治体で反映されているかを実感でき、非常に有意義な時間になりました。質疑応答の時間やランチタイムには、スイスで交通インフラに関する事業を行っている経営者や、アメリカのカリフォルニア州の地方政府の方と個々でお話することもでき、ネットワークの構築にもつながりました。
 国連のイベントに参加すること自体が夢のようで、世界の第一線で活躍されている方の話を生で聴くことができたり、自分の意見を世界に発信することができたりする機会を得て、たった一日でしたが、大きな意味のある出来事になりました。

●tve Global Sustainability Film Awards 2021
(環境問題の映画祭)

 映画祭では、授賞式の際に舞台に上がり、受賞者の発表と短いスピーチをさせていただきました。この映画祭は毎年、環境保全に関する映画を8テーマに分け、世界中から一般公募するものです。選ばれた作品の授賞式は、ロンドンのピカデリーサーカスにある会場で行いました。
 当日は、会場の設営や来場者の誘導など、国際的なイベントを運営・管理するその舞台裏も体験することができました。一般入場料は200ポンド(約3万円)ということを耳にしました。会場に約200人の紳士淑女が集まり、そんな環境の中でスピーチができたことで自分に自信が持てましたし、そのような機会を下さった方々に感謝しています。

◀映画祭でのスピーチ

大学時代の思い出と学び。恩師の先生方とさまざまな出会い

▲中央大学野球サークル「アトランティス」1年生大会に参加

  高校生の頃に、英語の教師になりたい、外国語を実践的に使って世界の人々と関わる仕事をしてみたいという思いもあり、英語が学べる環境が整っていて英語教員の免許取得も可能な文学部英語文学文化専攻に進学しました。
 大学時代の4年間は好奇心旺盛に、いろいろなことに挑戦しました。英語科の教職課程、1年次のグローバルスタディーズとその海外研修、野球サークル、全国大学生プレゼンテーション大会への挑戦、南洋理工大学(シンガポール)へ1セメスター交換留学、ESS(英語サークル)の役員、FLP国際協力プログラム(武石ゼミ)、20か国へ海外旅行や長期インターンシップなど…。学部の勉強も力を入れ、学部ゼミでは若林先生の助けをいただいて国際学会で研究発表をしたりもしました。
 やってみたいことがあれば、いつに何をやりたいか、そのためにはいつまでに何をしていればいいかを常に念頭において行動し、どんどん足を動かしていきました。

▲3年次に主催した中央大学ESSスピーチコンテスト

 学問としての語学も大好きで、学部ゼミでは英語学・言語学の研究をしていました。人間の言語習得のプロセスや、文法や単語などの言語そのものの背景を考えることが非常におもしろいと感じました。
 その他の外国語として、フランス語、スペイン語、それとアラビア語の授業も履修しました。さらにシンガポール留学をきっかけに中国語にも興味が出てきて、Gスクエアのランゲージラボで中国語を習ったりもしました。現在、スペイン語と中国語はなんとか話せる状態になりました。  新しい言語を覚えて自分の思いを言葉にできたときは、言語学習の最大の喜びであり、私にとってそれが上達へのモチベーションになります。

今の自分に大きく影響した大学時代の思い出

●1年次~英語学・言語学を追求するきっかけとなった、野宮ゼミのフィリピン研修

▲フィリピン研修~野宮先生と仲間たち

 野宮ゼミには大学1年の1年間、グローバルスタディーズ生として所属しました。フィリピン・マニラでの約1週間の活動は、ゼミの先輩たちとグループで企業や団体に出向いてインタビューをするという形式でした。日本人の英語や教科書に出てきた話し方とは異なるフィリピン英語を耳にして、自分がこれまで正しいと思ってきた英語とは異なる英語が存在することに驚いたと同時に、興味が湧いてきました。現地のタクシーの運転手の方は、自身の英語こそが「英語」であり誇りを持っていると言っていました。この体験が英語学習に加えて、英語学・言語学を追求することへの大きなきっかけになりました。
 
お世話になった野宮先生とりさ先輩
 野宮大志郎先生(文学部教授)には1年間お世話になりました。自主性をとても重んじる方で、研修の際、本来であれば現地大学の日本語専攻の学生を通訳として手配するところを、私の「通訳なしで自分の力で英語を使いたい」という要望を快く受け入れ応援してくれました。学生の挑戦や自分の力で物事をやり抜くことを全力でサポートしてくださる先生でした。1年生で野宮先生のゼミを取っていたからこそ、その後の3年間、さらに今の自分につながる行動力を身に付けられたと思っています。

 りさ先輩は、当時大学院生で野宮ゼミをサポートしてくださった先輩です。ゼミのことはもちろん、留学相談や学習に親身に付き合ってくださいました。特に、シンガポール留学の出願準備の際、毎日といっていいほど電話でTOEFLテストのスピーキングの練習に付き合ってくださったことは感謝してもしきれません。

●シンガポールへの交換留学(2年次秋)

▲南洋理工大学~留学時のクラスメートと最終授業で

 2年次に、8月~12月まで約5か月間、シンガポールの南洋理工大学へ交換留学をしました。海外で暮らせた経験、世界へのネットワークの広がり、そして自国に対する考え方という観点で、大きく影響を受けました。
 「なぜ シンガポール?」とよく聞かれますが、その理由は3つあります。一つ目に、南洋理工大学は交換留学協定校の中でもハイレベルでアカデミックであり、自分を試すという意味で、そのような環境に自分を置いてみたかったことです。二つ目は、フィリピン研修で膨らんだ「英語への好奇心」です。「シングリッシュ」と呼ばれるほど独特なシンガポール英語に興味がありました。三つ目は、文化的・言語的多様性の興味です。多民族国家のシンガポールは東京23区ほどの小さな島の中に、マジョリティーの中華系シンガポール人以外に、マレー系、インド系の人がいて、さらに人口のうち約3割が外国人です。非常に多種な文化や言語が存在しています。宗教や建造物、食文化を含めた文化のほか、中国語やマレー語にも興味がありました。

 家族と離れて暮らすのも初めてで最初は不安だらけでしたが、2~3週間経ち、生活に慣れてきてからは、日々の勉強から食事、洗濯なども案外「普通」になりました。海外での生活に対して特別な認識をしていましたが、実際には思っていたほど大それたものではないということが分かりました。
 人とのつながりの大きさも実感しました。シンガポールにいると基本的に誰とでも「共通のアイデンティティ」を持てるので、友だちを作るのに苦労はしませんでした。シンガポール人と自分は「アジア人」という共通点があります。南洋理工大学の留学生の8割がアメリカ、ドイツ、イギリスなど欧米からの学生でしたが、彼らとは「外国人」という共通点があります。留学中、「共通のアイデンティティ」は精神的支えでしたし、世界中に友だちができたことで、自分の世界が一気に広がったような気がしました。特に、香港からきていたルームメートとは現在でも定期的に連絡をとっています。
 さらに、自分の国に対する気持ち、考え方も勉強になりました。ある授業で、アンケート調査をしたとき、「シンガポール人としての誇り」「シンガポールが好きか」というような自国愛に関する質問項目がありました。驚いたのは、ほとんどの回答者が「非常に誇りに思っている」「とても好きだ」という回答をしていたことです。今まで自分では自分の国が好きかどうかなんて考えたことがなく、自分の国に対する気持ちを考えさせられました。
 
 シンガポールは、文化の面はもちろん、経済発展と伝統を守ることを両立している、とても素敵な国です。この留学が終わってからも何度か訪れたほど大好きになり、いつかまた戻りたいと思っています。そしてイギリス留学の決断をしたときに、このシンガポールでの経験が自分の新たな決断を後押ししてくれるようなものになりました。

●ハーバード大学でのプレゼンテーション(FLP国際協力プログラム 武石ゼミ)

▲FLP武石ゼミのロンドン研修

  3年次の夏休みに、FLP国際協力プログラム 武石ゼミの一環で、ハーバード大学にてプレゼンテーションをする機会をいただきました。『アダム・スミスと現代社会』というテーマで論文を読み、自分の考えを述べるという趣旨のもので、ゼミの武石智香子先生(中央大学副学長/全学連携教育機構長)にサポートをしていただきながら、数か月間かけて準備をしました。
 当日、アメリカのマサチューセッツ州のボストンに到着したときには、食事の味さえわからなくなるほど緊張したことを今でも覚えています。そして、ハーバード大学の教授の前でプレゼンテーション発表を終えると、教授から前向きなフィードバックをいただきました。世界最高峰の大学のひとつであるハーバード大学で発表をして、その教授からお褒めの言葉をいただいたことは、自分の力が多少なりとも世界に通用するのだと感じ、この経験も現在の英国の大学院進学という進路の決断の大きな支えになりました。

お世話になった武石先生
 FLP国際協力プログラムで2年次からお世話になりました。調査やプレゼンテーションなどのゼミ活動を通して、国内外のいろいろな学生や社会人の方とお会いする機会を提供してくださいました。また、それらを通して社会の仕組み、グローバルとはどういうことか、はたまた人生の幸せとは何かという社会で生きていく上での根本まで学ぶことができたと思います。先生は、本当によく見てくださるし、学生を本当に理解してくださる方です。大学院進学を決意した際も、出願の際に推薦状を書いていただきましたが、読んでいて涙が出てくるほどにひと言ひと言には重みがあり、「もっと頑張ろう」「自分らしくやっていこう」という力を与えていただいたと思っています。

●3年次~言語学のおもしろさと、アカデミックな世界を教えてくれた若林ゼミ

▲若林ゼミの忘年会

  学部のゼミでは若林茂則先生(文学部教授)のご指導の下で、言語学、とりわけ言語習得についての調査や研究や調査を行いました。若林先生は、学生の背中をどんどん押してくれるような先生でした。
 3年次には「日本語習得に関する研究」を国際学会発表の審査に出すことになり、若林先生の支えもあって審査に通過しました。コロナ禍のためにオンライン形式の発表でしたが、国内外の学者の前で自分の研究を発表し、発表後にその方々の難解な質問に論理的に答えるのは簡単ではありませんでしたが、どうにか発表と議論を進めることができ非常に充実した時間になったと同時に、学術の世界に引き込まれていきました。現在大学院で都市計画を学んでいて専攻や学問は違いますが、このときの学会での経験も大学院進学の大きな要素になりました。

お世話になった若林先生
 先生は学会をはじめ、アカデミックの世界に私を引き連れてくださった方です。進路に関しても、先生ご自身の経験から、さまざまなアドバイスをいただきました。時には厳しいお言葉もいただきましたが、むしろそれが原動力になり今の自分があると思っています。一方で、合宿やイベントの際にはどの学生よりも先生が楽しんでいる姿が印象に残っていて、そのようなメリハリの強さは憧れていました。

世界に出て活動するために必要なこと。後輩のみなさんへ

●世界で活動するために必要なこと
  日本を離れて活動するにあたり、語学のことで不安になる人も多いかもしれません。それも大切なスキルの一つですが、それ以上にマインドセットが重要だと思っています。活躍の舞台が地域規模でも世界規模でも、面白そうだと思ったことがあれば、まずリサーチしてみるのは大事なことの一つだと思います。インターネットや周りの友だちや家族、その経験をしたことがある人に話を聞いてみれば、そこへの道がどのようなもので、いつ、何がどれくらい必要なのかが分かり、作戦を立てることができます。次に決断をする勇気と、その努力を続ける行動力、そしてそれに対するワクワク感やモチベーションがあれば自分のやりたいことが実現できる可能性は大きく上がると思います。
 

▶大学在学中には20以上の国を1人で旅行しました。
この写真はスペインで参加したハイキングツアーの1枚

▲cop26の会場で記念撮影

●これからのプラン
 渡航前から始めた英国での就職活動の末、2022年初旬にロンドンにある現地のIT企業からデジタルマーケティングアシスタントのポジションで内定をいただきました。これで目標通り大学卒業後は、英国内、ロンドンでの生活を実現できました。以前インターンシップで類似の仕事をした経験があることや、ロンドンの次はやはりシンガポールで仕事をしたいというビジョンを踏まえ、アジア経済のハブで働くためにもデジタルマーケティングのスキルが生かせるこの業界に進むことを決断しました。一方で、以前からの夢をまだ諦めたくないので、航空需要の回復を待って航空管制官の試験に再挑戦することも視野に入れています。支えてくださる方々への感謝を忘れずに、自分の好きな場所で自分の好きなことを、自分らしく挑戦し続けていきたいと思っています。

●後輩の皆さんへのメッセージ
 人生は自分次第でどうにでも変わると信じています。何かやりたいことがある場合、それを叶えるために大切なのは、想像力と計画性、それを実行する行動力だとこれまでの経験を通して感じました。

 「海外での進学や就職という選択肢は、それほど遠い存在ではないのでどんどん挑戦していこう」というのが私の生き方で、私のように日本で生まれ育った「純ジャパ」であっても、それが本当であることを自分自身で証明しようとしています。どんなことであれ、興味を持ったことがあれば一歩踏み出してみることが重要だと思います! それが周りの人たちの道とは違っていたとしても、自分を信じて自分らしい人生を描いていくことで、思いがけないようなチャンスに巡り合えるかもしれません!

■プロフィール■

清水 主真(しみず かずま)さん
1998年、千葉県生まれ。中央大学高等学校出身
2021年3月中央大学文学部人文社会学科英語文学文化専攻卒業。

●在学中に在籍したゼミナール
<学部>文学部 若林ゼミナール(若林茂則教授)
<FLP>国際協力プログラム・武石ゼミナール(武石智香子教授)

2021年3月中央大学文学部人文社会学科を卒業し、コロナ禍でありながらも、2021年9月、イギリスの大学院「The University of  Edinburgh, Edinburgh College of Art, MSc Urban Strategies and Design」(エディンバラ大学エディンバラカレッジオブアート、都市戦略とデザイン専攻修士課程)へ進学。現在は、都市計画・交通インフラを中心に専門し研究、学修中。ロンドン市内のIT企業の内定を得て、2022年5月からは、修士論文を執筆しながらインターンとして就業する予定。