
約3年前。英語力を試すため、海外旅行へと繰り出した杉江さん。
僅かな滞在ではあったが、自分の足で巡った異国の地で、
語学力と異文化理解の必要性、日本人の弱みを再認識したという。
そんな彼は今、
「国内外を問わず、グローバルな環境で仕事がしたい」
という希望を胸に、
積極的にインターナショナルな場に身を置いて、
将来のための経験を重ねている――。
海外ドラマ好きが高じて、リスニングを猛勉強!
大学受験がひと段落した時期、海外ドラマに没頭していました。最初は字幕で観ていたのですが、そのうちに「英語で理解できたら、もっと面白いはず!」と思い始めて、中断していた英語の勉強を再開。大学受験の時に使ったリスニング教材を引っ張り出し、完璧な聞き取りを目標にしました。これができれば、リスニング力がだいぶ向上すると思ったからです。まずスクリプトを読んで単語を理解し、その後に集中して英文を何回も何回も聞く。次第に言っていることが分かるようになり、英語がすんなり頭に入ってくるようになりました。
英語に対する壁がなくなった感じがして、「スピーキングもできるんじゃない?」という根拠もない自信がでてきました。そして大学2年生の時、自分の英語がどれくらい通用するか試すため、観光を兼ねて海外へ行くことに。第二外国語は中国語を専攻していたこともあり、行き先は上海にしました。
日本人に必要なのは積極性。海外での体験から自らを省みる

上海では、現地の人と「なんとかコミュニケーションが取れた」というレベルでした。英語を話さない人も多く、英語と片言の中国語を交えながら過ごしました。訪れたのは、歴史的建築物と中国人居住区がある豫園(よえん)や、近代的な観光スポットの外灘(わいたん)。同じ上海でも地域によって発展に差があり、日本と文化、価値観の違いを肌で感じました。こうしたことは実際に訪れてみないと分からなかったと思います。このことから「いろいろな国の文化や価値観に触れたい」、「英語だけじゃなく、ほかの国の言語も文化の違いを含めてもっと勉強しなければいけない」と感じるようになりました。
その次に訪れたのはイタリア。学会の友人たちとの卒業旅行です。現地の人たちは僕たちがイタリア語を話せないと分かっても、陽気に対応してくれました。海外では言葉が通じなくても、現地語で助けてくれようとする場面にたびたび出会います。旅行に行くたび、「日本人は外国人に対してシャイすぎるのではないか」と思います。英語が使えなくても、明るくフレンドリーに接すれば相手に喜んでもらえるのではないでしょうか。
しかし、裏手に入ると市民の生活圏が広がりイメージが一転する。
「子どもの頃にも家族と海外旅行に行ったことがありましたが、
自分の足で旅行してみると学ぶことが多かったです」と杉江さん。
自分の視野、将来の可能性を広げるために……

↑一緒に旅行した友達と、外灘の夜景をバックに撮影(左:杉江さん)。西洋風の建物や有名ホテルが立ち並ぶエリアで、上海でも地域によって真逆の印象を与える。
今年の夏、多国籍な職場でインターンを経験しました。共通言語は英語です。アジア、ヨーロッパなどの異文化が交錯するなかでたっぷりと英語に浸かるので、自分がどこまでコミュニケーションがとれるか挑戦でもありました。
仕事場は自分がイメージしていたよりも明るく楽しい雰囲気。英語については、聞く量も喋る量も、これまでの比にならないくらい増えました。もちろん指示は英語で出されるので、英語を理解したうえで何をやるべきか判断しなければいけません。どの仕事でもそうだと思いますが、よく分からない部分はすぐに確認したり、聞き直したりしました。英語で確認するので難しく感じることはありましたが、「どう伝えれば要点を分かってもらえるか」と日々、思案していました。
大学院に進む学生ならば、英語の論文は避けて通れないものです。研究内容を理解する前に英語でつまずくと、正直に言って厳しい。喋る、喋らないは別にして、英語に対する苦手意識はなくした方がいいと思います。大学院では英文に触れる機会自体はありますが、英語をしゃべる機会が豊富なわけではありません。研究に時間が割かれ、英語の勉強時間を設けるのも難しいとは思いますが、空き時間を上手く活用してリスニング、スピーキングの機会を作っていくといいと思います。
英語を学ぶことによって視野が広がった実感があるので、将来の選択肢を広げるためにも、英語を使う仕事を希望しているかどうかに関わらず勉強することをお勧めします。