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上海のビジネス現場を訪問 ー企業研究プログラム@上海2014ー

2014年10月13日

 このプログラムは、2014年9月7日~14日までの間、上海にて上海白門会、上海理工大学の協力のもと、キャリアセンター主催で実施されました。 訪問先企業、中国の学生、参加メンバーとの関わりの中で、本校学生14名一人一人がこのプログラムを通じて自分の将来の キャリアと向き合い、考えるきっかけとしました。

<目的>

・「世界規模で活躍することができる人材」とはどのような人材か、をつかむきっかけとする。
・上海経済、中国の今を知ることを通じて、世界全体を視る力を養う。
・このプログラムを通じて、自分自身のコンピテンシーをどのように伸ばすか、事前準備を含めて目標設定、行動計画をたて、取り組む。
・次の目標設定につなげ、目標を達成するためのプロセスを考える。

<プログラム内容> 

 本学の卒業生や協定校等にご協力いただき、中央大学独自のプログラムとして実施しました。
 多角的な視点に触れることを目指し、事前研修、企業訪問、上海白門会の先輩方との交流、上海理工大学とのディスカッション等を通じた交流を行いました。

1.事前研修

 私たちは企業訪問へ向けて、計4度の事前研修を行いました。2名の上海白門会OBにお越しいただき、中国ビジネスでの奮闘のお話をいただいたり、経済学部の唐先生に中国事情の講義を頂きながら、最終的には訪問先企業の事前研究を行いプレゼンテーションを行いました。OBからのご指摘や学生間での議論を通じ、訪問先への理解を深めることができました。

2.企業訪問

 このプログラムを通して私たちは8社の企業を中心に訪問させていただきました。新聞社やメーカー、コンサルティングファーム、旅行会社と幅広い業界へアプローチすることができ、訪問先それぞれで異なった視点から働くことを学ばせていただきました。

→訪問企業ごとのレポートは下段の「企業訪問レポート」参照


3.上海白門会定例会への参加やOB・OGとの交流

 上海でご活躍される計33名のOB先輩方が出席される上海白門会定例会に参加させていただき、歓談の中で多くの刺激を受けました。今回のプログラムを通して各々が見つけた今後の課題や将来に対する不安や悩みに対して、先輩方からご指摘や助言をいただくことができました。
 またプログラム最終日の成果報告会には、上海白門会から5名お越しいただき、発表に対するコメントや今後に向けた更なる視点をアドバイスいただきました。加えて、パネルディスカッションや質疑を通じて、仕事もさることながら、人生観なども含んだより深いお話を伺うことができました。


4.上海理工大学との交流

 滞在期間中は上海理工大学の日本文化交流センターにお世話になり、キャンパス内のゲストハウスで宿泊するとともに、上海理工大学の学生とグループディスカッションやウエルカムパーティー、ウェアウェルパーティーなどを通じた、交流を行いました。
 特に最終日は両国の教育問題や就活事情、恋愛についての議論を行い、お互いの相違点を把握でき、両国の国民性の理解を深めることができました。

<むすび>

 上海理工大学日本交流センターでセンター長を務める何偉銘教授は、“百聞は一見にしかず”という言葉を私たちに残してくださいました。私たち日本人は、中国に限らず海外について、マスコミ、メディアを通した間接的な情報でしか認知していないことがよくあります。間接的な情報というものは、ときに誤りもあり、自分の思考をゆがめてしまうことすらあります。特に今回、中国に対する日本での報道は信頼性に欠けるものが少なくないと感じました。
 また、このプログラムを通して、私たちは生の中国と触れ合うことができました。上海で直接情報を享受し、私たちは本当の中国を自分の目で感じ、確かめることができました。なかには、以前までの中国に対する偏見を崩すことができた者も多く、より中国を身近に感じることもできました。特に、イメージをすることが難しい中国のビジネス現場に訪れたことは、当初の目的でもある、海外、とりわけ上海で働くことを現場から理解するということを達成できたといえます。

 しかし、私たちはそればかりでなく、日本社会、経済にとって非常に重要な中国との関係を考えていくうえでも、大きな成果を得ました。それは中国で多くの中国人と交流できたことです。私たちはこのプログラムで数多くの中国人と関わり、たくさんの友人を作ることができました。彼らと共に過ごした一つ一つの議論や時間は深い相互理解へ導き、ひいては互いに日中の友好を願う仲間ともなりました。こうした個々のつながりが、今後の日本と中国を結ぶ橋を作ると信じ、両国の今後の明るい未来を切り開いていきたいです。

 

企業訪問レポート

2014年9月8日(月)
JETRO
 “日系企業の中国進出における重要な点”を中心にお話を伺いました。
 とくに現地における法律理解と異文化理解の重要性をお話いただきました。日本製品の模造品の多さから生じる法的問題点やビジネスモデルの違いから生じる文化摩擦などが中国では頻繁に起こります。企業訪問初日から、日系企業の中国ビジネスの難しさを痛感することができました。

産経新聞社・上海白門会OBとの懇親会

産経新聞社
 “中国におけるジャーナリズムの難しさ”を中心にお話を伺いました。
 取材中でさえも盗聴・監視を考えなければならない、表現の自由が保障されない中国ならではの体験や、取材中に中国当局に拘束された体験をお話いただきました。また、韓国支局長の在宅起訴問題も世間を賑わせる中、常にどこまで踏み込んで良いのかを考え、ギリギリのラインで取材するこうしたジャーナリストの姿から、「報道」の役割を改めて考えさせられました。

安川電機・工場見学

2014年9月9日(火)
安川電機
  “海外工場運営の役割”を中心にお話を伺いました。
 中国で工場を構え生産する上での技術流出等の問題点や対処法、また中国人の社員と働いていく上での雇用・教育制度で気を付けている点等を教えていただきました。そのなかで、日本と中国の国民性や商習慣の相違点をみつけることができ、中国文化を理解する手掛かりとなりました。

KOMATSU
 “世界トップ企業の内実”を中心にお話を伺いました。
 「世界トップの秘訣は、100%現地化にあり」と伺いました。会社経営は、100%現地化を目指し、ほとんどの従業員が現地採用の中国人でした。現地の目線に立つことのできる人材に運営を任せることが、一方でリスクをもありますが、成功への一番の近道であることを感じました。

園区紹介施設で説明を受ける様子

2014年9月10日(水)
蘇州工業園区
 “園区紹介施設の訪問と園区内”を見学しました。
 この園区は中国最高の評価を得ており、研究開発やビジネスが展開しやすいよう、都市計画やインフラ整備がなされ、いまや蘇州経済の発展の中心となっています。このような「特区」を作り、経済成長を遂げる最前線の中国を肌で感じることができました。

KPMG
 “中国ビジネスにおける監査・コンサルティングの役割”を中心にお話を伺いました。
 情報が希薄な海外において、日本の海外進出の難しさがあります。しかし、日系企業の弱みを認識するコンサルティングファームによる監査・コンサルティング業務があるからこそ、日系企業の海外展開が実現していることを実感できました。

2014年9月11日(木)
コクヨファニチャー
 “日系企業の中国戦略”を中心にお話を伺いました。
 中国では、日本とは対照的に、高級ブランドのイメージを前面に出して展開しており、オフィス家具を販売するときは、配電などを含めたオフィス全体の設計をした上で、セットでセールスを行っています。この訪問を通じ、日本の販売戦略では見られない、中国ローカル化戦略を顧みることができました。

上海漢和立業貿易
 “日系企業とのビジネスにおける重要点”を中心にお話を伺いました。
 商社ならではの「○○だからこそ、安心して商売ができる」という顧客との信頼関係の重要性を理解するとともに、「人」と「人」との関係が、ビジネスの基礎になっているということを感じました。

2014年9月12日(金)
日本旅行
 “旅行業界と日中関係の関連性”を中心にお話を伺いました。
 旅行業界では、旅行者の感情が非常に重要なので、政治状態により売上が大きく上下します。とりわけ、反日デモのピーク時には、日本からの観光客が激減してしまったそうです。業界によっては政治状態との関連が深いのだということを改めて認識する良い機会となりました。

本取り組みは、産経新聞にも掲載されましたので、ぜひご覧ください。

http://www.sankei.com/smp/world/news/141006/wor1410060024-s.html

2014年度 企業研究プログラム@上海 参加者一同

執筆代表者 
法学部政治学科  4年 柳谷研登
理工学部物理学科 3年 白木俊平
法学部法律学科  2年 丹羽博彦