私にとって、今回のアイルランドへの留学は、何もかもが初めての経験だったので、すべてが新鮮で驚きの連続でした。街並み、人々、景観、文化すべてが日本とは大きく異なり、日本では決して経験できないことばかりでした。広い空、壮大な自然風景の数々、路上のストリートパフォーマー、独特の味を持ったアイリッシュミュージック、アイリッシュパブで出会った気さくな人々、ボランティアで一緒だった人々のアイルランドに対する自然観など、毎日が驚きと感動に溢れていました。
とくに驚いたのは、「文化の違い」でした。まず、アイリッシュの人々のフレンドリーさ。道を歩けば、「学生かい? どこか探してるの?」と声をかけてくれ、パブでは楽しい話や音楽を聞かせてくれました。日本人は見知らぬ人間に話しかけるなんてことは滅多にしないので、最初はとても驚きましたが、今ではそんなアイリッシュの人々が大好きです。
アイルランドに着いて最初の難関は無事に滞在先のホストハウスまで辿りつけるかどうかでした。初の海外渡航で右も左もわからないまま入国審査や飛行機の乗り継ぎ、ゴールウェイ行のバスを探したり等、ホストハウスにたどり着くまでずっと緊張していたのを覚えています。道中、いろいろな人が手助けをしてくれたおかげで無事に到着することができました。「意外と何とかなるもんだな」と少し自信もついたので、この苦労もよい経験だったと思います。
もっとも自分の中で印象的だった出来事は、環境保全のボランティアに参加したことでした。森を育てるために、若木の周りの雑草を取り除いてその成長スペースの確保、農園の手入れといった活動を行いました。参加者の人や役員の方との会話を通して、アイリッシュは本当に自然が好きな人が多いのだなと実感しました。中でもクライアントの農園のおばあさんのアイルランドの自然観のお話はとても考えさせられました。アイルランドの美しい自然はこうした人々が土台となって、感動的な景観を維持しているんだと感じました。
今回の留学で私が実感したのは、自分は思っていた以上にたくさんの人に支えられているのだということでした。家族や親戚、ご近所さんや大学の先生方、たくさんの友だちが自分のことを気にかけてくれていて、常日頃からお世話になっているのだと改めて認識しました。私は、法学部の「やる気応援奨学金」の助成を受けて今回留学することができましたが、この奨学金もOB・OGの方々の支援から成り立っています。こうした人々の期待と援助を実感することができたおかげで、気を引き締めてメリハリのある留学生活を送ることができました。今後もこのことを忘れずに、さまざまなことにチャレンジしていきたいです。
もうひとつ実感したのは、英語に対する考え方の変化です。英語はただの科目ではなく、理解のための道具だという認識に変わりました。私はこの留学を通してたくさんの素敵な友だち、恩師と出会えたことをとても嬉しく感じています。今まで、外国人の人を見ると、やはりどこか境目を作ってしまう自分がいました。しかし私は今回の留学を通して、英語がその境目を取り払ってくれることがわかりました。英語という共通点で会話をし、理解しようと努力することができました。