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グローバル・パーソンメッセージ vol.009 陳 景華(CHAN KING WA)さん

日本での留学経験を活かし、グローバル営業に携わる

将来は日本に留学した経験やネットワークを生かして、日本と香港の懸け橋になるような仕事に就きたいと思っていました。
返還前の香港で教育を受けていたため、英語は話すことができましたが、広東語よりも日本語の方が得意という状況で、卒業後は富士通に入社し、2010年までの14年間、グローバル営業に携わりました。マレーシアや中国、台湾などのアジア、アメリカやヨーロッパなど、世界中で電子部品の販売を行い、出張も大変多く、1か月のうち、2~3週間は海外にいました。
その後、家族の事情や、電子部品以外で自分の力を試してみたかったこともあり、石油化学の販売にチャレンジしようと現在の会社に転職。現在は、以前ほど出張は多くありませんが、アジア(特に中国)を拠点に販売活動を行っています。

学ぶにもまず、資金準備から

中央大学に進学した理由は、アメリカやカナダと比較して学費が安かったことです。特に裕福な家庭でもなかったので、アルバイトをしながら学費と生活費を稼げる大学に進学する必要がありました。
高校卒業後、香港で3年間仕事をし、ある程度資金を準備してから日本に渡り、日本語学校に2年間通って日本語を勉強しました。当時は1日8時間程度アルバイトをし、実践の中で日本語を学びました。そのため、大学を卒業した時は既に28歳になっていました。

大学時代に得たもの

大学ではさまざまな経験をして、多くを学びましたが、もっとも大きな成果は、中央大学で築いた留学生のコネクションです。中央大学には、香港はもちろん、台湾や中国、マレーシア人が数多在学していて、彼らと一緒に過ごし学んだ時間は、まさに一生の宝です。
グローバル社会で展開されるビジネス活動には、その国の習慣や文化の知識が必須であり、それを理解していなければ仕事が進まないことも多々あります。留学生からの仕事の紹介というのもありますが、話し方、接待の仕方など、彼らとの学生生活の中で培った異文化理解が、今の仕事に生きています。
また、ゼミではイノベーション政策の勉強をしていました。これが役に立っており、今の自分の考え方のベースになっています。自分の会社の製品がマーケットの中でどういうメリット、デメリットを生み出すか、企業の歯車になるのではなく、政策を考えながら仕事をするうえで、大変重要な素地となっています。

若い世代に願うこと

今の会社に移って2年目。子供は3人いますが、自分の子供を含め、次世代の教育について思うところがあります。彼ら若い世代には、独立する能力をつけさせ たいと考えています。その意味では、自分が経験した留学というのも大きな選択肢です。とにかく経験をさせたい。目的ある人生を送ってほしい、目標を持って ほしいと思っています。私ができるのは、自分の力で目標を達成するための、そのベースを作ってあげること。言葉や能力の壁など、障害はあるでしょうが、親 として基本資金面をサポートする力をつける努力は怠らず、しかし、100%親に頼るのではなく、自分の力で進んでほしいと思っています。
そのためには、貧乏になってほしい。貧乏になると生きるために必死で考えなくてはならない。いろいろな対策や提案をしなくてはならないからです。
甘えは禁物。自分の子供を含め、若い世代には「自分の力で稼げ」と、メッセージを送りたいと思います。

プロフィール

陳 景華(CHAN KING WA:チャン・キングヮ)
1967年香港生まれの香港人。香港の高校を卒業し、3年間現地で就労後、日本に渡り、2年間アルバイトをしながら日本語学校に通学。その後中央大学商学部商業・貿易学科に進学し、1996年卒業後、同年10月に富士通株式会社香港支社に入社。同社に14年間勤め上げた後、2010年にアメリカに本社を持つ石油会社・太陽遠東貿易有限公司(Sun Far East Trading Ltd.)に転職し、現在に至る。