自身の裁量が大きく責任ある仕事に携わる

私は1995年に株式会社ニコンへ入社し、2008年に欧州本社であるオランダのNikon Europe BVに、2010年にNikon UK Ltdの現職に異動、欧州生活はオランダとイギリスの通算で4年になります。
Nikon UK Ltd.は、主にニコンのデジタルカメラ、双眼鏡、顕微鏡をイギリス、アイルランドに販売するために設立された販売子会社で、従業員は約120名。日本本社からの駐在員は、私を含め3名です。現在は商品の販売計画、価格政策、販促企画等を立案する9名のチームのマネージャーをしています。
イギリス人主体で運営される規模の小さな会社ですので、本社や規模の大きな会社では複数名、複数部署で担当するような業務もひとりで担当するケースが多く、自分自身が直接事業に影響を及ぼす場面が多々あります。よい結果も悪い結果も、すぐにイギリス、アイルランドの市場シェア、売上等の指標に表れるので、上手くいったときはもちろん、上手くいかなかったときも自分の行動次第で改善できることが少なからずあることにやりがいを感じています。自分の発言には日本にいる時以上に責任がかかりますが、それゆえに大きな影響力を持つことができます。

上司、同僚のイギリス人マネージャーたちは複数の企業で業務を経験しながらキャリアアップをし、プロの管理職として採用されているということもあって、駆け出しの管理職である私の立場からすると、経験豊富な彼らのマネージメントスタイルから非常に学ぶものが多くあります。Nikon UK Ltd.には現地採用の日本人もいますが、業務の会話のほとんどは日本人同士であっても英語を使用しています。
滝田教授の英書購読が今の英語力の基礎に
大学時代には、法学部政治学科滝田賢治教授の英書購読を受講していました。ここでみっちり鍛えられたことが、今の英語力の基礎となっています。アメリカの大学1~2年の国際政治学の教科書を精読するという授業で、週1コマでしたが、その予習・復習のため、ほぼ毎日生協の喫茶店で英語を勉強していたのは懐かしい思い出です。帰国子女でもなければ留学経験もないので、おそらくあの英語漬けの日々がなければ今日の私はないといっても過言ではないと思います。「大学時代まで日本で生活してきた以上、日本語で頭が固まってしまっているので、受験英語と文法を大切にしなさい」という先生のアドバイスは、現在でも私が英文を扱う際の基本アプローチになっています。
また、大学では辞達学会(弁論部)に在籍し、ディベートを中心とした活動もしていました。ここで論理の組み立て方や議論の仕方を学んだことは、現在の業務でも生きています。仲間とは夜遅くまで政治や社会、哲学等々、いろいろな議論をしましたが、その時の議論が、現在の自分の価値観の基礎になっていると思います。
より強いチームを作るために

Nikon UK Ltd.に着任後、現地スタッフと知恵や意見を持ち寄ってチームの改革に取り組んだことが今の実績につながっていますが、まだまだ改善の余地はあります。現地スタッフの強みと自分が持っているノウハウ、ネットワークを組み合わせて、より強いチームを作りたいと思っています。
さらに将来的には、より責任のあるポジションで一国市場を担当してみたいです。現地チームの中に入っていき、同僚やお客さまと議論をしながら、知識やノウハウを持ち寄って、結果を出すというミッションは非常にやりがいがあると思っています。
学生時代はまとまった時間が取れるチャンスです。専門領域を広げたり、さまざまな本を読みあさったり、社会体験や趣味、サークル活動も含め、いろいろなことにチャレンジしてください。とくに海外に出てさまざまな体験をするとよいと思います。留学にせよ、旅行にせよ、機会を見つけて出かけてください。厳しい就職環境等で昔ほど余裕はなくなっているかもしれませんが、そうした体験はきっと後々生きてくると思います。