ダイバーシティセンター
「Chuo Diversity Weeks 2024」を開催しました
2025年01月15日
「Chuo Diversity Weeks」は、ダイバーシティ推進をテーマに現代社会の諸問題について理解を深める機会として、年1回開催しています。今年度は、2024年11月8日から2024年11月19日の間に、多摩・後楽園・茗荷谷の各キャンパス(一部ハイブリッド)で、4つのイベントを開催しました。
今回のテーマは「ともにあるためにできること」。この社会にはすでに多様な人々が存在しています。その現実から目をそらすのではなく、そうであることを前提に、「ともにあるためにできること」を探求しました。
イベントには、学内外からのべ約250名の方々にご参加いただきました。ご参加くださった皆様、また、参加はできなくても関心をもってくださった皆様、誠にありがとうございました。
ダイバーシティセンターでは、今後も啓発のためのイベント等を開催していきます。ぜひご期待ください!
イベント
11月8日(金) わたしのなかのダイバーシティ〜マイノリティでもありマジョリティでもあるわたしたち〜
11月8日(金)に、ワークショップ「わたしのなかのダイバーシティ〜マイノリティでもありマジョリティでもあるわたしたち〜」を開催しました。本イベントは、中央大学の学生を対象に、自分自身がもつ多様性に気づくことを目的に企画しました。
ダイバーシティセンターには「障害」、「ジェンダー・セクシュアリティ」、「グローバル」という3つの領域がありますが、本イベントではあえてその垣根を取り払い、今一度マイノリティ問題やマイノリティ支援といったものに当事者性を感じてもらえるような内容にしました。また、様々な背景をもつ学生が、安心・安全に参加できるような配慮をしました。
本イベントではまず書き込み式のワークシートを元に、様々な視点から自分自身のもつ「文化」を見つめました。また、「日本」や「大学」という社会システムが差別的な側面をもっていること、その中で意図せず差別に加担してしまう危険性があること、そして、当事者が声をあげにくくなっている背景、困難な状況にさらされた時に支援を得にくい現状について解説しました。
アンケートでは「長年の疑問がクリアになった」、「新しいものの見方を見つける貴重な機会となった」との声もあり、参加者の気づきにつながったことを実感できました。


11月12日(火) 法律でバリアをなくす、法律のバリアをなくす~弁護士の視点から考える障害と人権~
11月12日(火)に、本学法学部卒業生でもある幡野 博基(はたの ひろき)弁護士(多摩パブリック法律事務所)を講師にお迎えし、講演会「法律でバリアをなくす、法律のバリアをなくす~弁護士の視点から考える障害と人権~」を開催しました。
講演では、障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)についてわかりやすく説明いただき、実際の事例・裁判例の紹介を交えて、どんなことが不当な差別的取り扱いとなるのか、どのような配慮の方法があるのかについてお話しいただきました。また、裁判手続のIT化と、それによる障害者への影響についても解説していただきました。建設的対話の前提として、人それぞれ状況や必要とする配慮が異なること、どんな配慮が提供できるか提案することも大事、など大学生活や日常生活にも応用できる視点がちりばめられていました。
参加者からは、「具体的にどんな課題があってどんな調整がされているか、法律をどう活用できるかがわかり、よかった」「社会が変化する必要性に気づいた」等の感想があり、これからにつながる機会となりました。
また本イベントは、講師・手話通訳者とも相談の上、対面・オンラインのハイブリッド型で開催しました。対面では40名ほど、オンラインでは80名以上の方々にご参加いただきました。情報保障は、手話通訳・文字通訳のほか、点字やスクリーンリーダー(音声読み上げ機能)を使用する方にも対応できるよう、資料のテキストデータ化にも取り組みました。今後も学生・教職員をはじめとする関心のある方々が、それぞれの状況の中で参加されるにあたって、バリアのないイベントを運営できるよう工夫していきます。
なお、本イベントと、11月16日(土)「セックスしなくちゃダメなの?~アセクシュアルの視点で考える~」、11月19日(火)「公共訴訟で人種差別と闘う~人種差別的な職務質問をやめさせよう!訴訟~」については、昨年度の「Chuo Diversity Week」に引き続き、ダイバーシティセンターの活動に携わるSA(スチューデント・アシスタント)の学生が運営に携わり、ダイバーシティセンターの職員やコーディネーターとともに、文字通訳・誘導・受付等を担当しました。
11月16日(土) セックスしなくちゃダメなの?~アセクシュアルの視点で考える~
11月16日(土)に、講演会「セックスしなくちゃダメなの?~アセクシュアルの視点で考える~」を開催しました。ゲストには、『いちばんやさしいアロマンティックやアセクシュアルのこと』(2024年、明石書店)の著者である中村健さん、神林麻衣さん(As Loop)をお迎えし、同じく著者の一人である本学ダイバーシティセンターの三宅大二郎コーディネーターも登壇しました。
講演は、まず「性に関する暗黙のルール」というトークテーマで始まりました。ゲストからは、「公共の場で性について話してはいけない」という暗黙のルールが世の中にあるため、性について考える機会が少ない現状が紹介されました。その結果として、アセクシュアルについて取り上げること自体が難しくなっているという課題も共有されました。次に、アセクシュアルなどの当事者が直面しがちな偏見について、性愛の規範は年齢やジェンダーなどと結び付きやすいこと、親密な関係でよりその規範が強化されやすいことなどが話題に上がりました。その後は、アセクシュアルに関する基礎知識の解説のほか、現状を打破するためにどのようなことがこれからできるかという点について「個人」「大学(学校)」「社会」にわけて登壇者によるパネルディスカッションが行われました。
質疑応答の時間では、アセクシュアルなどのアイデンティティに関する手話表現についても質問があり、情報保障として手話通訳をつけた本イベントならではの場面もありました。また講演終了後は、ゲストに質問や感想を伝える参加者が後をたたず、講演内容に対する関心の高さがうかがえました。講演後のアンケートでも、「はじめての内容ばかりで勉強になった」「自身のあり方や社会について考えるいい機会となった」などの感想が集まりました。
11月19日(火) 公共訴訟で人種差別と闘う~人種差別的な職務質問をやめさせよう!訴訟~
11月19日(火)に、本学法学部のマイク・ニックス先生のゼミ生有志が企画した、講演会「公共訴訟で人種差別と闘う~人種差別的な職務質問をやめさせよう!訴訟~」を開催しました。本イベントは、「多様性と平等」をテーマとするゼミ活動の一環として、日本における人種差別問題への関心を広めることを目的に企画したものです。
本イベントのメインテーマである「人種差別的な職務質問をやめさせよう!訴訟」は、外国人や外国にルーツをもつ外見の人々が、警察から職務質問をされやすい現状が人種差別にあたるとして、その違法性を提起した訴訟です。ゲストには、この訴訟の原告であるモーリス・シェルトンさんと、代理人を務める浦城知子弁護士をお迎えし、訴訟の背景や詳細、そして当事者の体験についてお話しいただきました。また、認定NPO法人CALL4の共同代表である丸山央里絵さんにもご登壇いただき、社会課題の解決をめざす訴訟(公共訴訟)を支援する活動について講演いただきました。
当日は、日本語と英語による発表だったため、学生が日英通訳を担当しました。また、司会や資料などはすべて日本語と英語で準備しました。さらに、ダイバーシティセンターも協力して、手話通訳や文字通訳もつけ、多様な人が参加しやすい環境を整えることができました。
講演会には中央大学の学生や教職員だけでなく、他大学の学生や社会人の方々も参加してくださいました。日本における人種差別の問題について、また社会課題を解決する手段としての公共訴訟の重要性についてこの機会に関心を深めていただけていたらうれしいです。
展示
期間中、多摩キャンパスの中央図書館、後楽園キャンパスの図書館理工学部分室、茗荷谷キャンパスの法学部図書館で、イベントのポスターを掲示するとともに、関連書籍を展示しました。