「中大スポーツ」新聞部
Cを背負う者番外編・バレーボール部
2017年02月09日
大西徹(総4)
最高の一瞬
▲引退試合、クイックを放つ大西
「きつかったです」。大西は、自身の大学4年間をこう振り返った。全日本インカレ三連覇という、素晴らしい結果を残した中大バレーボール部。華やかなスター選手がコートをいろどる。しかし、バレーボールでスタメン出場できるのは7人、交代枠も限られる。大きな才能の裏で陽の目を見るときを待つ選手も多い。
大西が初めてベンチに入ったのは、4年次の秋リーグ。つまり、大学4年間の8割以上、公式戦に出場できなかったことになる。同期の大野達也(経4)は、「自分の練習時間を他の選手に使ってもらおうと」4年次から学生コーチに転向。大西も「このまま(試合に)出られないまま終わるのかな」という不安や葛藤を抱え続け、それでも諦めなかった。「秋リーグ前から調子が良かった」と、松永監督は秋リーグ、そしてインカレのベンチメンバーに大西を登録。ピンチサーバーや途中出場で試合に出始めると、少しずつ心境も変化した。「チームのことは考えていたけど本音は楽しくない」ベンチ外の時期よりも、より一層チームに気持ちがこもるようになったそうだ。「最後まで諦めなかったら、コートに立てた。それが1番嬉しかった」。
▲インカレ決勝、ピンチサーバーで出場を果たした
そして、インカレ決勝戦、第1セット。すべてを懸けた大舞台。ピンチサーバーとして、大西はコートに足を踏み入れた。「めちゃくちゃ緊張しました」。得点にはならなかったが、相手を崩すサーブをみせる。優勝が決まった瞬間は涙があふれた。試合後、大学4年間を「きつかった」と振り返った後、でも、と静かに大西は続けた。「最後の一瞬ですべてが報われた、そんな4年間でした」。長く苦しい日々は、すべて最高の瞬間につながっていた。
▲優勝が決まり、チームメイトから胴上げされる
▼大西徹プロフィール
おおにし・とおる 1994年10月22日生 東京都出身 安田学園高卒 194㌢
記事・写真:「中大スポーツ」新聞部