「中大スポーツ」新聞部
硬式野球部・東都大学野球春季入替戦 対青学大 3回戦
2016年06月20日
6月16日 神宮球場
涙、涙、涙の1部残留 伊藤8回零封「開き直った」
▲残留を決め、それぞれの感情を爆発させる選手たち
123 456 789 RHE
○中 大=001 001 000=260
●青学大=000 000 000=041
[青]岡野祐、葛川-山田誠
[中]伊藤、鍬原ー保坂
本塁打:なし
◆スタメン
1[遊]松田 進(法4=国学院久我山)
2[二]土谷 恵介(法3=前橋育英)
3[左]吉田 叡生(経2=佐野日大)
4[三]小河 諒(法4=桐蔭学園)
5[指]堀内 寛人(商2=県岐阜商)
6[中]大城 幸泰(商2=糸満)
7[一]河合 泰聖(法2=龍谷大平安)
8[右]飯嶌 幹太(商3=宇治山田商)
9[捕]保坂 淳介(商3=佐野日大)
P 伊藤 優輔(文2=小山台)
1勝1敗で迎えた入替戦3回戦、先発の伊藤が8回を無失点に抑える好投を見せ、2対0で勝利した。2011年秋の入替戦同様、1回戦を落としてからの連勝。1部残留が決定した。戦国東都の厳しさを経験したチームは、秋季リーグ戦で頂点を目指す。
▲試合後、応援席へ挨拶する松田主将
勝者と敗者。残酷なコントラストが、「戦国東都」の厳しさを象徴しているようだった。プレッシャーから解放された三塁側ベンチ前には、雄叫びを上げる者、涙を流す者、抱き合う者。一塁側から悲壮な面持ちでグラウンドを見つめる青学大とは対照的に、中大の選手は感情を爆発させた。「本当に良かった…力が抜けました」(松田主将)。
大一番の3回戦、先発のマウンドに送られたのは伊藤だった。一昨日の1回戦は6回途中1失点の粘投も、勝利に導くことはできず。今日は「昨秋のいいフォームを思い出して投げた」と伊藤。一昨日までは足を上げたときにそのまま止めていたが、今日は止めずに投げたという。リーグ戦で課題が残った制球もこの日は安定。序盤は走者を背負いながらの投球が続いたが、無失点で打線の援護を待つ。
▲8回無失点投球の伊藤
打線は少ないチャンスをものにした。3回に死球と相手の失策が絡み、無安打で1点を先制。6回には入替戦絶好調の5番・大城幸が1死から三塁打、続く堀内が右翼線へ適時二塁打を放ち2点目を挙げる。
守備でも伊藤を盛り立てる。7回2死の場面では、右中間の飛球を中堅手の大城幸が横っ飛びで好捕した。内野も遊撃手の松田主将を中心に、一試合通して無失策。確実にアウトカウントを稼いだ。
▲7回、大城幸のファインプレーでチェンジとし、笑顔でベンチに戻る。左から大城幸、飯嶌、土谷
伊藤は8回まで被安打3与四球1の無失点投球で、9回は前日完封の鍬原拓也(法3)にマウンドを譲る。鍬原は1死から安打で出塁を許したものの、後続を抑えゲームセット。2対0で勝利し、2勝1敗で1部残留が決まった。
入替戦が決まった約1カ月前、チームは再出発した。今季終了後に実施したオープン戦では3戦3勝。大学選手権にも出場した亜大、上武大を下すなど相手に不足はなく、リーグ戦では課題が残った投手陣も安定感を取り戻しつつあった。しかし一昨日の1回戦、拙守も重なり終盤での逆転負け。後がなくなった状況で清水コーチに「お前らの勝負はこれからだ」と言葉を貰った。
昨日の2回戦、リーグ戦でも1勝を挙げた鍬原が土壇場で完封勝利をやってのけた。「負けたら2部だったが、今更(雰囲気が)暗くなっても仕方ないので」(鍬原)。チームで明るくプレーすることを心掛けた。
主将の松田は、入替戦3試合で10打数1安打と苦しんだ。「リーグ戦でも自分が打てなくて負けた試合もあって、不甲斐なかった」。昨年からプロ志望を明言していた背番号1にとって、今季は「人生が懸かっている」大事なシーズンだった。そんな中、チームは開幕8連敗で最下位。自身の成績を横目に「どんな状況でも笑顔でいる」と誓った。投手に声を掛けるとき、ベンチに戻るとき、笑顔を絶やさず、主将として雰囲気づくりに尽力。試合後、松田主将は「結果が出なくても成長できたシーズン」と目を赤く腫らしながら、笑顔で振り返った。
秋の逆襲へ、最上級生の復活が待たれる。副主将の新城拓(文4)、山田直(文4)ら、下級生時から経験豊富な4年生の出場機会は激減。秋田監督は「良きゃ出すよ。あいつら(4年生)がどう巻き返してくるかね」とコメント。新城は「秋は必ずレギュラーを取り返す」とポジション奪還へ意欲を見せた。1部残留とはいえ、1部最下位というのも事実。24季ぶりの優勝を目指す秋、どん底から這い上がれるか。
◆試合結果
○中大2-0青学大●
※2勝1敗 →1部残留
記事・写真:「中大スポーツ」新聞部