AI・データサイエンスセンター

FD・SD講演会「ChatGPTが促すAI時代の教育革命」

2023年05月22日

2023年5月20日(土)後楽園キャンパスにおいて、第24回FD・SD講演会「ChatGPTが促すAI時代の教育革命」が開催されました。
「ChatGPT」をはじめとする生成AIはビジネスや日常生活において様々な場面で利用され、教育分野での活用についても議論が高まっています。学生のレポートや論文執筆での利用に対して、どのような姿勢で臨むべきか多くの大学で指針が示される中、生成AIの知識・知見を深め、より実践的な対応を考えることを目的として、研究者からの講演、パネルディスカッションを行いました。

第1部の講演で3名の教員から話題提供がされました。

自然言語処理を専門とする理工学部・教授 難波英嗣からは『ChatGPTの仕組みと活用』と題して、大規模言語モデルの仕組みについて説明があり、ChatGPTの得意なこと、苦手なことの解説がありました。

情報法を研究分野とする国際情報学部・教授 岩隈道洋からは『「創作」と「意思表示」― 生成AIと法的課題』と題して、著作権法をはじめとした知的財産法での「創作」や、民法等での「意思表示」の考え方等、生成AI利用による法的な課題について解説され、まとめとして大学生のレポートでの生成AIの利用についてお話がありました。

外国語教育、英語学が専門の国際情報学部・教授 斎藤裕紀恵からは『生成AIの英語教育への利用の可能性』と題して、生成AIやVR(仮想現実)を利用した語学教育の実施例や可能性について、事例を紹介しつつ、説明がありました。

第2部は、講演した3名と、教育力研究開発機構長 佐藤信行(法務研究科・教授)をパネリストとして、理工学部・教授 樋口知之をモデレーターに迎え『生成AIを活用した教育の未来と可能性』と題してパネルディスカッションを行いました。

パネルディスカッションでは、第1部で講演された3名の研究者よりお互いの講演を聞いてのコメントを受けた後、現在学内で検討されている『中央大学における「生成系 AI」についての基本的な考え方(案)』について佐藤信行より解説がありました。

参加者への事前アンケートでも関心が寄せられた、学生による講義レポート等の文章に対する「適切な評価方法」については、技術的に生成AIの関与を避けた問題の作成方法や、手書き答案への回帰といった方法論の他、そもそも学生が「大学で何を身につけたいのか」といった大学における学修目的を踏まえて、教員自身が学修の段階の中で生成AIをツールとしてどのように使っていくべきかを指導していく必要性についても言及されました。また、生成AIの利用に関連する指導や適切な評価方法の検討にあたって懸念される教員への負担については、これまで時間を要していた小テスト問題の作成、教材作成、そして評価ルーブリックの作成などを、生成AIを用いることで負荷の軽減にも繋げることができること、また生成AIを用いたことを教員自身が学生に明示することで、生成AI利用時における指導の一環とすることもアイディアとして共有されました。


本講演会は、中央大学AI・データサイエンスセンター、中央大学ELSIセンター、FD推進委員会、教育力研究開発機構の共催で開催され、理工学部・准教授 酒折文武を総合司会に迎え、開会の挨拶をAI・データサイエンスセンター所長 樫山和男(理工学部・教授)、閉会の挨拶をELSIセンター所長 須藤修(国際情報学部・教授)とFD推進委員会委員長 斎藤正武(商学部・教授)からありました。

講演会場での対面とオンラインのハイフレックスにて開催された本講演会は、学内関係者のみ参加での開催にも関わらず、100名以上の参加があり、高い関心を受けた講演会となりました。