大学院への進学は決めていても、修了までにどのような大学院生としての生活を送るのか知る機会は少ないのではないでしょうか。
今回は大学院の修了要件や修了までにやるべきこと、修了後のキャリアパスについて解説します。
大学院の仕組み
まず大学院の仕組みを理解しておきましょう。日本の大学院には以下のような課程が用意されています。
・修士課程(2年)
・博士前期課程(2年)+博士後期課程(3年)の区分制の博士課程
・一貫制の博士課程(5年)
修士課程を修了すると修士の学位が授与され、博士後期課程や5年一貫制の博士課程へ進学できます。博士前期課程も修士課程と同様、修了すると博士後期課程へ進学できます。博士後期・博士課程を修了すると、博士の学位が授与されます。
大学院の修了要件
続いて大学院を修了するには、どのような要件を満たせばいいのか解説します。
博士前期課程・修士課程の修了要件
博士後期課程・博士課程の修了要件
大学院修了までにすべきこと
大学院の修了要件を満たすためには何をすればよいのでしょうか。
この項目では、大学院の修了要件を満たすために必要なことを解説します。
必要な単位数を修得する
学部同様に科目を履修し、卒業までに必要な単位を修得することが必要です。
学部に比べて必要な単位数は多くありませんが、大学院の授業は学部より専門性が高くなります。講義形式ではなく、学生同士が意見を出し合うゼミ形式の授業も増えるため、主体的に発言する力が求められます。
指導教授の下で研究する
大学院では、興味のあるテーマについて指導教授の下で研究します。
自身の研究分野に関する文献を読んで知識をつけ、深い研究を行えるようにすることが重要です。研究内容によっては、実験や研究発表を行うこともあります。
修士論文・博士論文を書く
指導教授のもとで研究した成果について、修士論文・博士論文を執筆します。
修士論文では既存の研究結果を洗い出すだけではなく、過去の文献や研究室での実験結果から自分自身で新しい学説を作り、執筆することが求められます。そのため、日頃から研究に取り組み、実験や考察を重ねることが重要になるでしょう。
加えて、博士後期課程・博士課程の場合、博士論文の基礎となる論文等を執筆し、学会誌に投稿、受理されている必要があります。学会誌に論文を掲載するには、「査読」と言われる掲載可否を判断する専門家の審査に通る必要があり、事前に研究を重ねておくことが重要です。
就活を行う
日本の民間企業に就職を希望する場合、修了1年前の夏には就活を始めておくことが望まれます。6月上旬頃からインターンシップの選考が始まり、そのための準備が必要になるためです。
就活が忙しくなると、研究との両立が大変になることもあるため、早いうちから準備をしておくことが重要です。自分が興味のある業種について、インターネットや先輩から情報収集をしておくといいでしょう。
大学院修了後のキャリアパス
大学院修了後のキャリアパスについて説明します。職種によって進路が異なるため、早いうちから自分が将来どのような分野に進みたいか考えておきましょう。
民間企業への就職
大学院卒業後の選択肢の1つに、民間企業への就職があります。
理系の場合、研究職や技術職に進む人が多いです。大学院で培ってきた専門知識があるからこそ、メーカーの研究職や建築士等、学部卒は採用していない職種に応募できます。所属する研究室によっては、教授が推薦する企業に就職できる可能性もあります。
文系の場合、統計学を習得してデータサイエンティストを目指す、税法や会計学を修了し会計士試験の一部科目を免除してもらう等、大学院で養った知識を活かして専門職に就くことができます。
研究職を目指す
民間企業に就職する他に、研究職を目指すキャリアもあります。大学教員をはじめとする研究職に就くには、博士前期課程・修士課程修了後に博士後期課程・博士課程への進学が求められる場合がほとんどです。博士後期課程・博士課程以降では、博士前期課程・修士課程よりも高度な内容の研究を進めることになります。
博士号の取得後は、任期付きの研究員やポストドクターとして大学・研究施設で働きながら、さらなる研究業績・教歴を積み、無任期の大学教員等の研究職を目指す人が多いです。
大学院修了後の進路傾向
まとめ
大学院は学部と比べ修了に必要な単位数こそ少ないものの、授業の性質も異なり、さらには自身の研究活動に力を注ぐ必要が出てきます。加えて、修士論文・博士論文の執筆も必要になり、民間企業への就職を望む場合、就活を行うことも視野に入れることが重要です。
大学院を修了することで、エンジニアや会計士など、高い専門知識が必要となる職業や研究職に就きやすくなります。学部生の間から大学院終了後のキャリアについてしっかり考え、目標を持った上で大学院に進学しましょう。