FD・SD活動

第7回・第9回中央大学FD・SDミニセミナーを開催しました。

2025年03月25日

3月14日(金)、3月21日(金)に、中央大学FD・SDミニセミナー「生成系AIと授業」シリーズ企画を実施しました。セミナーはオンラインで開催し、延べ200名以上の教職員(兼任講師を含む)がLIVEで参加しました。

ChatGPTをはじめとした生成系AIの急速な発展は世界中の教育を形を変えており、学びを提供する大学教員も、学ぶ側の大学生も、「活用」と「制御」の狭間で試行錯誤しているのが現状です。今回の連続シリーズ企画は授業と生成系AIとの“共生”を目指し、「授業への活用」と「評価」の視点でアイディアを共有することを目的として、新年度の授業運営に生かすことができる内容を志向しました。

 本セミナーは教育力研究開発機構と共催で行い、講師は澁川幸加教育力研究開発機構専任研究員(文学部特任助教)が務めました。

 

●「生成系AIと授業」シリーズ企画 第1回:「生成系AIを授業でどう活用するか?」

 第1回目は、教員による授業(授業準備、授業内での活用)への生成系AIの活用について、様々なアイディアが共有されました。特に、ペンシルバニア⼤学のワートン校によるまとめとして、7つのプロンプトアプローチ(メンターとしてのAI、チューターとしてのAI等)が紹介され、それぞれのアプローチ方法について具体的な例示も含めて紹介がなされたことにより、授業内、授業準備において有効な生成系AIの活用方法について、あらゆる角度から学ぶ時間となりました。

後半では、澁川専任研究員が実際の授業で用いた事例について、ChatGPTに入力した実際のスクリプトも含めて紹介がなされ、生成系AIによる出力内容や、それに対する学生の反応も含めた「活用」のアイディアを得る貴重な機会となりました。

 

●「生成系AIと授業」シリーズ企画 第2回「生成系AIを考慮した評価とどう向き合うか?」

 第2回目は、生成系AIの利用が大学生世代で特に増加している中において、いかに学生を正当に評価していくかという課題に対して、いくつかのアイディア・考え方が共有されました。制御ではなく、生成系AIの活用を含めた能力の育成・評価を目指すかどうかを考える立場として、まずは大学ではアカデミック・インテグリティ(学問的誠実性)が求められることを学生に伝えること、生成系AI活用も視野に入れた「オリジナル」の意義を学生に考えさせること、そしてその意義とモラルを理解させることの重要性について、海外の大学における事例紹介も含めた説明がなされました。

 後半では、題材の工夫・学習プロセスも含めた評価方法や、自身の知識の積み上げが生成系AIに勝るような試験形式の工夫など、多数のアイディアが共有され、参加者は新年度の授業運営に向けて、多くのヒントを得ることができました。セミナー終了後の質疑応答においても活発な意見交換が行われ、短時間のセミナーは時間以上に濃密なものとなりました。

 

参加した教職員からは

・気になっていたものの活用方法がわからなかったことに関して有益な情報が得られただけでなく、他の先生方の活用状況などもわかり大変ためになりました。

・どのセクションも勉強になりましたが、特に「メンター/チューター/コーチとしてのAI」は自分の授業でも導入しやすいと思い、さっそく4月から導入してまいります。

・生成AIの利用は避けて通れない以上、一律に禁ずるのではなく評価を工夫して活用していこうという姿勢は、多くの教職員で共有すべき内容だと思われました。

・公正な評価を与えるための授業の組み立て方や試験・評価の在り方などについて多様なアイディアをいただけたことは、本学にとって有用な機会であり、大学として一歩前に進む機会であったと感じます。

といった声が寄せられました。

「FD・SDミニセミナー」は、中央大学FD・SD推進委員会を中心に「短時間で」「端的に」情報をキャッチアップする枠組みとして、2024年7月にスタートした企画です。1テーマ10~15分というごく短い時間で、FDあるいはSDに資するテーマを設定し、LIVE配信や録画映像のアーカイブを共有する機会としています。参加(視聴)しやすい形態として複数のテーマを設定することで、教職員一人ひとりが広いテーマに関して正確な知識を獲得し、もって効果的な大学運営に関する業務遂行能力の向上に資することを目的にしています。