大学院

【究める vol.162】在学生の声 宮部 佳奈さん(文学研究科 博士前期課程)

2025年11月10日

「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。今回は「在学生の声」として文学研究科の宮部佳奈さんへのインタビューをお届けします。大学院でのご自身の研究をはじめ、進学した理由や大学院での研究活動・課外活動など、大学院の様子が伝わる様々なエピソードを伺いました。

宮部 佳奈(みやべ かな)さん

研究科:文学研究科
専 攻:西洋史学専攻
課 程:博士前期課程1年

大学院でのご自身の研究について教えてください

古代オリエント世界で広く読み継がれていた『ギルガメシュ叙事詩』を対象に研究をしています。

具体的な研究の切り口は未だ検討中ではありますが、現時点では野人であるエンキドゥが人間社会に受け入れられていく過程や、作中で度々言及される「母親」との関係性、そして書かれた時代により大小様々に内容が異なる各時代版『ギルガメシュ叙事詩』の比較から、『ギルガメシュ叙事詩』における家族関係や血縁関係が物語にどのような意味を与え、どのように機能しているのかを検討してみたいと考えています。

大学院へ進学した理由と、中央大学大学院を進学先に選んだ理由を教えてください

「楔形文字が読みたい」「『ギルガメシュ叙事詩』を原文で読みたい」という大変シンプルな理由で大学院進学を決めました。また、私の場合は学部時代に古代オリエント史を専門とする先生の元で学ぶことができなかったという事情があり、専門家の元でより深く古代オリエント史に触れたいと思ったことも理由の1つです。

中でも中央大学大学院を選んだ理由は、私が関心を持っているシュメール語や神話を研究されている先生がいらっしゃったことに加え、学部時代から度々研究室にお邪魔させていただく中で、研究室の雰囲気が自分に合っていると感じたからです。

実際に入学してみて、大学院はいかがでしたか

主体性も勿論ですが、自分を律する力や計画能力が特に求められる環境だと感じました。授業内容はほとんどが専門分野のものになり、見かけの授業数も学部と比べ少なくなりますが、その分事前準備が重くなります。それと並行する形で就活や専門外の勉強、何より自分の研究を進めていかなければなりません。入学直後よりは余裕が出てきましたが、今も自分のキャパシティを把握するために試行錯誤しています。

大学院の授業はどのように行われていますか。学部との違いや特徴を教えてください

研究で使用する候補の文献

学部での授業は先生の話を受動的に聞く形のものが大半でしたが、大学院では逆に学生が授業で扱う文献や論文を選び、それらを元にした発表や研究の進捗報告を通じて授業が進行することが多いです。そのため、学生に求められる主体性や、授業の事前準備の重さが学部時代との最も大きな違いではないかと思います。

実際に履修した授業について、印象に残っていることを教えてください

古代オリエント史の場合全ての授業に共通して言えることですが、文献や論文、語学の教科書など、ほとんどの教材を外国語のまま使用することになります。特にアッカド語の授業では教科書が英語なのは勿論、歴史的な理由からドイツ語やフランス語も登場します。時制の呼び方、格変化の呼び方といった文法用語も英語のまま使用するため、私の場合慣れるまで少し時間がかかりました。しかし、念願だった楔形文字が読めた時の喜びは何事にも代えがたいものがありました。

中央大学大学院に進学してよかったことについて

西洋史学研究室

志望理由でもありましたが、一番はやはり専門家の元で古代オリエント史を学べることです。また、同じように古代オリエント史を学びたくて進学した友人たちとも出会うことができました。

西洋史学専攻は比較的他大学から進学する学生が多いらしく、内部・外部を問わず切磋琢磨できる仲間ができる点も進学してよかった点の1つです。

授業以外の時間はどのように過ごしていますか

通常のゼミと同時並行でアッカド語やシュメール語などの語学も学んでいるため、忙しい時期はそれらの課題や事前準備にほとんどの時間を割いていました。新しい環境に慣れて余裕が出てからは、趣味の時間をより大切にするようにしています。研究から離れている時に新しい気づきやアイデアを得ることも多いです。

 

また、週に1日ですが授業の無い日にアルバイトをしています。休日には博物館などで行われる講座や講演会に参加することもあります。

大学院進学を目指すみなさんへ

大学院は自分の学びたいもの、好きなものを思う存分学べる場所です。少しでも「まだ学びたい」と思っている方は、ぜひ進学を検討してみてください。色々な人の「好き」の熱量に触れられる環境はとても楽しいですよ!

 

※この記事は2025年11月時点の内容です。