得意な英語を使ってグローバルな視点で仕事がしたい

現在、YKK株式会社で、特に欧米向けに輸出されるガーメントに使われるジッパーの営業・マーケティングを担当しています。
2007年の入社以来、日本で3年、ここ香港で3年を過ごしていますが、世界70カ国で活動している企業ですので、海外での仕事のウエイトが大きいと言えます。
今の仕事を選んだ理由は、英語を使って、海外勤務の仕事がしたかったからです。
高校の時にイギリスに1年間留学していたこともあり、英語は昔から得意で、今ではビジネス上での交渉が行えるレベルで英語を話せます。
中央大学の総合政策学部では、和栗百恵先生のクラスに所属しており、言語・文化・価値観の壁を越え、人・物を巻き込みながら目的達成に向けて行動する能力は和栗先生から学んだと自信を持って言えます。また、目加田説子先生からは物事をグローバルにとらえる視点を学びました。身の回りの小さなことでも、世界中の政治・経済活動につながっている。だから、世界を舞台に活躍できる仕事をしたいと思うようになりました。大学時代の学問が、今の仕事の中で活きています。
若いうちの苦労は買ってでもせよ

学生時代には、少し自分をいじめてほしい――つまり、マゾになってほしいと思っています。義務を果たさずに権利を主張するな、と言いたい。好き勝手を言えるのも学生の時だけ、学生の特権と言えますが、今後出て行く社会における自分の価値を高める為になすべきことをなさずに文句を言うのは疑問です。
私が所属していた頃の総合政策学部では、TOEIC650点、TOEFL500点以上を取得しないと、3年次に上がれませんでした。現在、この制度はなくなったと聞いていますが、残念に思います。若いうちは少し苦労して、自分に負荷をかけてでもクリアすべき壁を持っていた方がいいと思います。壁にぶちあたったら、問題を直視し、自分にとって何が大事で、今何をすればどう変われるのかを考えるべきです。苦労から逃げて、頑張ればクリアできる壁を避けることで、結果的に自分の価値を下げる必要はありません。
世界を相手に仕事をするには、言語能力はマストです。言語はただのツールに過ぎないと言う人もいますが、その道具さえ持っていないと、後々苦労します。
世界には70億人いる。1億2千万人で満足するな
私の目下の目標は、13億人の言語であり、世界の中心になりつつある中国語を勉強することです。経済、政治、文化もそうですが、あらゆる人間の活動を支える要素において、今後日本国内だけに焦点を当てていては成長できません。舞台は世界です。そこで失ってはならないのは、「やってやろう」、「世界を相手にしてやろう」という“士気”だと思います。
そのためにも、日本の学生にはぜひ、海外に出てほしいと思います。海外に出ると、見えることが全然違ってきます。世界には70億人もの人間がいるんです。その中のたった1億2千万人と付き合っても、視野は広がりません。
文化の違う多くの人と話すことによって見えてくることがあり、相手の顔が見えてくると、自然と“士気”は湧いてくるものです。中国語を習得すれば、新たに13億人と会話ができることになります。これだけで、自分に入ってくる情報量・質は日本語だけにたよって入手したそれらよりもはるかに高いものとなります。
グローバル人材に求められること
如何に自分の価値観や目的意識を持ちつつ、他者を受け入れられるかが、グローバル人材には求められると思います。他者は自分ではありませんので、「所詮分かり合えないから、関わらない」とカットするのは簡単です。しかし、今の一般的な日本国民の日中関係の捉え方にもいえることですが簡単にカットしては、その先がありません。意識して中国に興味を持つ――相手に対し、まず興味をもたないとその時点で全てがストップし、何も進みません。
中央大学の学生には、もっと世界中の人々と直に話し、議論をして、ガチでぶつかってほしいです。研究の為でも旅行の為でも構いませんが、鎖国はやめましょう。しかしガチでぶつかるには言語力が不可欠です。国際的な公用語は英語というのが一般の認識となっており、世界と渡り合っていくにはもはや英語は「話せて当たり前」です。まずは会話の手段を身につけること。次にどんどん外に出てき、新しい人・物に出会うこと。そして、世界の一員としての日本人という認識を持って社会に関わっていくこと。日本の学生にも、ぜひ負けないで、世界を舞台に頑張ってほしいと思います。
プロフィール
前川 貢(まえかわ・みつぐ)
1984年埼玉県生まれ。高校時代に1年間ロンドンに留学し、その後、総合政策学部政策科学科に進学(総合政策学部11期生)。2007年卒業後、YKK株式会社に入社し、3年間日本で勤務した後、2010年より香港勤務。現在は、欧米向けに輸出されるガーメントに使われるジッパーのマーケティングを担当。