キャリアセンター(理系)
学生時代の多様な経験を力に日本の通信インフラのコアを支える
KDDI株式会社 コア技術統括本部オペレーション本部ネットワークエンジニアリング部
大倉 悟(おおくら さとる)
広範な分野への好奇心を発揮した学生時代
もともと物理が好きで、大学進学時は幅広い分野を学びたいという理由で理工学部電気電子情報通信工学科を選びました。ハードウェアの回路設計からソフトウェアのプログラミングまで、多岐にわたる領域に触れられることに大きな魅力を感じたからです。
大学時代は、東京ドームや塾のアルバイトに精力的に取り組みました。東京ドームではイベントの警備スタッフとして勤務し、長い時は朝6時から夜22時まで働くことも。塾では講師として小学生や中学生に5教科を教え、生徒のやる気を引き出そうと工夫する中で、みずからも大きく成長できたと感じています。
一方で学業にも力を入れ、日々の授業に集中して復習を習慣化。試験前はアルバイトを控えて勉強に専念し、2年間は給付型の奨学生に選ばれるなど良い結果を残すことができました。
研究室を選ぶ際は、多様な分野への応用の可能性を秘めた無線通信を専門にしたいと考え、電波工学研究室(白井宏教授)に所属。卒業研究では、沖縄の国際通りを対象とした基地局配置の最適化シミュレーションに取り組みました。複数人のチームによる共同研究だったこともあり、適切な役割分担や予期せぬトラブル発生時の連携をとおして、チームワークの重要性を学ぶことができました。
また、学外では地元のクラブチームでバレーボールで体を動かし、アメリカ、イギリス、オーストラリア、インドネシアなど、積極的に海外を訪問。スポーツに励み、海外で多様な価値観に触れた経験も、自身の視野を広げることにつながったと感じています。
学部卒業後は実践で学ぶ道を選択
学部卒業後は大学院に進学することも考えましたが、大学時代の学びを少しでも早く実践に移し、現場でスキルや技術を磨いてキャリアを積みたいという気持ちが強く、就職の道を選びました。どこに自分の適性があるのか見極めたいと思い、就活では不動産、鉄道、自動車、食品、電気、金融などさまざまな業界の会社にエントリー。最終的には、社会インフラを通じて人々の生活に深くかかわる通信業界に絞り込み、その中でも経営トップの思想や理念に最も共感したKDDI株式会社を就職先に決めました。
コアネットワークの保守運用を担当
入社後は、ネットワークの保守運用部門に配属されました。一時はネットワーク機器開発部門にも異動し設備検証などにも携わりましたが、現在は再びネットワークの保守運用部門に戻り、日本全国の主要な局舎(データセンターなど)をつなぐコアネットワークを担当。auやpovoなどの携帯電話やauひかりなどの固定回線(Wi-Fi)のほか、電話、インターネット、テレビなど、お客さまの通信サービスを支える基盤ネットワークの保守運用業務に従事しています。
業務の規模が大きいため、一つの案件をやりきった時の達成感は格別で、日本の約3分の1のトラフィックを賄う大規模な通信インフラを支える責任にやりがいを感じています。反面、わずかな設定ミスが広範囲の通信に影響を及ぼす可能性があるため、作業には細心の注意が欠かせません。突発的な障害が発生した場合は、即座に原因と影響範囲を特定する必要があります。迅速な復旧には柔軟な思考力と技術が求められるため、経験を積み知見を蓄えると同時に、担当外も含めさまざまなネットワークへの理解を深める努力を続けています。また、緊急時には関連部門との連携が不可欠であることから、いざという時に助け合える良好な関係づくりも心掛けています。
業務品質を向上させる確かな仕組み作りをめざして
現在は、コアネットワークの保守を担当するチームのリーダーという立場でもあります。メンバーは私を含めて7名ほど。若手や経験の浅いメンバーも多く、業務品質の向上が大きな課題です。私を含めたメンバー全員のスキルアップはもちろん、少人数でも対応できるよう自動化や効率化の推進にも注力しています。最近では生成AIの進化により、高度なコーディングスキルがなくても業務効率化に役立つスクリプトを作成できるようになりました。そうしたツールも活用し、より高品質でお客さまに満足いただけるネットワークの実現をめざしています。
同時に、特定の熟練者に依存する業務の「属人化」も重要な課題と捉えています。誰もが同じ品質で運用でき、障害時にもワンタッチで復旧可能な、極限まで効率化されたシステムの構築を目標に、社内プロジェクト活動にも意欲的に取り組んでいます。
オンオフのメリハリでモチベーションもアップ
フレックスタイム制を活用することで、忙しく残業した翌日は早めに帰るなど、柔軟な働き方ができています。仕事とプライベートのメリハリを意識し、休みの日にはよく野球観戦に出掛けています。学生時代のアルバイト先でもある東京ドームにも足を運びますが、今はキャッシュレス決済が当たり前になり、広告もデジタルサイネージに変わるなど、時代の変化を感じます(笑)。
ドライブも大好きで、新婚旅行では九州を巡り1000キロ以上運転しました。また、ゲームも趣味の一つで、ジャンルを問わずに楽しんでいます。オンオフをうまく切り替えることで仕事へのモチベーションが高まり、良い循環を生んでいるように思います。
就活生の後輩の皆さんをリクルーターとして応援!
大学時代は、今後の人生を形作る上で非常に貴重な時期です。ぜひ、視野を狭めずにさまざまなことに挑戦してください。将来の可能性をみずから潰してしまうのはもったいないです。私自身も、常に幅広い選択肢を持つことを意識して行動し、自分の経験値を上げるよう努めてきました。それが現在の仕事にも生かされていると感じています。
また、特にこれから就職活動を行う皆さんには、徹底的な自己分析をお勧めします。私は就職活動を意識し始めた大学2年の終わり頃から自己分析を始め、幼少期からの現在までの自分の選択と判断を、時系列で徹底的に洗い出しました。分量にしてWord文書50ページ相当とかなり時間を要しましたが、おかげで自分が何を求め、どのような価値観を持っているのかが明確になり、面接でも自信を持って話せるようになりました。これは、入社後のミスマッチを防ぐ上でも非常に重要なことです。
なお、現在私は中央大学のリクルーターとして、後輩の採用活動にかかわっています(実は、8年前に始まった中央大学の企業選考(リクルーター選考)制度を利用して入社した第1期生です)。毎年、母校を訪問して学生の皆さんと交流しているので、興味があれば声を掛けてもらえるとうれしいです。
そして、保護者の皆さまには、お子さんの成長のために「挑戦を応援し、決して否定しないこと」を留意していただければと思います。お子さんの選択・判断を尊重し、ときに一緒に考え、悩み、金銭面の援助だけでなく学生時代にしかできない挑戦も応援していただけたらと思います。お子さんが貴重な4年間を有意義に過ごせるよう、可能な限りのサポートをしていただければと願っています。
Profile
1995年生まれ。2018年、理工学部電気電子情報通信工学科卒業後、KDDI株式会社に入社。auやpovoといった携帯電話や固定回線、電話・ネット・テレビをはじめ、KDDIが提供するあらゆるネットワークの保守運用業務を担当し、リクルーターとして新卒採用業務にも従事。趣味は野球観戦、ドライブ、ゲーム。
中央大学多摩キャンパスで企業説明会(登壇者が筆者)
中央大学の卒業式。白井研究室の同期と
リクルータメンバーと中大生内定者との懇親会
ロサンゼルスにて。世界で一番高身長な人の銅像と