「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。
今回は「在学生の声」として経済学研究科の堀川俊太郎さんへのインタビューをお届けします。大学院でのご自身の研究をはじめ、進学した理由や大学院での研究活動・課外活動など、大学院の様子が伝わる様々なエピソードを伺いました。
堀川 俊太郎(ほりかわ しゅんたろう)さん
研究科:経済学研究科
専 攻:経済学専攻
課 程:博士前期課程2年
大学院でのご自身の研究について教えてください
私は、日本の地方における医師不足について研究しています。両親が地方で医療に携わっており、地方医療の人手不足という問題を身近に感じながら育ったことが、このテーマを選んだきっかけです。人口統計学や計量経済学の手法を用いて、医師不足が生じる要因やその影響をモデル化し、地方医療の改善に貢献することを目標としています。
大学院へ進学した理由と、中央大学大学院を進学先に選んだ理由を教えてください
大学院進学を意識し始めたのは、学部2年生の秋頃です。当時はゼミで社会問題を分析し、レポートにまとめて議論や批評を行う活動に取り組んでいました。その中で、数値を用いて物事を多角的に分析することに面白さを感じ、より複雑な問題を扱えるようになりたい、さらに高度な分析手法を身につけたいと考えるようになりました。
学部の授業や自主学習を通じて、人口統計学や計量経済学が自分の関心と一致していると実感し、それらを専門的に学べる環境として中央大学大学院経済学研究科への進学を決めました。学部卒業後の就職も考えましたが、大学院での研究活動が将来に必ず役立つと考え、進学を選びました。
実際に入学してみて、大学院はいかがでしたか
入学してまず感じたのは、学生と先生の距離の近さです。わからないことをそのままにせず、すぐに質問して理解を深められる環境があり、専門的で難しい内容も多いのですが、先生方が積極的に応えてくださるので、安心して学びを進められます。この環境が、主体的に学ぶ姿勢を育ててくれていると感じています。
また、講義の最中でも自分の研究内容について話す機会が多くあり、それに対して先生方から専門的な助言をいただけます。一つのテーマをめぐってさまざまな専門家の意見を聞けることは、入学前には想像していなかった魅力でした。
大学院の授業はどのように行われていますか。学部との違いや特徴を教えてください
どの授業も学部のゼミ活動のように、多くの発言を求められます。受け身で知識を受け取るのではなく、自分で文献を読み、考え、意見を述べることが求められる。この点に、学部の授業との大きな違いを感じました。
また、私はデータ分析に関わる授業を多く履修してきましたが、データの入手から加工、仮説設定、分析、考察に至るまでを一貫して学べる点が、大学院の特徴だと感じています。漠然と与えられた課題をこなすのではなく、自分の主張に基づいて仮説を立て、それに適した分析手法を考え、結果を正しく考察する力が求められます。大学院は、こうしたデータ分析の基礎を、実践を通じて身につけられる環境だと思います。
実際に履修した授業について、印象に残っていることを教えてください
和田光平教授の「人口政策論」は、少子化・高齢化や人口減少といった現代日本が直面する課題を題材に、人口政策の基礎となる人口統計学を学ぶ授業です。中央大学は日本で初めて人口論の講義が開講された大学であると伺っており、そのような歴史と伝統を受け継ぐ、中央大学ならではの特色ある授業だと感じました。
授業では、人口学の基礎理論を体系的に学ぶだけでなく、国勢調査などの実際の統計データを用いて人口分析を行う演習にも取り組みます。理論と実践を結び付けながら学べるため、人口問題をデータに基づいて考える力が身につきました。演習中にわからないことがあっても、その場で丁寧に教えていただけるため、安心して学習を進めることができました。
また、先生ご自身の研究論文を題材に、基礎的な知識から専門的な分析までわかりやすく解説していただけたことも印象に残っています。人口学を初めて学ぶ学生でも無理なく理解を深めることができ、学術研究の最前線にも触れられる貴重な機会となりました。
人口問題に関心のある学生はもちろん、統計分析やデータ活用の基礎を学びたい学生にもおすすめできる授業です。私自身、この授業を通じて研究で用いる分析手法の基礎をしっかりと身につけることができました。
中央大学大学院に進学してよかったことについて
学問を探求しようとする人が多く集まっていることです。同期と研究について議論を交わす機会も多く、想像していた以上に刺激的な環境です。
なかでも留学生の多さは印象的で、私の学年は半数が留学生でした。入学当初は文化的背景の異なる人が多いことに戸惑いもありましたが、彼らはわからないことに臆せず質問し、真面目に研究へ取り組んでいました。その真剣な姿勢は、今では私自身の日々の研究のモチベーションになっています。また、異国の地で母国語以外を使って積極的にコミュニケーションを取る姿からは、新しい領域や文化の中へ踏み込んでいくことの大切さを学びました。こうした出会いから、国際的に活躍できる人材になりたいと考えるようになり、研究や授業の合間に英語や中国語の学習にも取り組んでいます。これまで英語には苦手意識があり、英語論文を読む際にも苦労していましたが、今ではそれを乗り越え、積極的に学べるようになりました。
新しい分野へ踏み込むという点では、自分の研究科にとどまらず他研究科の授業を履修できたことも、進学してよかったことの一つです。中央大学大学院には他学研究科履修制度があり、私はこれを利用して文学研究科の「情報科学特講」を履修しました。大規模言語モデルを中心とした深層学習技術について、その特徴やアルゴリズムの概要を学ぶ授業です。Pythonを用いた機械学習を実践的に学ぶことができ、簡単なAIツールであれば自分で作成できるようになりました。自分の研究科だけでは出会えなかった分野に踏み込めたことは、中央大学大学院に入学してよかったと感じる点です。
授業以外の時間はどのように過ごしていますか
授業以外は研究室で過ごすことが多く、そこで自然と人との交流が生まれます。後輩と研究や就職活動について話したり、研究者を目指す博士課程後期の方々と語り合ったりと、同期に限らず幅広い人と関わる時間が多くあります。
留学生との交流も盛んです。入学当初は、同じ研究科にいても留学生同士・日本人同士で分かれてしまい、互いにあまり交流がない状態でした。それでも、日々の生活で距離が近いことから、少しずつ交流の機会が増えていきました。一緒に学業に打ち込むのはもちろん、旅行で使えるフレーズを教え合う言語の勉強会や、ボードゲームを通じた文化交流会を開いたこともあります。今でも、授業の内外で学年を越えた継続的なつながりが続いています。
大学院進学を目指すみなさんへ
私は、専門的な分析手法を学びたいという思いで経済学研究科に進学しました。実際に入学してみると、目標としていた専門知識が確実に身についただけでなく、それ以上に貴重な出会いがありました。
少人数で学生同士や教員との距離が近いからこそ、研究室や授業の場で自然と議論が生まれ、互いに刺激し合えます。同じ学問を深く追究しようとする仲間や留学生と語り合えること、専門的な学問を学べることに加えてそうした人たちと交流できることが、大学院の大きな魅力だと思っています。特に留学生との交流を通じて、国際的に活躍できる人材になりたいという新たな関心も芽生えました。
こうした経験は大学院以外ではなかなか得られないもので、人生においてとても貴重な時間だと感じています。そして私自身、これらの経験を通じて外資メーカーのデータ分析部署から内定をいただき、キャリアの選択肢を大きく広げることができました。
専門性を高めたい人にも、自分の世界を広げたい人にも、中央大学大学院はきっと期待以上の場所になると思います。
※この記事は2026年7月時点の内容です。