
東京造形大学特任准教授・山内佑輔先生の進行のもと行われた交流授業
6月25日(木)、中央大学茗荷谷キャンパス図書館において、法学部の学部留学生(1年生)を対象とした日本語授業(法学部准教授 吉田千春 担当)の一環として、東京学芸大学附属竹早中学校の生徒を招いた交流授業を実施しました。中央大学の留学生10名と、国際交流に関心を持つ竹早中学校の生徒7名(1年生5名、3年生2名)が参加しました。中学生たちは本学茗荷谷キャンパスを見学した後、本を通じて互いの考えや経験を共有しながら交流を深めました。
「BOOKS FINDING & DIALOGUE」で広がる対話

アイスブレイクで、相手の似顔絵に自己紹介の内容を書き込む参加者

ペアで互いについて知るワークに取り組む参加者たち

今の気分を表す色に合わせて、さまざまな本が集められました
本交流授業は、「BOOKS FINDING & DIALOGUE」をテーマに、東京造形大学特任准教授の山内佑輔先生の進行のもと進められました。参加者はまず「CO-portrait」のアイスブレイクに取り組み、互いの緊張をほぐしました。これは、手元を見ずに相手の顔だけを見ながらペアの似顔絵を描く活動で、参加者からは「えー!」「無理!」などの声が上がりましたが、その後は熱心に取り組みました。最後には互いに描いた絵を見せ合い、自然と笑顔があふれました。
続いて、自己紹介を行いました。まずペアで自己紹介を行い、アイスブレイクで描いた似顔絵の余白に相手の情報を書き込みました。次に、他のペアと合流して4人グループをつくり、先ほど聞き取った相手の情報を紹介する「他己紹介」を行いました。参加者は「他己紹介」に向けて積極的に質問を重ね、限られた時間の中で多くの情報を共有しながら、互いへの理解を深めることができました。
今の気分を表す色紙を手がかりに選ばれた一冊
次に、参加者は色紙を使ったチェックインを行いました。机の上に並べられた色紙の中から、「今の気分」を表す色を選び、その理由を紹介しました。4人の選んだ色を並べると、それぞれ異なる色合いが生まれ、「なぜその色を選んだのですか」といった会話が自然に広がりました。
続いて、「BOOKS FINDING READING」の活動を行いました。参加者は、チェックインで選んだ色と同じ色の表紙を持つ本を図書館内で探しました。アイスブレイクでペアになった相手や新たに出会った参加者と会話を交わしながら、それぞれ本を選んでいました。
選んだ本から印象に残った言葉を書き出す参加者
その後、参加者は読みたい本を自由に選び、印象に残った言葉や気になった言葉を短冊に書き出しました。外国語の本や絵本から言葉を見つける生徒もおり、参加者は真剣な表情で本と向き合っていました。
書き出した言葉はホワイトボードに貼り出し、全員で鑑賞しました。その後、並んだ言葉の中から特に気になったものを選び、「なぜその言葉が気になったのか」を共有しました。「宇宙は」や「ファービー語」といったユニークな言葉も取り上げられ、参加者は互いの説明に熱心に耳を傾けていました。
留学生の振り返り
交流授業終了後には、山内先生の進行のもと、留学生のみで振り返りを行いました。
留学生からは、「普段は試験や課題のために義務感から本を読むことが多いが、今回は自由に本を選び、探究心を持って読むことができた」「文字が多いだけで難しそうだと諦めてしまうことがあるが、今回は気になったことをきっかけに本を読むことができた」といった声が聞かれました。
また、「一人で本屋や図書館に行くと、自分の好みの本ばかり選んでしまうが、他の人と一緒に本を探すことで新しい発見があった」という感想もあり、中学生やクラスメートと本を通じて交流したことが、新たな本との出会いにつながったようです。
多くの留学生の印象に残ったのは、中学生たちの読書への向き合い方でした。外国語の本や難しい内容の本にも積極的に挑戦する姿に触れ、「難しいと思ったら読むのをやめてしまうことがあるが、中学生は諦めずに挑戦していた」「大学生としてお手本にならなければと思っていたが、むしろ中学生の好奇心や探究心から学ぶことが多かった」といった声が上がりました。
さらに、「本を読む前から面倒だと思い込んでしまうことがあるが、少し読み始めるだけでも面白さに気づける」「本は目的や理由があって読むものだと思っていたが、純粋な興味や好奇心から読む楽しさを知った」といった感想も聞かれました。中には、「中学生と交流して、自分も諦めずに学び続けたいと思った」「童心や好奇心を大切にしたい」と振り返る学生もいました。
最後に、「図書館には価値のある本がたくさんあることを改めて実感した。これからもっと図書館を活用したい」という声も聞かれ、参加者にとって本の魅力や学ぶことの楽しさを再発見する機会となりました。
中学生の振り返り
参加した中学生からは、「留学生との交流が楽しかった」という感想が数多く寄せられました。「普段は全く交流のない留学生とのコミュニケーションがとても楽しかった」「同級生とは違う雰囲気やオーラを感じることができた」「大学生がとても優しくて面白かった」など、世代や国籍を超えた交流を楽しむ様子がうかがえました。また、「もっと留学生と話したかった」「また交流会があったら参加したい」といった声も聞かれました。
本を通じた交流活動について、「最近は本を読むことへのハードルが高くなっていると感じていたが、表紙の色から本を選ぶことで興味のある本に出会えた」「普段は目を向けない本やコーナーを見ることができ、興味の幅が広がった」といった感想が寄せられました。実際にドイツ語と思われる本を手に取り、留学生と一緒に内容について話した生徒もおり、新たな発見を楽しんでいた様子がうかがえました。
さらに、茗荷谷キャンパスの見学も好評でした。「大学は関係者しか入れない場所だと思っていたが、食堂やスターバックスが利用できることを知った」「1階から5階までの吹き抜けがおしゃれだった」「大学生が持つ学生証がかっこよかった」「たくさんの大学生が学んでいる姿が印象的だった」など、大学ならではの環境にも強い関心が寄せられました。
留学生と一緒に外国語の本を読んだり、言葉について話したりする中で、新たな発見も生まれました。「韓国語で名前を書けるようになってうれしかった」という声もあり、交流を通じて言語や文化への関心を深める機会にもなりました。
今後の交流については、「お気に入りの本を紹介し合う活動をしてみたい」「スポーツ交流をしてみたい」「留学生と一緒に数学の難問を考えてみたい」「さまざまな国の文化について学びたい」「一緒にどこかへ出かけてみたい」など、多くのアイデアが挙げられました。
今回の交流授業では、「本」を介した活動を通じて、参加者が言葉だけでなく、それぞれの直感や関心、発想を共有しながら対話を深めました。本をきっかけに互いの考えや経験を伝え合うことで、留学生にとっては日本語による表現やコミュニケーションを実践する機会となり、中学生にとっても多様な価値観や文化に触れる学びの場となりました。
交流授業のファシリテータ
山内 佑輔 氏(Yusuke YAMAUCHI)
学習環境デザイナー
東京造形大学特任准教授、「造形と対話の研究室」主宰。新渡戸文化学園の創造的拠点「VIVISTOP NITOBE」の運営を担うほか、「造形とコミュニケーション」を軸に、学校、地域、企業などと協働しながら、造形活動や本、空間を媒介とした多世代が創造的に関わり合う場やワークショップのデザインを実践している。
本企画は、「超図書館総合研究所」で出会った文京区茗荷谷エリアの教育機関や地域関係者の交流の中から生まれました。
※株式会社図書館総合研究所は、「超図書館総合研究所」として書架、オフィス、ラボ、スタジオ機能を備え、それらを活用して、これからの図書館を考えるための実験と実践を重ねる、さまざまな立場の人々が集う「秘密基地」を展開しています(同社ホームページより)。
今後も文京区茗荷谷エリアの連携によって、多様な学びの場が生まれることが期待されます。