GO GLOBAL

GO GLOBAL│学生団体Messies — 「やりたい」を「やる」に変える中央大学生の挑戦!

中央大学経済学部の「ビジネス・プロジェクト講座」で出会った学生たちが立ち上げた学生団体Messies(メッシーズ)。
今回、Messiesが合同会社hinamoの運営するかき氷店「南極堂STAND豊田本店」(東京都日野市)の店舗運営に挑戦し、学生主体で企画や情報発信に取り組んでいるとのことで、実際に店舗を訪ねてインタビューを行いました。

「大学に通う場所」だった多摩地域が、「挑戦の舞台(フィールド)」に

多くの大学生にとって、大学周辺地域は、単に「大学があるから行くだけの場所」かもしれません。瀬戸 湊さん(経済学部 国際経済学科)も、入学当初は都内キャンパスに憧れもあり、多摩地域の魅力をつかみきれずにいました。しかし、その多摩の景色を変えたのは、1年生の秋に参加した「多摩ビジネスデザインキャンプ(*1)」でした。地域の人々と出会い、地域の抱える課題を目の当たりにしたことで、大学に通うだけだった多摩の街が、自ら問いを立てて当事者として関わり「挑戦する舞台」へと変わりました。

同時期に、小杉 吏玖さん(経済学部 経済情報システム学科)と瀬戸さんは、経済学部の「ビジネス・プロジェクト講座」で出会い、仲間と企業課題に取り組み、最優秀の評価を得るなど充実した経験を重ねました。一方で、授業が終わればそのつながりも終わってしまうことに違和感を覚え、同じ志を持つ仲間と授業の枠を超えて社会課題に挑戦し続けたいという思いから、学生団体Messiesを結成しました。

(*1)「多摩ビジネスデザインキャンプ」とは、多摩地域における大学と地域が共同して運営する新たな事業を創造するプログラムです。

Messies立ち上げメンバーの小杉さん(右)、瀬戸さん(左)

互いの強みについて聞いてみると、

小杉さんは、瀬戸さんの「人当たりの良さと対話力」を、
瀬戸さんは、小杉さんの「人を惹きつけるリーダーシップ」を挙げました。

 お互いの強みを認め合い、互いを信頼し合う関係性も、Messiesの原動力となっています。

学生団体 Messies(メッシーズ)

「学生の『1歩目』を、社会につなぐ」を理念に2025年4月に結成。

団体名には、①一緒に“メシ”を食べられるほどオフラインでのつながりを大切にすること、②自分たちの力で“メシ”を食べられるようになること、③Messy(混沌・カオス)な、多様性のある組織であること、という3つの意味が込められています。

ビジネスコンテストへの挑戦だけでなく、地域との連携や事業づくりなど、実際に社会の中で挑戦できる環境を提供しています。学生マルシェ(ポップアップストア)の開催や、ビジコンサークル「BizLink」の設立、南極堂STAND豊田本店の事業運営など、地域と連携しながら、学生が社会と接点を持ち、挑戦できる機会を創出しています。

代表 :小杉 吏玖(中央大学 経済学部 経済情報システム学科)
外部交渉責任者: 瀬戸 湊(中央大学 経済学部 国際経済学科)

左奥から高畑氏、小杉さん、瀬戸さん。左手前は国際センターの胡麻本氏。

南極堂STANDでの挑戦のきっかけとなったのが、一般社団法人ひのプロ代表理事の高畑勝氏との出会いです。

小杉さんと瀬戸さんは、「多摩ビジネスデザインキャンプ」のメンターからの紹介を通じて高畑氏と知り合いました。その後、地域の大人たちが集うコミュニティの場を訪れ、「学生が主体となって地域に根差した事業をつくりたい」「ぜひ私たちに挑戦させてほしい」と熱意を伝えたといいます。

農作業や食事づくりを通じて地域の人々が交流するその場に、リクルートスーツ姿で現れた彼らについて、高畑氏は「これまで出会った学生とは少し違う雰囲気を感じました」と振り返ります。

そして、「彼らは当初、『何か手伝うことはありませんか』というスタンスでしたが、ただボランティアとして関わってもらうよりも、運営そのものを任せて自立してもらった方がお互いの学びになると考えました」と語ります。こうして高畑氏は、単なる若者支援の枠を超え、信頼を前提とした「店舗運営を委託する」という一歩踏み込んだ決断をしました。

「南極堂STAND豊田本店」というリアルに挑戦する場との出会い

日野市後援の学生マルシェで地域の方々や事業者と直接つながる機会を得たMessiesは、高畑氏の支援を受け、地域で愛されるかき氷店「南極堂STAND豊田本店」の店舗運営を受託をしました。そしてMessiesにとって、ここは、インターンシップのように「与えられた仕事」をこなすのではなく、学生自身が主体となって考え、意思決定し、責任を持ちながら、本気で事業を作っていく「リアルに挑戦する場」になりました。

しかし、その挑戦は決して甘いものではありません。店舗運営の受託が決まった最初の2週間こそ、本物のビジネスに挑戦できる嬉しさからメンバー間で「ハイタッチ」を交わしましたが、オープンを目前に控えた準備期間には、「10年続く人気黒字店舗を、自分たちの未熟さで潰してしまうかもしれない」という猛烈なプレッシャーが襲います。Messies代表の小杉さんと店長の村中さん(帝京大学経済学部2年生)らは、週に4日、夜遅くまで何度もかき氷を削る練習を繰り返しました。「やっても、やっても不安で、でもやらないと不安。そんな状態でした」と小杉さんは振り返ります。

さらに営業開始後には、厳しい「数字」が彼らの前に立ちはだかりました。6月は天候不良が重なり、売上は想定の0.7倍に落ち込みました。「売上1.5倍にする、と自分たちの口で目標を公言してしまったからこそ、本当に苦しかった。SNSの閲覧数や来店につながる指標が下がるなど、数字として結果が表れる厳しさも実感しました。答えが見つからないまま意思決定をし続けなければならないのが一番の難しさ」と小杉さんは語りました。

現場の切り盛りを担う、村中店長もまた、マネジメントの壁にぶつかっていました。「自分が人を教える側に立つ経験が今までありませんでした。アルバイトのメンバーがどれくらい理解して作業をしてくれているのかを測りながら動く難しさに日々直面しています」と素直な思いを述べました。

そんな学生たちに対し、伴走する高畑氏は「マニュアル通りに動く『運営(オペレーション)』は、今のAIに書かせれば全員同じ内容が出てきます。しかし、時系列の状況変化に対応し、問いを立てて判断し続けるのが本当の『経営』といえるのではないか」と指摘し、だからこそ、あえて彼らに「来年は、再来年はどうするんだ?」と問いを投げかけ、目の前のことばかりにとらわれず、逆算して動くことの大切さを伝えています。

一般社団法人ひのプロ代表理事 高畑勝氏

高畑氏は、一般社団法人ひのプロの一員として、「公と民のあいだ」で人や場をつなぎながら、地域に新たな価値を生み出すまちづくりに取り組んでいます。その一環として、学生団体Messiesによる南極堂の店舗運営を支援し、行政への許可申請や予算獲得など、学生だけでは乗り越えることが難しい「社会の壁」を、一般社団法人としての立場から支えています。また、学生をボランティアではなく、「自ら価値を生み出し、対価を受け取るプロ」として育成するための環境や仕組みづくりにも尽力しています。

高畑氏は、「学生が安心してチャレンジでき、商業者も安心して任せられる機会を地域に定着させたい。南極堂をMessiesに任せた実績を次のチャンスへとつなげ、将来的には彼らが経営を担い、さらに下の世代が運営を支えるような『循環』をつくることが理想です」と語りました。

「想いだけでは人は動かない」——組織運営の葛藤と1on1での対話

Messiesは現在、中央大学を起点としながら、5大学14名に及ぶ多様な関心や才能を持つメンバーが在籍する“カオス(Messy)”な活気ある組織へと成長しつつあります。代表の小杉さんは「同じような思考の人が集まれば、同じアウトプットしか生まれません。企画が得意な人、デザインが得意な人、SNS発信が得意な人、人と話すことが得意な人など、異なる強みを持つメンバーが掛け合わさることで、何か面白いアイデアや新しい価値が生み出せる」と、組織の多様性に絶対の価値を置いています。

しかし、熱量やライフステージ、他のサークルや部活との掛け持ちなど、メンバー間の「活動への関わり方や参加度合いの違い」は、組織運営の課題でもありました。「活動初期に一番苦労したのは『想いだけでは人は動かない』ということでした」と小杉さんは振り返ります。

この課題に対して、小杉さんは毎週全メンバーと「1on1(ワン・オン・ワンミーティング)」を取り入れています。「自分は拾うリーダー」だと考え、「答えは相手の中にある」と信じる小杉さんは、一切自分の考えを押し付けず、ただ徹底してヒアリングを通じて、相手の考えや状況を整理することに徹しています。

「そのメンバーが今何にフォーカスしたいのか。時には『君の人生や幸せにとっては、今はMessiesにフォーカスすべき時期じゃないかもしれないね』と伝えることもあります。本人が気づく瞬間まで、ただ待ち続けます。メンバーそれぞれが、この場所で幸せになれたらいいと思っているからです」

個人の幸せと組織のミッションを1対1でていねいにすり合わせる関わりこそが、チームとして挑戦し続け、乗り越える強さを生んでいます。

この安心できるコミュニティの存在は、メンバーの「心理的安全性」を育てています。瀬戸さんは「元々は非常に心配性で、自分の意見を口に出すのが怖かった。でもメッシーズのメンバーは『いいじゃん、やってみなよ、失敗してもよくない?』といつも背中を押してくれた。だからこそ一歩を踏み出し、とにかく行動してみる、そこから考えるという自分に変わることができた」と、自身の変容を、感謝を込めて語りました。

「中大生たちへ」——拠り所があるから、私たちは挑戦できる

小杉さんは、「大学は、海を見る自由を得る場所」だと語ります。しかしその自由を支える「拠り所」もまた欠かせません。「凧は、地上とつなぐ糸があるからこそ、風に乗って高く、自由に飛ぶことができます。人も同じで、信頼できる仲間や、いつでも戻ってこられる場所があるからこそ、安心して挑戦できるのだと思います」

「お二人にとって挑戦とは?」という問いに対し、小杉さんは「自分の置かれている境界線(枠組み)を理解した上で、それを飛び出す型破りの面白さ」と語り、瀬戸さんは「新しい自分、見たことのなかった世界を自ら掴み取りにいくこと」と、それぞれの言葉で表現してくれました。

小杉さんの実現したい未来は、Messiesの活動を通じて、学生が「やりたい」と思ったことを大切にできる社会を創ること、そのための小さな一歩を支えられる環境を増やし、多摩地域を学生たちの個性豊かな「色」で彩られた街にすることだといいます。

「私たちは特別な学生だから活動できているわけではありません」と、お二人は語ります。「挑戦できる人」と「挑戦できない人」がいるのではなく、必要なのは、最初の一歩を踏み出せる環境と、それを支える『糸(仲間や場所)』があることなのです。

「まずはやってみよう!」

小杉さんと瀬戸さんが最後に語ったメッセージは、とてもシンプルなものでした。信頼できる仲間や挑戦できる場所という「糸」があるからこそ、人は安心して空へと飛び立つことができます。Messiesは、そんな「糸」になるコミュニティを目指しています。

これから中央大学、そして多摩地域の空に、どのような凧が舞い上がっていくのか。国際センターも、彼らが紡ぐ「挑戦を支える糸」を応援していきたいと思います。

 

今回インタビューにご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。