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【春の留学フェア2025】ベルギー留学中の学生と「海外オンライントーク」を実施
2025年05月26日

挑戦してよかった!ベルギー留学体験とメッセージをお届け
国際センターでは、2025年4月10日(木)~4月28日(月)の「春の留学フェア」期間中、さまざまな企画を実施しました。
4月16日(水)に開催された「海外オンライントーク」では、現在ベルギーのルーヴェン・カトリック大学に留学中の中大生とオンラインでつなぎ、現地からのリアルな声をお届けしました。

ベルギーのルーヴェン・カトリック大学に留学中
鈴木来夢さん(経済学部)
ベルギーは地理的にも政治的にもEUの中心に位置するため、EUに関して深い学びを得られると考えました。また、ヨーロッパ圏からの学生はもちろん、アフリカ、中東、中南米など様々な国からの学生が多いという特徴を聞いて、ルーヴェン・カトリック大学に魅力を感じました。さらにヨーロッパの国々への旅行を考える際、アクセスの良いベルギーなら色々な国を見て回れるんじゃないかなと思い選びました。
ルーヴェン・カトリック大学では、Arts(教養学部)に所属しています。中央大学では経済学部に在籍しているため、現地ではEconomics and Business(経済学部)の授業とArtsの授業を半分ずつ履修しています。
留学の目的から授業・生活・就職活動のリアルな経験を語ります
- 交換留学をしようと思ったきっかけと留学の目的を教えてください
- 大学生のうちに、いろいろな国の学生と交流をしたいと思ったからです。 ゼミナール活動の中でタイの学生と交流する機会があり、「もっと多くの国の学生と交流し、お互いの考え方や価値観を知る機会を持ちたい」と思うようになりました。社会人になると、長期の時間を取ることは難しくなると思い、学生のうちに海外で様々な経験をしたいと思い、交換留学に行こうと決めました。
留学では、多国籍の学生と交流することはもちろん、経済学部の学びをさらに深めたいとも考えています。ベルギーはEUの中心に位置し、ヨーロッパ経済の中心となる国なので、EUの施設を見学する機会や、大学では実際にEUの職員の方から授業を受ける機会もあります。それらを通して、経済に関する知見をより深めることができるのではないかと思いました。 - 留学前、英語力の向上のためにどのような勉強をしましたか?
- 留学前は、英語力の向上のために特に単語を重点的にやっていました。 交換留学ではIELTSのスコアが必要になってきます。中でもスピーキングに伸び悩んだため、ChatGPTを活用してアウトプットの練習をしました。話し相手やトピック等が何もない状態で話すのは難しいと考え、一つの手段としてとても便利だと思います。
また、長期留学を志す前の事ですが、大学3年生の夏にイギリスのシェフィールド大学で1カ月間の語学留学を経験しました。日本に帰国してからIELTSを受験し、3年生秋に交換留学に応募。4年生の夏から留学しました。 IELTSのスコアが目標に達するまでには、勉強を始めてから2~3カ月ほどかかりました。リスニングはもともと得意だったし、リーディングも大学受験の勉強で基礎ができていたのでそこまで苦手意識はありませんでした。ただ、IELTS特有の単語をインプットする必要があると思ったのでその点を頑張りました。 - ルーヴェン・カトリック大学での時間割を教えてください
- 今期は経済学部の科目は「Welfare Economics(福祉経済学)」「Strategic Management(戦略的なマネジメント)」、Artsの科目は「History of Jazz(ジャズに関する歴史)」「Current Issues in Historical Perspective(歴史的視点から見る現代の諸問題)」「Institutions and Policy of the EU(EUの制度と政策)」という科目を履修しています。「Institutions and Policy of the EU」では、EUの構造やEUがどのようなことをやっているのか、その制度と仕組みについて、実際のEUの職員のから教わることができます。
授業は週3日ですが、1コマあたり2~3時間あります。授業によっては、事前に論文を1~2つ読んでくる必要があり、準備にかなりの時間を取られます。論文は約15ページですが、文法や語彙が難しく、ページ数以上に理解に時間がかかります。
日本の経済学部の授業と比べると、こちらでは一つのテーマに焦点を当てて深く掘り下げていくという作業が多いのかなと思います。(図1参照) - 授業には慣れましたか?中大の授業との違いを教えてください
- 授業についていくのはだいたい1~2カ月くらいで、実際すべての授業内容をしっかりリスニングできるようになるまでには思ったより時間がかかったと感じています。ただ授業にキャッチアップするために、ほとんどの教授が1~2週間の期間を設けて、レコーディングを公開してくれるので、それを見返しながら自身の理解と照らし合わせて「実際こういう風に言ってたのか」と授業後に復習できたので、授業の内容を理解するための苦労はそこまではなかったと思います。
中大の授業との違いは、ディスカッションメインの授業が多く、学生側に意見を求める場面が多いことです。他の学生がかなり積極的に発言する中、私は発言をするまでに時間を要したかなと思います。 昨年9月から授業が始まり、10月~11月ぐらいには個人的に教授と話すことが出来る機会も増えたので、私が発言に対してハードルを感じていることを共有しました。すると教授側から「日本だとどう?」など話しやすい話題を振ってくれる機会が増え、だんだん自信を持って話せるようになってきました。
少人数の授業では学生が10人弱で、大人数の授業は約100人の学生が受講しています。例えば経済学部の「Strategic Management」の授業は週に3回あり、受講者数が100人を超えますが、そのうち1回はケースを使ったグループワークが行われます。有志のグループが前に出て発表する時間もあり、人数が多かったとしてもディスカッションはしっかり組み込まれていると感じます。 - 中大で3年半勉強してからの留学は、現地の授業を理解する上で役に立っていますか?
- とても役立っていると感じています。基礎の部分をしっかり身につけた上で留学できたため、現地での応用的な学習についても自分自身の知識を前提に理解することができました。改めて基礎から学び直す必要がなかったのは、大きな利点だったと思います。
また、私は中大で経済学部のゼミナールに2年半所属し、特定のトピックについてディスカッションやグループワークを行う経験がありました。 そのおかげもあり、現地の授業中のディスカッションにも自然と対応できていると感じます。

図1:ルーヴェン・カトリック大学での時間割。経済学部の授業(青色)、Artsの授業(オレンジ色)を半分ずつ履修

図2:ベルギー人とアパートをシェア。リビング、キッチン、洗濯機、シャワーは共用、自分専用の個室あり。休日にはお互いの友人を招いてホームパーティーを開くことも。
- 休日はどのように過ごしていますか?
- 基本的には授業の予習復習をしていることが多いです。
またルーヴェン・カトリック大学では、スポーツカード(年額€35)を持っていれば、様々なスポーツセッションに無料で参加できます。私自身、運動が好きなので、空いている時間には様々なセッションに参加しています。インターナショナル・コミュニティも充実していて、週に1~2回はそれらのコミュニティ主催のイベントが開催されているで、それらのイベントにも積極的に参加しています。
また、ルーベンキャンパスには日本学科があり、そこのベルギー人学生と日本人学生とのコミュニティがあり交流の機会も充実しています。 さらに、「パンゲア」(※)という留学生の交流の場として提供されている施設のメンバーシップに加入するとマグカップがもらえ、そのマグカップを持っているとコーヒー、紅茶を無料で飲む事ができます。パンゲアという施設自体が留学生向けのコミュニティになっているためコーヒーや紅茶を飲みに来る様々な学生と交流することが出来ます。ボードゲーム類も充実しています。この他にもスタディセンターをはじめとしてルーヴェン‧カトリック大学は、学生向けのサービスや施設がとても充実していて、ありがたいと思っています。
土日で時間がある時は、オランダやフランスなど近隣の国へ旅行することもあります。どちらも鉄道で片道1〜2時間ほどで行けます。
※Pangea(パンゲア)について|https://www.kuleuven.be/english/stuvo/pangaea - 充実していると感じることは?
- 海外のたくさんの学生たちと交流しながら一緒に遊んだり、ハイキングしたり、その中で自分自身の世界が広がっているのを実感することです。
また、授業に関して、テーマごとに細分化されている内容の授業が多いので、中央大学の学びとは違った視点での学びを得たり、いろいろな学生からの発言を聞いて、「そういう意見もあるのか」、「こういう風に発言すればいいんだ」と新たな気づきを得たりする中で、充実した経験を得られていると感じます。
語学については、ベルギーはフランス語圏、ドイツ語圏、オランダ語圏に分かれていて、ルーヴェンはオランダ語圏に位置しています。ただ、日常生活でオランダ語を使うことはほとんど無くて、オランダ語が喋れなくて困るということはないです。しかし、せっかく住んでるのでオランダ語を勉強したいなと思い、少しだけ自分で学習しています。「ランゲージタンデム」という言語学習のパートナーをマッチングしてくれるシステムを通じ、私はそれでオランダ語とドイツ語のタンデムと一緒に週1回ほど、実際に会話しながら、私は向こうの言語を教わり、相手は日本語を勉強するという形でお互いに学び合っています。 - 不便なことや困ったことはありますか?
- 日常で不便さを感じる場面はほとんどないです。ただ、強いて言えば冬の日照時間がとても短いことです。ベルギーの冬は9時過ぎに日が昇り、16時半には日が沈みます。朝自分が学校に行く時間もまだ暗いので、起きれなかったり、なかなか生活リズムを整えるのが難しかったりと、少し困りました。天気は冬の間は曇りや雨が多かったりするので、全体的にどんよりしていて少し太陽が恋しくなりました。
あと、やはり物価は高くて、外食はなかなかできないため自炊しています。個人的に不便に感じた点は豚バラが売っていないので、肉を使った和食を食べたい時に使える食材が見つかりにくいことです。大きくて分厚いステーキ肉をどう料理すればいいんだろうと困ったことがあります。自分で細かく切ったり、そのままの形でできる料理を探したりして料理しています。ただ調味料等に関してはアジアンスーパーが充実しているため不便に思う事はないです。 - 留学前にしておけばよかったことはありますか?
- 生活面でいうと、料理をしっかりと練習しておけばよかったなと思います。
その他の面で挙げるとヨーロッパの知識をもっと入れておけばよかったなと思います。国内や近くの国に旅行する機会もある中で、ヨーロッパの歴史をしっかりと知っていたらより面白かっただろうと感じる場面が多くあります。
また、日本語や日本文化を学んでる学生と交流する機会が多く、その中で日本の音楽‧アニメや、アジア文化としてK-POPに詳しい子が多くいます。私はそこまでK-POPに詳しくなくて、少なくとも有名どころは押さえておけばよかったなと感じます。好きなものに対して共通の話題があると仲良くなるきっかけになるので日本やアジアの文化もある程度知っておくといいのかなと思います。 - 奨学金はもらっていますか?
- 国際センターから応募させていただいたJASSOの奨学金(※)と、国際センターの「長期留学奨学金」の2つをいただいています。
※JASSOの奨学金の「海外留学支援制度(協定派遣)」は、2024年度秋派遣の学生さんから採用枠をいただき、約60人の学生さんに、ヨーロッパだと月に約8万円の金額を給付しています。2025年度秋派遣や2026年度に留学する学生さんもその奨学金を給付できる可能性が高いので、交換留学の機会があれば、ぜひこちらへのご応募もご検討ください。(国際センターより) - 就職活動と「ロンドンキャリアフォーラム」について教えてください
- 私は日本ではまったく就職活動をしていませんでしたが、留学してから自身の中で「就活をしなければ」という気持ちが芽生え12月頃から少しずつ就職活動をはじめました。ヨーロッパに留学している学生向けの就職活動の場として「ロンドンキャリアフォーラム」があり、そこから応募し、ロンドンでの最終面接まで進んで無事に内定をいただきました。
試験期間と就活の準備が重なっていたので、試験勉強の息抜きもかねて就活に取り組めました。12月半ばに授業が終わり、試験期間中の1カ月半を使って集中してSPI対策や面接などに取り組めたのは良かったです。
「ロンドンキャリアフォーラム」では、現地で企業ブースに直接行ってウォークインという形で履歴書を渡すこともできますが、事前に応募して面接を受けに行く人が多いと思います。
参加学生からの質問
- 留学当初、気候や時差に体を慣らすために工夫したことはありますか?
- 時差は8時間程あるので時差に慣れるのは大変ではありますが、時差というよりも朝が早いことに慣れるのに少し時間がかかりました。
私が来た9月は、太陽が昇る時間が本当に早く4時頃から明るいので、時差の関係もあって早く起きて早く眠くなるという感じでした。私は頑張って慣らそうとせず、街を散歩して朝の時間を楽しみつつ、自分の感覚をだんだん慣らしていきました。ありがたいことにこちらの授業は、実際の講義が開始される前に丸1週間のオリエンテーション期間があり、その後授業が始まります。その間にみんな時差にも環境にも慣れることができると思います。
授業開始まで期間があったことですぐに適応しようという焦りはなく、気持ちに余裕を持って対応できたかなと思います。 - 留学した経験を、将来具体的にどんなことに活かしたいと思っていますか?
- 留学の経験で一番活かしたいと思っているのは、ディスカッションの力や、多様な価値観への理解です。違う価値観や背景を持つ学生と行動を共にする中で、自分自身やチームをどうマネジメントするか、自分はどんな立ち回りができるのか、少しずつ掴めるようになったと感じています。私は将来グローバルに活躍したいと思っているので、多様な人々と関わる時に、どのように立ち回り、どう話を聞いて、どう返すべきかといった点で、留学の経験をしっかり活かしていけたらと思います。
就活時の面接では、留学での経験というよりは、中央大学で学んだことやそこでの経験を主に話しました。留学を自分の強みとして全面的に押し出したというよりは、スキルとして留学で獲得した能力をお話しました。 - 留学生活の中で一番苦労したことは?
- ルーヴェン・カトリック大学の試験はボリュームが大きく、中大の試験とは全く異なる形式なので、試験勉強にはとても苦労しました。
私が前期に受けた筆記試験はレポート形式で、約3時間の中で与えられたテーマについてひたすら書くものでした。参照資料は持ち込めず、すべて手書きでA4用紙3枚分を書く必要があり、どのように書くか、構成や文脈を考えることが難しかったです。また、教授との1対1の対面でのオーラル試験もあり、質問に対して自分の考えを言葉で伝えるという形式への勉強の仕方に苦労しました。 - 時間割について、週3日の授業は自分で意図的に寄せたのですか?また、留学先での授業の選び方や判断基準はありますか?
- 週3日の授業にしたのは、意図的に調整した部分もあります。旅行に行きたい時や、体力的に余裕を持ちたい時のためにスケジュールに余裕を持たせたいと考えていました。ただ学部や教授の都合で、自然と週3日程度にまとまる傾向があると思います。
授業を選ぶ際には、初回の講義から授業を確定するまでに約3週間の猶予があるため、興味のある授業を一通り受けました。その中で、教授のイントネーションが聞き取りにくかったり、内容的に難しそうだと感じたあるいは予想していた内容と異なったりした授業は、履修を見送りました。 また、中央大学では扱われていないようなテーマや、通常の授業では学べないような内容の方が、こちらで学ぶ意義があると思い、新しい視点や、より具体的なテーマを扱う授業を選ぶようにしました。加えて、ディスカッションの量や事前準備の量などの授業形式が、自分の学び方に合いそうな授業を中心に履修するようにしています。
今期は、一部マスターの科目も履修しました。ヨーロッパでは学部生が3年間、4年目からはマスター(大学院)に進みます。私は日本で3年半学び学部生としてクレジット(単位)が足りていたので、現地のコーディネーターと相談の上、マスター科目に挑戦しています。
留学を考えている皆さんへ
中央大学での勉強ではなく、あえて留学を選ぶことには多少のハードルを感じるかもしれません。ただ私は、4年後期という珍しいタイミングながら1年間の留学を選択し、こっちで8カ月程過ごし、本当に行ってよかったと日々感じています。将来を考える上でも、多様な価値観に触れられたことは大きな学びでした。
少しでも留学に興味があったり、迷っていたりする方がいれば、ぜひ思いきってチャレンジしてみてください。実際に現地で生活し学ぶことで、視野は大きく広がります。留学にハードルを感じすぎずに、一つの選択肢として、ぜひ前向きに検討してもらえたらと思います。