留学中に挑戦して経験したことが成長の基盤になり、新しい世界を見ることができます
理工学部精密機械工学科 4年◆ 韓国からの留学生
(在学期間:2019年4月~2024年3月)
[掲載日:2024年03月25日]
さまざまなチャレンジと読書、熟考の日々を通じて、理工学への興味が高まり、
ロボット産業が発達している日本で学ぶことを決めた

日本に留学した理由を結論から言うと、大げさな理由はありません。あえて理由を挙げるなら、私がどこに飛ぶか分からないラグビーボールのような存在だということ!
私は高校時代2年間、カナダに留学しました。成績は良かったけれど、自分が好きなことが何なのか、どこを向いているのかが分からなくなり、カナダの高校を退学し、2017年5月に韓国に戻り、いろいろなことに挑戦しました。乗馬をしてみたり、料理クラスにも通ってみたり、ゴルフを初めて習ってみたり、図書館で本をたくさん読んだりしながら時間を過ごしました。数カ月間、多様な本を読み、YouTubeで映像もたくさん見た後、私は物理や宇宙が好きだということを認識しました。
そこで大学の理工系学部に進学をしたいと思いましたが、修学能力試験(韓国の大学入学共通テストのような試験)の受験に重要な時期をカナダで過ごしていたので、韓国の大学への入学は難しそうでした。海外へ留学に行った方が良いと思い始めたころ、母の親友の息子さんが東京に留学している話を聞いて日本に興味をもち、日本の大学進学希望者向けの塾に相談しました。そこから自然と日本留学試験(EJU)のための勉強を始めました。日本語の会話能力を向上させるために、さまざまなメディアを活用しました。NHKニュースが聞けるアプリ、日本語と英語でニュースを紹介してくれるバイリンガルニュースというポッドキャスト、アニメ、ドラマ等を通じて、日本人が話している日本語を習得しようとしました。
宇宙と物理が好きだから理系を選んでみましたが、物理学科では、純粋物理を専攻してからの将来が私にとっては不透明だと感じていました。同時期に、「はやぶさ」という探査機がとても小さな小惑星に着陸したという宇宙に関する記事を読んで、「私も宇宙開拓に役立つ機械を作りたい!」と単純に考え、そのニュースをきっかけに機械工学科を目指しました。日本の大学と機械工学科の展望について詳しく調べ始め、日本のロボット産業が発達していること、モノのインターネット(IoT)の需要が増えている点を考え、人の感情状態を読み込んで生活をもっと便利にできるように自動で作動可能なロボットを作りたいと思うようになりました。
中央大学理工学部の理念と私の価値観が一致したことが入学の決め手に。
良い友だち、先輩と先生に出会い、研究室で楽しく研究活動ができました

▲研究室で研究中
中央大学の精密機械工学科は、「精密さの追求を通じてシステム全体を把握することのできるグローバルな視野を養う」ということを学科の方針としています。システムの重要性とグローバルに重点を置いていることから、私の価値観と一致していると思いました。その頃、日本社会はグローバル展開よりも国内の競争が激しいイメージだったので、中大理工学部がグローバル人材の育成を目指している点も魅力的でした。キャンパスが都心にあり、特に東京ドームの近くにあるのも、中大を選んだ大きな理由のひとつです。
中央大学で留学を始めてから現在まで、とても満足のいく学校生活を送っています。精密機械工学科は、名前からして「難しそう!」という印象でしたが、実際にも難しかったです(笑) しかし、周りの友だち、先輩、先生に恵まれ、無事に卒業できたのだと思います。コロナ禍のためにプロジェクトと実験は、オンラインでの参加となってしまいましたが、同じ班のみんなのおかげでレポートも無事に書きあげることができ、プロジェクトでも良い結果が出せました! 力学や電気分野の科目は結構難しかったのですが、周りの方々のサポートもあり、無事に単位を取得できて一安心! 一人だったら無理だったことも、いろいろとサポートをしてもらったので、本当に友だちに感謝ですね!
4年次からは、梅田和昇教授の指導する「知的計測システム研究室」に所属し、「深層学習を活用したウエイトトレーニング動画のポーズ推定とパフォーマンス評価」という題目で論文を作成しました。コロナウィルスが蔓延した時期に1年間休学をし、その頃にプログラミングの勉強をし始めました。勉強をしていくうちに、「Python(パイソン=プログラミング言語のひとつ)」を活用して何かをしたいと思うようになりました。そして、研究室見学の際に梅田研究室では、画像処理を行ってPythonで機械学習させる研究班があることを知りました。映像やイメージを画像処理してさまざまな研究をする研究室です。

▲梅田先生と研究室の仲間たち
研究室には7つの班があり、私は機械学習とプログラミングに興味を持っていたため、画像処理をコアとした深層学習による技術開発を目的とする学習班に入りました。元の動画を画像処理してからさまざまな作業が行われるので、4年次は「画像処理」の勉強に力を入れました。
研究室には研究機材だけでなく、みんなで気分転換できるようなグッズもあったりしました。研究活動だけではなく、みんなでご飯を食べたりと、研究室での生活は想像以上に楽しかったです。さらに、自分の部屋からリモートで研究できる環境も整っていたので、比較的自由に研究できたと思います。
私は1年間休学したので、4年生も大学院修士1年生も友だちで、年齢的には修士2年生と同じ年(先輩だったのでちゃんと敬語使いました!)だったので、バラエティ豊かな友人関係の中で研究をしました。研究を通じて一緒に過ごす時間が長かったので、とても仲良くなり、そのおかげで楽しく研究生活を送れました。
課外活動(サークル、アルバイト、韓国人留学生会)
サークルとアルバイト

▲復学した直後に。サークル幹部の仲間たちと
学部の授業以外でもさまざまな活動をしました。体を動かすのが好きで、韓国では女子サッカー部、カナダではバドミントン部でしたが、経験のない新しいスポーツに挑戦しようと、1年生の時にテニスサークル「Bagel」に入りました。すごく楽しくてみんなと大学のテニスコート(現在はありませんが、昔はあったんです)で、週2~3回は活動しました。テニスだけでなく楽しい企画がたくさんあったおかげで、友だちがたくさんできましたし、日本語の上達が早かったと思います。2年次は、Bagelの広報として幹部も経験しました。SNSに没頭していた時期だったので、Bagel公式Instagramの運用に力を入れました。そのときに描いたベーグルのマスコットキャラクターは、今でもサークルアカウントのトップ画像です! 休学から復学しても、後輩たちが仲よくしてくれて合宿も行ったし、とっても楽しかったです!
(Bagelのみんなありがとう♡みんな大好き!)

▲後楽園キャンパスのテニスコートの前で
アルバイトにも力を入れました。お寿司が大好きで、2年生のときに、大学入学前から行きつけだったお寿司屋さんでアルバイトを約8か月間しました。日本に留学する前はアルバイトの経験なんてなかったのですが、学科の友だちでもアルバイトを始める子が多かったんです。アルバイトをやってみた方が社会経験にもよいと思い、検索アプリを入れたら、なんと、行きつけのお店が一番最初に表示され、”これは運命だ!”と感じて、面接で無事に受かって働けるようになりました。主な仕事はホールとテイクアウトの会計でした。寿司のネタの名前を全部覚えていない状態で働き始めたので、最初は少し苦労もしました。しかし、そのおかげで他の留学生よりも魚の名前は詳しいと思います。コロナ禍で辞めてしまいましたが、最近もたまに食べに行っていて、社員さんと仲良くさせてもらっています。
「韓国人留学生会」のリーダーになる! 必要そうな後輩がいた。先輩は後輩を助けてあげる存在だから!
「中央大学韓国人留学生会」の活動を始めたのは、簡単に言うと、必要そうな後輩がいたし、私は先輩だからです(笑)。先輩は後輩を助けてあげる存在だからです。といっても実は、入学してからしばらく「韓国人留学生会」の存在を知りませんでした。普通に勉強して、サークル活動、アルバイトで忙しかったのですが、1年次の後期、奨学金の申込みの時に、奨学生の条件として「韓国人留学生会の活動に熱心な人」という記載を見て、初めて知りました。留学生会の活動全般は多摩キャンパスで行われていて、理工学部は留学生数が少ないためか、知られていないことにも気づき始めました。
そして、2年次にコロナ禍で日本に入国できない後輩がいることを知った時から「韓国人留学生会」に興味を持ち始めました。私の1年次は普通に学校に通えていて、学科やサークルの友だちと先輩にいろいろ助けてもらえました。しかし、コロナ禍で入国もできずに情報も得られない状況にある後輩のことを考えたら、できることがあれば、なんでもしてあげたいと思いました。
まずは留学生数の把握からスタートし、他学科の友だちにも学科内の韓国人がいるかを聞いて、グループチャットを始めました。日本に入国していた韓国人留学生同士でのご飯会を行うなど、大学内での留学生同士の結束力を強くしようとしました。さらに学科の授業に関する情報も得られると思い、私のサークルの仲間とのつながりを作ってあげたりもしました。また、理工学部だけでなく、移転してきた茗荷谷キャンパスの学生とも交流できる環境を作りたいと思いました。私が在学している間に、さまざまな留学生が就職活動の情報等も得られるような基盤を作ることができればいいなと思いました。都心キャンパスの韓国人留学生会の活動が動き始めたことにより、多くの後輩から感謝の言葉をもらえているし、楽しく学校生活を送れる後輩たちが増えたことは、活動してよかったと思っています。
留学・学び・挑戦、そして出会いが私の成長を支えてくれました
理工学部の科目「アントレプレナーシップ」を受講して
「アントレプレナーシップ」の授業を受けた理由は、挑戦することが好きだからです。人間の寿命は長くて100年で、宇宙的な観点からみると、すごく短くてあっという間だと思います。そのため、できるだけ多くのことをやってみて、楽しむことが私のモットーなんです。アントレプレナーシップ・起業家精神というのは、「新しいアイデアと行動力で、リスクを恐れずに成果を追求する積極的な姿勢や能力」を意味しますが、この考え方は、人生をもっと楽しむためには不可欠な考え方だと思いました。
中学生の頃から起業してみたいとも思っていました。自分で付加価値を創出することに魅力を感じ、どんな形でもいいので自分が行く道には、単純作業以上のものがあればいいと思ってきました。私が進もうとする道を、先に歩いたことがある人の話を聞いたり、その人の生活習慣を真似することによって、よりうまく成長できると思いますし、自分と似ている考え方を持っている人と話し合って、より成長したいとも思いました。
「アントレプレナーシップ」を受けて良かった点は、やる気満々の学生にたくさん会えたこと! 自分の将来について考えて、起業家精神に基づいて新しいことを創り出そうとする学生に会えたので、自分ももっと頑張るようになりました。また、「グローバル人材論 I」と「グローバル人材論 II」の講義も受けましたが、普段は接する機会があまりない分野の話をたくさん聴けてよかったです。異なる背景と考え方を持っている学生が集まって、自分の意見を共有する機会は意外と少ないので、自分にとってはすごく大事な経験でした。環境は大事ですからね。
留学して良かったこと、楽しんでいること、成長したこと
価値観の形成にあたって、広い視野を持つようになりました。まだまだ自分が知らない世界がありますが、中央大学で学びながらできる限りの経験をしてきたので、昔は見えなかったことも見ることができるようになったと思います。そして、楽しめることの範囲が広くなりました。特に、さまざまな人に会い、いろいろな話を聞けることが一番楽しいです。
言語は、学問ではなく道具だと思っています。道具は、使うほどに使いやすくなり、さまざまな使い方が分かるようになります。言語ができると、気が合う人に出会う確率が高くなったり、美味しいものをもっとローカルな場所で楽しめるようになったり、自分ひとりでは考えたこともない視点から物事を考えられるようになると思います。留学は、現地の言語・文化を習得するのに一番効率よく質の良い機会を与えてくれるものだと思います。
また、中央大学はたくさんの大切な縁を作ってくれました。学科、サークルでなかよくなった人々はコロナ禍でひとり寂しかったときに、留学を止めないようにと隣で支えてくれました。研究室では友だちと先輩たちが一緒にご飯食べながら研究について相談にのってくれました。日本に適応して安定した学校生活が送れるようにさまざまな情報をくださった多くの先生方、就職活動でお世話になったキャリアセンターの方々、辛いときに力になってくれた学生相談室の方など、本当にありがたい人たちにたくさん出会いました。

▲後楽園キャンパスで撮影中の私
どんなに日本語が流暢であっても、友だちが多くても、「外人」扱いされることはもちろんあります。自分の国とは違って完璧な所属意識を感じることが難しいときもあり、たまに寂しくなるときもあります。そして、学校や友だちなど頼れるところがあるとしても、結局ひとりで解決しなければならない問題が多いため、強くなる必要があります。留学は成長する良い機会ですが、その過程で楽しいことがたくさんあったり、辛いときもあるし大変なことも多いです。でも、それがあるから、もっと強くてかっこいい自分になるんです!
留学を通じて、自分自身についてももっと詳しくなりました。自分を知るためには、多くの経験をしていろいろな人と話すことが大事で、留学にはその機会がたくさんあります。成長しようとする人には、留学は成長の基盤になり、文化を経験したい人には新しい世界を見せてくれるのが特徴だと思います。私はできるだけの経験をしようと一生懸命に過ごしたことにより、こんなにたくさんの出来事に触れることができたのだと思います。
卒業後は、機械系のB2B商社で海外営業担当として働くことになりました。機械系の学科を目指して入学しましたが、エンジニア志望ではありませんでした。4年間に習得した知識を活かし、人と会って話すことができ、外国語能力を高く評価してくれる業界を探して、自分が一番活躍できると思える企業に就職を決めました。世界中のいろんなところに行って、さまざまな人々と話して、自分の世界をさらに広くしていきたいと思います!
【留学を考えている後輩の皆さんへのメッセージ】
成長するためにも、人生を楽しむためにも、いろいろ挑戦してほしいです! そのためには、良い環境にいられるように環境を選ぶこともできます。自分で良い環境を作り出すことも大切です。私は中央大学に入学して、他の場所ではできなかったような貴重な思い出がたくさんできましたし、自分の将来像を具体化することができて良かったです! 中央大学にはそれをできる機会がたくさんあるので、自分が向いている方向に合わせて選べば良い環境だと思います。皆さんの留学を応援しています!
To all students who are interested in studying abroad,
I want you to try various things to improve yourself and enjoy your life! To realize this, you can choose the environment and create it on your own. I enrolled at Chuo University and made many precious memories that I couldn't have gained anywhere else, and I could make my future vision clear. Chuo University is a desirable environment that gives us a lot of opportunities.
I'll cheer for your study abroad!