大学院

【究める Vol.24】修了生の声②

2020年04月23日

福田智子さん(法学研究科博士後期課程2019年度修了)

福田智子さん

◎大学院時代の研究内容

 民法、信託法

大学院生活を振り返って 

 今からちょうど6年前、41歳で私は中央大学大学院に入学しました。当時、私は税理士として10年以上の実績を積み、10数名の部下を持ち、安定した生活をしていましたが、「もっと学術的な知識をつけたい」と思い、仕事を退職し、学問の世界へ足を踏み入れる決断をしました。2年後、博士前期課程を修了し、税理士に戻ることも考えたものの、学術機関で研究を続けたいという夢を捨てきれず、法学博士取得と学術機関で職につくことを目標に、博士後期課程へ進むことにしました。それから4年間、博士論文の執筆を着々と続ける中、中央大学の素晴らしい制度を利用し、さまざまな経験をしました。
 そのひとつが、ミュンヘン大学サマープログラム(M U S T)受講です。本プログラムは、ミュンヘン大学でドイツ法(憲法、民法、会社法、独禁法、租税法)やE U法など全12科目を英語で、1ヶ月間で学ぶというものです。プログラムは、最終試験があり、スケジュールもハードで大変ではありましたが、世界各国から学生や弁護士など、向上心の高い優秀な参加者が多数いて、非常に有益な経験となりました。さらに3年次の時からは学内の任期制助教制度を利用し、大学から研究に専念できる環境を用意して頂き、研究活動と就職活動を行なっていました。そして、4年たった今、私は法学の博士学位を取得し、4月から研究者として一歩を踏み出すなど、当初設定した目標を達成することができました。目標到達の要因は、博士後期課程での様々な経験や実績の積み重ねにあり、これらは指導教授はじめ、多くの先生からの指導や大学からのサポートがあったからだと思います。特に先生からは、たくさんの研究機会や指導を頂き、「教育とは見返りを求めない無償の行為」であることを、身をもって感じました。

 そして、年齢などに関係なく、「学びたい者」には、多くの資源と恵まれた環境が与えられる場が中央大学であり、ここに籍を置き、博士の学位を取得できたことを誇りに感じています

修了後の進路について

 4月以降、茨城大学で民法を教えることになりました。今後は、これまで得た、そしてこれから得る知識や経験を、主に大学という教育機関で還元していくつもりです。

受験生へ一言

 研究を始める時期に制限はないと思います。もちろん、仕事をしながら大学院で学ぶには、考えなければならない事がたくさんありますが、社会に出てから大学院で学ばれる方も多数おられます。私の経験が一例として参考になれば幸いです。

村田一馬さん(法学研究科博士前期課程2019年度修了)

村田一馬さん

◎大学院時代の研究内容

 高齢社会における成年後見・信託の活用(主に福祉型信託受託者の身上保護機能について)

◎大学院生活を振り返って

(1)大学院進学の動機

 私が大学院に進学した動機は、本学法学部のゼミナール活動において現在のテーマである高齢社会における法律問題について触れ、より深く研究したいと考えたことにあります。1、2年生の時点でも法律の勉強をしていましたが、どちらかというとインプットを重視する傾向にありました。しかし、3年生以降の専門演習などの少人数授業で、これまで当たり前にインプットしていた情報について、一度立ち止まって再考することの大切さを知り、法学という学問の本当の魅力に気が付きました。大学院では、1つのテーマについて、より深く探求することができると考え、本学に入学することを決めました。

 

(2)大学院入学後の研究について

 本学には、図書館や共同研究室などの研究に適した設備や、事務室などのサポート機能が充実しており、論文執筆をするうえで最高の環境が整っていると感じます。しかし、個人で文献にあたり、研究室で論文を執筆することだけが研究ではないと思います。その点、本学の最大の魅力は先生方との近い距離感にあると私は考えます。参加する一人ひとりの距離感が近い授業では、より専門性の高い内容について議論を行うことが可能ですし、自ら論点に対して深く考察しやすい環境にあります。また、研究を進めるにあたって良い経験となったのは、研究会などへの参加です。研究会では多種多様な立場の方々の意見を参考にすることができ、当該分野の最新の動向を探るという意味でも大きな成果を得ることができました。

◎修了後の進路、今後の抱負

 修了後は、投資信託に関する仕事を行う予定です。研究色の強いやや特殊な環境への就職になりますが、大学院で行った信託の専門的な研究を活かしつつ、少しでも社会に貢献できるよう努力していきたいと考えています。具体的には、我が国の超高齢社会において、投資信託を安全に利用し、老後も安定した生活が送れるような制度・仕組みづくりを行うことが当面の目標になります。

◎受験生へ一言

 法学研究科では、個人で研究と向き合う時間だけではなく、先生方をはじめ様々な年齢・国籍の方、専門家の方と研究テーマについて議論をする機会もあります。また、学内外含めた研究会などに参加し、様々な意見に触れることもできます。大学院に入学した際には、是非そのような場に積極的に参加し、より深みのある研究成果をあげることができるよう頑張ってください。