大学院

【究める Vol.5】活躍する修了生 堀川祐里さん(経済学研究科2019年度修了)

2019年09月02日

「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。第5回は経済学研究科を修了した堀川祐里さんにお話しを伺いました。

     堀川祐里(ほりかわ ゆうり)さん
    2019年3月に経済学研究科博士課程後期課程経済学専攻を修了し、
    博士(経済学)の学位を取得しました。

   在学中の研究テーマ
    戦時期日本の労務動員における女性労働者の多様性に関する研究 
    (社会政策、ジェンダー史)です。

   現在
    中央大学経済学部任期制助教を経て
    新潟国際情報大学国際学部の専任教員として勤務
    

 

大学院生活を振り返って

本学経済学部の特色である少人数教育の恩恵を受けたことが、大学院進学の動機です。学部1年生の入門ゼミや総合教育科目での学びから大学での学問の面白みを知り、特に2年生後期以降のゼミの経験によって研究者を志すようになりました。1年生で履修した授業によって日本経済史やジェンダーに興味をもっていた私は、2年生ではジェンダーと労使関係に関するテーマを専門とするゼミに入りました。プレゼンテーション大会までのグループでの「ワーク・ライフ・バランス」に関する研究、それに続く卒業論文執筆が研究者になりたいという気持ちを強めていきました。社会人経験を積むため、リーマン・ショックの頃に就活を行い、学部卒業後は社会保険労務士事務所に就職しました。実際に自分自身が労働経験を持ち、また数百の企業に接する労働保険業務の中で問題意識を深めました。ただし、一度学問から離れたため、アカデミックな世界で学ぶ方法や習慣を一度忘れてしまったことは、研究者になる上では少し苦労した点です。しかしながら、大学院入学後、先生方にきめ細かなご指導をいただき、また他大学の研究者のネットワークの中で、研究の作法を身につけることが出来ました。研究者になるための道は困難の連続ですが、中央大学ならではの大学院事務室の皆様の温かな支援も大きな支えとなりました。社会人経験を持つ研究者はマイノリティです。しかし、今となっては、大学生の多くと同じ経験を出来たことが私の強みだと考えており、研究者としても教育者としても、それこそが私の武器でもあると思っています。

現在のお仕事について

私は20194月に中央大学経済学部任期制助教に任用され、現在は、新潟国際情報大学国際学部の専任教員として勤めています。教壇に立つ際に大切にしているのは、出来るだけ目の前の学生の視点に立ち、学生の理解度に配慮した授業をすることです。大学院生時代には、国籍や年齢を問わず、たくさんの後輩に接することが出来ました。この経験により、多様な受講生に対して、出来るだけ多くの受講生が理解しやすい言葉を選ぶことや、授業内容の前提となる基礎知識を適宜補足することなど、授業運営の基本が自然と身につけられたと考えます。さらに、留学生や社会人を含め、それぞれの学生に合わせた丁寧な質疑対応を心掛けられるようになりました。また、本学経済学部のOGとして、陰ながら中央大学の学生たちの応援が出来たらとも思っています。特に自身も所属した経済学部ゼミナール連合会に対しては、自分が同じ立場であったからこそ、学生の気持ちを理解して支援・サポート出来ることがあったら良いなと考えています。

今後の抱負

私は、日本の女性労働者、ひいては全労働者がジェンダー・フリーに能力を発揮し、望めば楽しく子育てもしながら、健康に働ける社会をつくりたいと思っています。そのために、私はジェンダーの視点からの分析を重要視し、過去との対話を念頭に、広く世界を見渡すことのできる研究者になりたいと思います。また、将来社会に出て立派に活躍し、未来を担うことの出来るような学生たちを育てられる教育者になりたいと思います。

受験生のみなさんへ

経済学研究科は、2つの多様性が尊重されています。1つ目に、研究アプローチの多様性が尊重され、大学院生の学問の自由が守られています。また2つ目に、ジェンダーや年齢、国籍にかかわらず、多様性のある大学院生が切磋琢磨しています。多様性を認め、院生の可能性を信じる経済学研究科で、持てる才能をぜひ開花させてください。