法と正義の資料館
森重昭氏ご逝去に際して
2026年03月17日
原爆投下で被爆した米兵の調査で知られる本学卒業生の森重昭氏は、3月14日に、享年88歳でご逝去されました。
森重昭氏のご業績について、現在、法と正義の資料館の第2回企画展「森重昭と被爆米兵調査―戦争が終わるということ」として、とり上げております。
2016年5月、G7サミットの際に広島平和記念資料館を訪問した当時のバラク・オバマ米大統領は、演説の中で森氏のことを次のように述べています。「この地で死亡した米国人の家族を捜し出した男性がいる。彼らと自分自身の損失は同じと信じていたからだ。」
演説の後に面会し抱擁した二人の姿には深い共感と連帯の感情が示されています。
実は森氏は被爆米兵についてだけ調べられたのではありません。そもそもは被爆して亡くなられた方の記録を徹底して作られようとされました。森氏自身も被爆者でおいでですが、一人ひとりの死をしっかりと歴史に残したいという使命感から、一人ひとりのお名前、どこで亡くなられたかを、何千軒もの家を一人で訪ね、手弁当で調べ上げられました。一人ひとりの死は数字ではない、死にはそれぞれの生の証があると。
被爆死に外国人も日本人もない。誰にとっても原爆、戦争は悪だと、その生涯をかけたお仕事で森氏は我々に示されました。
ここに、森氏の稀有なご業績を思い起こし、同氏の深いメッセージを我々は真摯に受け止めるとお誓い申し上げて、追悼の言葉としたいと思います。
2026年3月17日
中央大学法と正義の資料館・館長 大貫裕之