中央大学について

中央大学の教育課程における「生成系AI」利用上の注意事項について(学生向け)

2026年3月11日

中央大学

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1. はじめに

生成系AIは、日常生活で用いられる便利なツールとして広まっています。また大学の授業において、皆さんの学習効率を高めたり、思考をより深くすることを手助けしたりしてくれます。しかし、生成系AIは万能ではなく、利用には特有のリスクと責任が伴います。学生の皆さんは、以下の性質と注意事項を十分に理解し、日常的に生成系AIを使いこなし、また主体性をもって学習に生成系AIを利用していきましょう。

2. 生成系AIの基本的な性質

生成系AIは、ユーザーからの依頼(プロンプト)に対して、最も"尤もらしい"回答を生成します。すなわち、確率によって出力される生成物が決まります。この確率の計算には、それまでに生成系AIが学習した膨大なデータが利用されます。

この性質から、一般的に生成系AIは次の性質を持ちます。

  • データは学習され、情報が流出する可能性があります:ユーザーが生成系AIサービスに入力した情報は、設定によって生成系AIの学習に利用されます。すなわち、入力した情報がサービスに保存されます。万が一機密情報などを生成系AIサービスに入力した場合、その情報が他のユーザーの回答に反映されてしまうかもしれません。
  • ハルシネーションが生成される可能性があります:確率によって回答が生成されるという性質上、生成された内容に誤りが含まれる可能性があります。尤もらしく見えるが誤っている情報を「ハルシネーション(幻覚)」と呼びます。生成系AIを利用する際は、回答にハルシネーションが含まれていないことを確認する必要があります。

3. 日常での生成系AIとの付き合い方

GeminiやCopilot、ChatGPT、Claudeなどは生成系AIの代表的なサービスですが、それ以外にもオンライン通販サイトAmazonが同サイト内で提供しているRufus、SNSのXでのGrokやFacebookのMeta AI、翻訳アプリケーションのDeepL、ワークスペースツールNotionが提供しているNotion AI、各種PDFリーダーに搭載されているAI、さらにはGmail等のメールアプリケーション内での自動概要生成機能や、インターネットブラウザ上で検索結果の概要を示す機能、画像や動画・音声を編集/生成するアプリケーションなど、様々な場面でAIが利用されています(*1)。これらのツールや機能の利便性は皆さんも知るところですが、知らず知らずのうちにAIに情報を入力し、その生成物を利用している可能性もあります。

従って、常日頃から以下のことには十分注意する必要があります。

  • 情報を入力するときには注意する:入力した情報は今やどこで再利用されるか分かりません。機密情報や個人情報などを入力することは控えなければなりません。文字で入力する情報には注意が向きやすいですが、昨今では音声入力や自撮りした画像などを入力に使用する機会も増えてきました。それらの音声や画像すら、生成系AIの学習に使用される可能性があります。
  • 自動で生成された情報に注意する:たとえ自分が情報を入力していなくても、一部の生成系AIサービスやツール、アプリケーション等の機能では、自動でAIを利用した情報(文字、音声、画像、映像など種類は問わず)を出力することがあります。スマホやパソコンで表示されている情報が生成AIで出力されたものかもしれないと意識し、常に見えている情報には、ハルシネーションや倫理的な問題が含まれている可能性があることに気をつけましょう。

AI時代になり、様々な場面で上記のようにAIを利用する際の注意が叫ばれている昨今ですが、もとよりインターネットが広がった頃から、「インターネットで個人情報は入力しない」「インターネット検索で見つかった情報は必ず裏を取る」というような同様の注意が喚起されていました。AI時代の今は、無意識のうちにAIを利用している可能性があるので、スマホやパソコンを利用するときはいつも、これらの注意を頭に入れておきましょう。

(*1) いずれも2026年2月時点の情報。

4. 授業での生成系AIとの付き合い方

生成系AIは、皆さんの学習を促進する可能性を秘めています。一方で、その利用に過度に依存し、自分自身で思考することを放棄してはなりません。AI時代においては、一人ひとりが学習に対する主体性を持つことが一層重要になります。みなさんの思考力・批判的思考を高めることにつながるような利用に努めましょう。

4.1 授業での生成系AIの適切な活用例

授業では、生成系AIを利用して以下のことができます。

  • アイディアを得る
    例:複数のアイディアの視点を整理する、アイディアを広げてもらう
  • 情報収集をする
    例:調べたいテーマの情報を効率的に収集する
    (ただし、信頼できる情報であるか必ずファクトチェックをすることが大切です)
  • 文章の作成・推敲
    例:自分が考えたアイディアと異なる視点を得る、自分が作成した文章をより良くするためのヒントを得る、誤字脱字をチェックする
  • 学習相談の相手にする
    例:学習やプロジェクトの進捗管理に使う、ふり返りの相手になってもらう
  • 自学自習に使う
    例:苦手な単元を繰り返し学習する、英作文を添削してもらう

ただし、生成系AIを活用しない授業だとしても、その授業での経験が、適切なAI活用につながることが期待されます。例えば、皆さんが学習する学問の観点から信頼できる情報源を探す方法や、物事を批判的に判断するための知識・スキル・態度を育成する機会となるでしょう。普段の様々な授業を通して、生成系AIを適切に利活用できるための力を養いましょう。

4.2 気をつけること

生成系AIを活用する際、「学問的誠実性」(Academic Integrity)(*2)を遵守することが求められます。「学問的誠実性」とは、以下の6つの基本的な価値を大切にし続けようとする姿勢のことです。

  • 誠実さ:あらゆる学術的活動およびコミュニケーションにおいて、誠実であり、不正やごまかしがないこと。
  • 信頼:互いの誠実さを信じ、安心して意見交換や協働ができる、開かれた関係や環境を築くこと。
  • 公平さ:評価や取り扱いが公平で一貫し、基準や慣行が合理的で透明である中で、自分の力で学び、不公正な振る舞いをしないこと。
  • 敬意:自分自身や他者、多様な意見、そして学ぶプロセスそのものを大切にし、主体的に参加し機会を最大限に生かすこと。
  • 責任:自らの行動に責任を持ち、規範や方針を守り、不正や周囲の望ましくない誘いに流されない姿勢を貫くこと。
  • 勇気:困難な状況でも自分の価値観や誠実さを守り、不正に立ち向かうために声を上げるなど、正しいことを行い続ける意志をもつこと。

これらの価値は、「どう行動すべきか」という具体的な指針につながり、大学や授業、そして日常生活の中で、理想を実際の行動に移すための土台になります。なお、不適切な生成系AIの利用は、成績評価上の不利益や学生懲戒に繋がることもあります。

学問的誠実性を遵守するうえで、以下のことに気をつけましょう。

必ずすべきこと

生成系AIを利用する際、自分の考えや主張と、出力結果から得た情報は明確に区別する必要があります。そのために、以下の点を遵守しましょう。

  • 自分の言葉で説明しよう:課題を提出する際に、生成系AIを利用して良い場合もあることでしょう。ただし、「出力された結果を箇条書きから平文へ直すだけ」「言葉尻を変えるだけ」では、あなたの思考や言葉が反映されていません。「生成系AIの責任ある利用」につなげるために、自分の言葉として責任を持てるような成果物を作成するようにしましょう。
  • ファクトチェックをしよう:出力された情報の根拠を、信頼できる文献やデータベースで確認しましょう。
  • 記録を残そう:既存の文献を引用するのと同様に、生成系AIの出力結果をレポート等で利用する場合は、どの部分にどのように利用したか、次の事項を明示することが大学のルールとして定められています。
  • ○ 利用した生成系AIシステムの名称及びバージョン
  • ○ 生成系AIシステムの利用日

さらに、以下の内容も必要に応じて提示できるよう、記録しておきましょう。

  • ○ 生成系AIシステムに投入したプロンプト等の情報及び環境設定
  • ○ 生成系AIシステムの出力内容
注意すべきこと

生成系AIを活用する際、以下のことに気をつけましょう。

  • 倫理的観点から検討しましょう:生成内容が人権侵害、差別的表現、偏見を含んでいないか確認してください。
  • 批判的に解釈しましょう:AIには学習データに基づいたバイアス(偏り)が含まれることがあります。出力結果を客観的、かつ批判的な視点で解釈してください。
  • 新しい情報を入手し続けましょう:生成系AIは日々発展するため、日常的に新しい情報を収集しましょう。
  • 依存に気をつけましょう:生成系AIに過度に依存すると、自分自身の思考力の低下につながるリスクがあります。また、AIに尋ねるよりも、先生や友人に聞いたり図書館で書籍などを確認した方がより早く、より正確な情報を得られることもあるでしょう。生成系AIのみならず、様々な大学リソースを活用してみましょう。
してはならないこと

学問的誠実性に反するような、以下の事項を禁止します。

  • 完全コピー:AIの回答をそのままコピー&ペーストしてレポート等として提出することは、大学として禁止事項と定めています。
  • 権利侵害:著作物や知的財産を侵害しないために、他者の論文や著作物を、権利者の許可なく生成系AIに入力させてはいけません。
  • 個人情報や機密情報の入力:自分や他者の名前や住所、非公開の個人情報、未公開の研究情報や活動情報を生成系AIに入力すると、重大な情報流出に繋がります。
確認すること

所属する学部・学科や課程または履修する科目の担当教員が、特別な生成系AI利用ルールを定めることがありますので、その指示を守りましょう。

  • ルール例1:
    「この授業では、生成系AIは、情報の収集・整理・要約、アイデア発想、文章構成案の作成等で活用できます。ただし、AIが生成した内容をそのままレポートや発表資料として提出することは認めません。」
    →指定された状況においては、生成系AIを利用してもかまいません。
  • ルール例2:
    「この授業では、到達目標が達成できなくなることを懸念し、あらゆる場面での生成系AIの利用を禁止する。」
    →この授業での全ての学習活動において、生成系AIを利用してはいけません。
相談すること

生成系AIの利用が学問的誠実性に反するか判断に迷う場合や、生成系AIを利用する際のルールについて不明な点がある場合は、必ず担当教員に相談してください。

なお中央大学における生成系AIを利用する際の留意事項やルールは、https://www.chuo-u.ac.jp/aboutus/efforts/generative_ai/attention/ に記載されていますので、必ず確認しましょう。

International Center for Academic Integrity [ICAI]. (2021). The Fundamental Values of Academic Integrity. (3rd ed.).
www.academicintegrity.org/fundamental(2026年3月12日閲覧)

5. 中央大学で生成系AIツールを利用する際には

中央大学では、大学が契約している有料版のGoogle社のGemini(全学メールアカウントを使用)とMicrosoft社のCopilot Chat(大学が発行したMicrosoftアカウント。全学メールの「@g」を「@m」に変換したメールアドレスを使用)が利用可能です。

学内のアカウントでログインしたこれらのサービスでは、入力した情報は原則として学習に利用されないため、比較的安心して利用することができます。中央大学の学生として生成系AIを使用する場合は、極力これらのツールを、学内アカウントでログインして使用しましょう。

ただし、何事にも"絶対"はありません。一般的な生成系AI利用時の注意事項に従い、個人情報や機密情報は入力しないことを徹底しましょう。

利用が可能な生成系 AI サービス(本学が契約しているサービス)

  Google Workspaceで提供される
Gemini
Google Workspaceで提供される
NotebookLM
Microsoft 365で提供される
Copilot Chat
サービスの内容 チャット形式で、テキスト作成、複雑な質問への回答、コード生成、アイデア出しなどの支援 アップロードした資料を基に、チャット形式で、資料からの情報検索、要約、資料間の関連性分析などの支援 チャット形式で、テキスト作成、複雑な質問への回答、コード生成、アイデア出しなどの支援
サービスの利用方法
※詳細な操作方法については、各ヘルプセンターをご確認ください。
■NotebookLM ヘルプセンター
https://support.google.com/notebooklm/
■Gemini アプリ ヘルプセンター
https://support.google.com/gemini/
全学メールで、GoogleWorkspaceにサインインすることで利用可能 全学メールで、GoogleWorkspaceにサインインすることで利用可能 大学が発行したMicrosoftアカウント(全学メールの「@g」を「@m」に変換したメールアドレス)で、Microsoft365にサインインすることで利用可能
利用データの外部流出やモデル学習へのリスク プロンプトや資料(利用データ)はAIのモデル学習や学習データとしての利用は行われませんが、 入力データの履歴などとしてクラウドに蓄積されるため、サイバー攻撃等によりアカウントが乗っ取られてしまうと、外部への流出事故につながります
個人情報・機密情報の取り扱い 個人情報、プライバシーにかかわる情報、機密情報等の取り扱いには十分注意が必要
上記の外部流出のリスクから、基本的には無用に入力(プロンプト入力やファイル添付)は行ってはならない
アルバイト先やインターンシップ先で入手した情報許可なく使ってはいけません

利用に注意が必要となる生成系AIサービス(個人で利用するサービス)

  フリーで利用できる生成系AIサービス
(無償)
個人等で契約する生成系AIサービス
(無償・有償)
利用データの外部流出やモデル学習へのリスク ユーザー登録など不要で使えるサービス。オプトアウト(入力した内容を学習させない設定)ができないサービスもあり、AIのモデル学習や回答に利用されることが懸念される
個人のプライバシーにかかわる情報や公開されて困るような情報の利用は行わない
利用は無償であっても、商用利用禁止など制約がある場合があり、個々のサービスの利用規約を確認する必要がある
サービス毎に料金体系(無償の場合も含む)や入力データの学習制御設定、商用利用の可否など条件が異なるため、利用規約を確認し、承諾した上で利用する。ユーザ登録を行い、ログインして利用する場合がほとんど。
個人のプライバシーにかかわる情報や公開されて困るような情報の入力は避けるのが望ましい

(表:中央大学情報管理部作成)

以上