広報・広聴活動
ニセ警察詐欺をスマホで疑似体験できる無料ゲームを開発・公開 ―「騙される30秒前」から、被害に至る心理と詐欺を見抜くきっかけを学ぶ―
2026年10月28日
※本プレスリリースは、学校法人中央大学、株式会社Classroom Adventureとの共同発表です。
<成果のポイント>
・ニセ警察詐欺の電話と主人公の心理を、スマホで疑似体験できる無料ゲーム「騙される30秒前」を開発・公開した。
・世代や職業の異なる3人の主人公を通じて、日常の状況や心理が詐欺への対応にどう関わるかを学べる。
・ゲーム後の振り返りで、被害に至る心理的プロセス、具体的な被害防止策、相談先を学べる。
・会員登録やアプリのインストールは不要で、家庭や学校、企業研修、地域の防犯講座などで活用できる
概要
中央大学文学部教授の有賀敦紀、同研究室の大学院生(木次恵、髙橋靖知)、日本貸金業協会、および株式会社Classroom Adventureは、警察庁の協力を得て、ニセ警察詐欺の電話や、被害に至る心理をスマホで疑似体験できる無料ゲーム「騙される30秒前」を開発しました。本ゲームは2026年10月18日に公開し、会員登録やアプリのインストールなしで利用できます。
プレイヤーは、世代や職業の異なる3人の主人公から1人を選び、詐欺の電話がかかってくる3分前から体験を始めます。主人公のスマホから趣味や交友関係、最近の出来事を探索した後、警察官を装った犯人の電話を受け、主人公の心の声や動揺を疑似体験します。ゲーム後の振り返りでは、被害に至る心理的プロセスや、具体的な被害防止策、相談先について学べます。
近年、特殊詐欺の被害が全国的に急増しており、その防止は喫緊の課題となっています。これまでの啓発では、報道やWebページ、消費者教育などを通じた注意喚起や事例紹介が行われてきました。一方、情報を受け取るだけでは、消費者が特殊詐欺を自分事として捉えることが難しいという課題がありました。
本ゲームは、スマホでの主体的な疑似体験を通じて、(1)被害に遭うか、詐欺を見抜けるかは個人の能力や年齢、知識だけで決まるものではなく、状況やタイミングによっては誰もが被害者になり得ること、(2)自分で詐欺を見抜けなくても家族や友人、警察に相談すれば被害防止につながること、への理解を促します。
今後は、本ゲームを広く周知するとともに、学校や企業での教育・研修、自治体などによる教育・啓発イベントでの活用を進め、より効果的な被害防止啓発を目指します。
研究者
中央大学文学部
有賀 敦紀 教授
開発ゲーム
ゲーム名:騙される30秒前
URL:https://www.fake-police.com/
利用料金:無料
利用方法:会員登録やアプリのインストールは不要です。
体験時間:約7〜11分(主人公により異なる)、振り返り約3〜5分
対応端末:スマートフォン(iPhone / Android)、タブレット、PCのブラウザで利用できます。
音声:電話の音声が体験の中心となるため、音声を再生できる環境が必要です。
対象:中学生から高齢者まで
活用場面:家庭、地域の防犯講座、学校の授業、社員研修など
プロジェクトの内容
1.背景
近年、特殊詐欺注1)による被害が増加しており、深刻な社会問題となっています。令和7年(2025年)の認知件数は27,832件、被害額は前年の約2倍の1,423億1,000万円でした。[出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」]
従来は固定電話を介した高齢者の被害が目立っていましたが、近年は携帯電話を介した若年層の被害も広がっており、世代を問わない被害防止策の導入が求められています。
これまでの啓発では、報道やWebページ、消費者教育などを通じた注意喚起や事例紹介が主に行われてきました。一方、情報を受け取るだけでは、消費者が特殊詐欺を自分事として捉えることが難しいという課題がありました。そこで、本プロジェクトでは、若年層から高齢者までの幅広い世代の消費者が、詐欺のシナリオや手口を主体的に疑似体験できる無料のゲーム教材の開発を目指しました。
本ゲームの開発には、中央大学の有賀研究室が日本貸金業協会と連携し、神奈川県警察本部の協力を得て実施した「警察官を装った模擬的特殊詐欺の実験(関連情報を参照)」で得られた知見を活用しています。この実験では、電話に出た大学生25人のうち5人が、個人情報を提供する直前まで進みました。また、怪しいと感じても通話を続けてしまう傾向が見られました。本ゲームでは、こうした通話中の心理に着目し、主人公の心の声や動揺を通じて、詐欺に巻き込まれる過程を疑似体験できるようにしました。
2.プロジェクトの内容と成果
本プロジェクトでは、特殊詐欺の中でも近年多発している「ニセ警察詐欺」注2)に焦点を当てました。プレイヤーは、世代や職業の異なる3人の主人公の中から1人を選んでゲームを始めます。
ゲームは、ニセ警察詐欺の電話がかかってくる3分前から始まります。この3分間で、プレイヤーは主人公のスマホを「覗き見」し、趣味や交友関係、最近の出来事などの情報を探索して、主人公の人物像を思い描きます。3分が経過すると電話がかかってきて、ニセ警察詐欺のシナリオが始まります。プレイヤーは、警察官を装った犯人の話し方や誘導の手口に触れ、それに対する主人公の心の声や動揺を疑似体験できます。
本ゲームでは、3人それぞれの主人公として疑似体験できます。こうした体験を通じて、(1)被害に遭うか、詐欺を見抜けるかは個人の能力や年齢、知識だけで決まるものではなく、状況やタイミングによっては誰もが被害者になり得ること、(2)自分で詐欺を見抜けなくても家族や友人、警察に相談すれば被害防止につながること、への理解を促します。さらに、ゲーム後の振り返りを通じて、被害に至る心理的プロセスや、具体的な被害防止策、相談先について学べる構成としています。こうした体験と振り返りにより、特殊詐欺を自分事として捉え、被害防止に向けた意識を高めることが期待されます。
3.今後の展開
今後は、本ゲームを広く周知するとともに、学校や企業での教育・研修、自治体などによる教育・啓発イベントでの活用を進め、より効果的な被害防止啓発を目指します。また、本ゲームを用いた教育・啓発の効果を測定し、定量的に分析する予定です。
関連情報
警察官を装った模擬的特殊詐欺の実験を実施
~携帯電話に出た学生の5人に1人が被害に遭う可能性を示唆~
https://www.chuo-u.ac.jp/aboutus/communication/press/2026/02/84457/
用語解説
注1)特殊詐欺
電話やSNSなどを通じて、対面することなく相手を信用させ、預貯金口座への振り込みなどの方法で現金などをだまし取る犯罪の総称です。現金などを脅し取る恐喝や、キャッシュカードなどを盗み取る窃盗も含まれます。
注2)ニセ警察詐欺
警察官などを装い、捜査などを名目として現金などをだまし取る特殊詐欺の一種です。
【お問い合わせ先】
<プロジェクトに関すること>
有賀 敦紀(アリガ アツノリ)
中央大学文学部 教授(人文社会学科)
TEL: 042-674-3846
E-mail: aariga413 [アット] g.chuo-u.ac.jp
<広報に関すること>
中央大学 多摩研究支援課
TEL: 042-674-2434
E-mail: kkouhou-grp [アット] g.chuo-u.ac.jp
※[アット]を「@」に変換して送信してください。