教養番組「知の回廊」

1月放送の教養番組『知の回廊』第101回「情報貧国ニッポン」について

2015年01月14日

山﨑久道教授国立国会図書館西口にて

2015年1月放送の番組は、文学部の山﨑久道教授による「情報貧国ニッポン」です。
J:COMチャンネル八王子で、月・水・金 22:00~、水・日 6:30~、土 21:00~、日 23:00~の時間帯で好評放送中ですので、まだご覧になっていない方は是非ご試聴ください(YouTube中大チャンネルやiTunes Uでもご覧いただけます)!

番組内容

日本は自動車やエレクトロニクスなどの分野で、すぐれた製品を次々に開発し、世界市場で大きな経済的成功を収めてきました。モノづくりに関しては、日本は圧倒的な輸出量を誇ってきたのです。ところが『情報』に関しては、食料やエネルギー資源と同じく、大変な輸入大国です。今や我が国では、科学技術分野の先端的な情報は、海外製のデータベースや電子ジャーナルを通じて購入される『輸入品』に頼っているのです。
日本では政府や財団から巨額の研究資金が、大学などの研究者に補助金という形で与えられています。そうした資金をもとに研究が行われ、その成果を論文にまとめてゆきます。特に医学など理系の分野では、海外の有力な学術雑誌に論文を投稿し、その評価によって、研究者の価値が決まりま。そしてその成果の詳細を知るためには、学術雑誌の出版元から、この資料を購入しなくてはなりません。これはつまり、日本の税金によって研究され、日本から発信された研究情報を、わざわざ外国から購入しなければ活かせないという、いわば『二重払い』の悪循環に陥っているのです。

情報は貴重な資産です。我が国でも情報を整理して蓄積するための国家戦略を策定し、これを行政や企業経営の中で展開して、普及・定着させてゆかなければなりません。 デジタルアーカイブやデータベースを大規模に展開することが必要ですが、現在の日本では、この面の動きは、著作権法や投入予算の制約もあり、極めて鈍いものがあります。これは単なるコンピュータやインターネットの整備といった、情報技術の応用問題ではなく、日本の>会や産業の、今後の発展を占う鍵となる、根本的な問題なのです。
今回は、様々な分野において、情報問題に詳しい専門家の方々にお話を伺い、日本における情報資源の重要性を訴えます。