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「JICAボランティアセミナー2023」が開催されました

2023年12月21日

 2023年12月5日(火)、多摩キャンパス グローバル館7階ホールにて、「JICAボランティアセミナー2023」が開催されました。本学ではこのセミナーを2010年から実施しています。JICAボランティア事業の目的や仕組みの説明、青年海外協力隊経験者による体験談を通して、 国際協力や国際交流について考えるきっかけにすることを目的にしています。
 本セミナーには、(公社)青年海外協力協会より小平  直人 氏と本学OBで青年海外協力隊を経験した伊藤  学 氏(2015年経済学部卒業)をお招きし、講演していただきました。また、独立行政法人 国際協力機構より青年海外協力隊事務局事務局長 橘 秀治 氏(本学OB・経済学部卒業)にもお越しいただき、お言葉をいただきました。

JICA海外協力隊について

▲事業概要説明の終了後、学生からの質問に答える小平 直人 氏

 青年海外協力協会の小平 直人 氏からは、JICAボランティア制度およびサポート体制(派遣前研修、派遣時の待遇、福利厚生、安全対策等)の説明がありました。
 JICAボランティア事業は、日本のODA(政府開発援助)の一環としてJICAが実施しています。隊員は、自らの経験や技術を活かして、現地の人々と一緒にその地域の課題に挑戦します。それを通じて、コミュニケーション、異文化適応、柔軟性・協調性、課題対応、精神力、企画・調整、リスク管理等、非常に多くの能力を育むことができるそうです。

 小平さん自身は、2018年7月~2020年3月の期間に、小学校教育の職種で南アフリカ・ザンビア共和国に派遣されて活動を行いました。活動中には、日本とは全く異なる地で多くの戸惑いや苦労を経験したようですが、現地でのさまざまな経験により、大きく成長できたこと、国際協力に貢献することの魅力などを、参加した学生たちに語っていただきました。

伊藤 学 氏(2015年経済学部卒業)による青年海外協力隊体験談

▲ガーナで行っていた活動を説明する伊藤 学氏

 続いて、2018年10月から2020年3月までの1年半、隊員として活動した伊藤  学氏より体験談をお話いただきました。
 伊藤氏は在学中に、経済学部教授 林 光洋の指導の下で開発経済学や国際協力を学びました。卒業後は教員として都内の高校に勤務していましたが、林 教授の「開発学を学んだのであれば、現場を経験してほしい」という言葉が忘れられず、青年海外協力隊を志望。採用が決まってからは、数か月の語学をはじめとした派遣前研修を経て、2018年にアフリカのガーナに小学校教育の職種で赴任しました。
 教員時代に高校では社会科目を指導していましたが、ガーナでは「理数科教育の教員指導力向上」、「実験道具を用いる実践授業手法の教員への指導」を担当しました。1年半の赴任中に、指導案の作成やレクチャーからフィードバックまで、約50校を巡回して約180人の現地教員に指導したそうです。現地の教員たちは理科の授業を受けたことがないし、実験器具などが無い中で、現地で入手可能な材料で実験器具を手作りして、作り方や実験手法を指導しました。さらに、隊員の帰国した後にも現地教員がその授業を行えるよう指導していくことはとても大変だったようです。また、現地教員が子どもたちの将来ビジョンも持たない状況で教えている等、理数科教育以前に教育についての問題も多く感じたそうです。
 コロナウィルスの蔓延により、予定より半年早く現地からの帰国になってしまいましたが、活動を通じて「コミュニケーションの大切さ、ビジョンの共有、健康」について、大きな気づきを得ることができたようです。そしてその後は、東京都の職員としてオリンピックを支える業務に就き、現在は環境経営コンサルタントの仕事に従事しているそうです。隊員時代に身に付けたスキルや気づきを活かして、社会に還元していきたいと語りました。

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 講演後には、学生からの質疑応答の時間が設けられました。学生からは、現地での経験で得たこと、必要な語学力について、活動の中でショックだったこと・うれしかったこと、活動中の困難やそれをどうやって克服したのか、在学中に学んでおくべきこと等、さまざまな質問が寄せられました。小平さんと伊藤さんは熱心に、自身の経験を踏まえて回答したり、パワーポイントをさかのぼって見せながら丁寧に説明していました。さらに、セミナー終了後には、個別で質問をする様子も見られました。