
グローバルと自分の距離感を分かっておらず、常に劣等生な学生時代
学生時代はいわゆる「意識高い系」ではなかったと認識しています。事実、中央大学に入学した時、大学を通してやりたいことといった目標や志が高かったわけでもなく、むしろあまのじゃくで「大学デビュー」とか「飲みサー」みたいなものを冷ややかな目で見ては、敬遠していました。
こんなひねくれ女子大生が独り、心の中で灯していた興味こそが「アメリカ」でした。祖父母と母親が昔、アメリカ・カリフォルニア州に住んでいたことがあり、勝手にルーツを感じていて、英語の勉強を言い訳にしては「ハリウッド映画」や「海外ドラマ」を見あさっていました。大学の授業が終わったらまっすぐ帰宅し、ケーブルテレビで海外ドラマを見るという、青春大学生活とは真逆のスタイルでした。
かぶれていたことは否めませんが、映画やドラマなど、見るもの全てが 日本と違い、表現の豊かさや大胆な魅せ方など、自分の好みに近かったのだと思います。そして、いつしか「どんな人がこんな面白いもの作っているのか」「この人たちに混じって一緒に自分も作りたい」と思うようになりました。

▲大学時代。林田ゼミでベトナム研修へ。現地で働く日系企業にインタビューしました。(写真右:筆者)
さらに2年生の後期に決まった商学部・林田ゼミでは、同期メンバーの中で一番国際経験が少なく、焦りと緊張でした。ゼミの活動内容や先輩方の活躍っぷりが「グローバルでかっこよい」と思って応募し、なんとか入ることができたのですが、これまた自分の「非グローバルさ」を感じたスタートだったのを覚えています。
底辺スタートだったからこそ、「なにくそ精神」で頑張れた

▲カールトン大学への留学。ミネソタ州はアメリカ人でもなかなか行かない場所なので貴重な体験でした
出鼻を挫かれた私ですが、底辺にいることを知った私は、もうこれ以下も、失うものもないので、ここから這い上がるしかないというようなマインドでした(あとから思い返してみると、アメリカ映画では主人公が、Loser=負け犬的な存在から逆転するみたいなストーリー構成が多く、そこに影響されたのか、と思う)。
とにかくできることからやるしかないなと思い、地道に英単語を覚えたり(これが意外とバカにできなかった)、ビジネス英語は基礎コースを徹底し、引き続き海外コンテンツを見る生活をしていました。
大学3年生の時には、中央大学の短期留学プログラムでカールトン大学(アメリカ・ミネソタ州)へ3週間の語学留学をしました。グローバル人材というと、英語が話題にのぼりがちですが、ツールである英語力だけでなく、国際感覚を培うには、日本を出た方が効率よく濃い経験をできると思います。カールトンで見た情景やそこでの経験は、いまだに自分の中に残っています。参加者や現地のチューターとプログラム後にも繋がっているというのは、「インドア・グローバル」では得られなかったものだと思います。
また大学4年次には、大学の奨学金制度を使い、カリフォルニア大学ロサンゼルス校にも短期留学しました。斡旋会社を使わずに、学校と直接やり取りして入学手続きをしたり、語学に加えて、現地で広告について聞き込み調査をしたりと、少しずつ底辺からの脱却をしていきました。
大学4年間でグローバルのウォーミングアップが整ってきた私は、本格的にグローバル進出すべく、グローバルな職につくか、長期留学をしたいと思ってました。しかしながら人生そううまくは行かないもので、卒業後、そのどちらも実現できませんでした。
計画的にできなくても、後付けで良い成果物にしていけばオッケー

▲サンフランシスコの名所、ゴールデンゲートブリッジを眺めながら会社の仲間とバーベキュー
ということで、いったんは東京で働き、絶対またアメリカに行こうという気持ちで社会人になりました。実際に社会人になってからも地道に英語の勉強をするとともに、アメリカに旅行してみたりと、自分の心の中の光を絶やさないように活動を続け、大学院を受験しました。そして、カリフォルニア州サンフランシスコにあるHult International Business Schoolという大学院でマーケティングを勉強した後、現地で就職し現在に至る、 という流れです。
これまた大学院でも、大学院卒業後も底辺スタートの連続ではありました(詳しい話は長くなるので本人へお聞きください)が、現在はなんとか、マーケターとして、サンフランシスコにあるデザイン会社で働いております。主に、アメリカに進出したい日本企業や、サンフランシスコ・シリコンバレーの新しいやり方や考え方を取り入れてイノベーションを生み出したい日本企業をコンサルティングする業務です。
ここ、サンフランシスコ・シリコンバレーでは、テクノロジーを活用して新しい問題解決や新しい価値の創造をしていくスタートアップが次々と生まれています。それも、グローバルを見越した、非常に大きい規模で、物凄いスピードで成長しています。そんな中で、日本とアメリカを繋ぐビジネスのマーケティングに携われていることには、非常にやりがいを感じています。

▲サンフランシスコのオフィスではのびのびしたワークスタイルで、各自が緩急つけて働いている印象です
そもそもアメリカ進出やグローバルへの絶対的な正攻法などないのですから。
※Connecting the dots
アップル社の元会長、スティーブ・ジョブズ氏の名言。2005年、アメリカのスタンフォード大学の卒業式に招かれた際のスピーチの中の言葉。
まとめ~後輩の皆さんに伝えたいこと
「グローバルって別にかっこよくない」というメッセージの元、私の大学時代を中心とした経緯を話させていただきました。
まとめを書いてみると、大学時代の自分に言いたい言葉になるのですが、皆さんにとっても少しでもお役立てしていただけると幸いです。
◆「グローバル」だからかっこよいんじゃない。グローバルは泥臭いし、地道な努力も多い。だから(大体)カッコいい
自分が今のようにグローバルに足を突っ込むまでは、「グローバルって、外国人と英語でコミュニケーションしながら、いろんな国に行って、かっこよい(自分には全く別の世界だ~)」という感覚を持っていました。
しかしながら、アメリカで、さまざまな国籍・バックグラウンドの人と話すにつれ、かっこよさは「グローバルだから」ではないということを実感しました。当たり前に聞こえるかもしれないですが、大学生だった私には分かっていませんでした。海外でもコミュニケーションができる人は、見えない地道な努力があったり、最低1回は恥をさらす体験をしていたりします。こういった、辛い状況でも、それぞれ工夫して奮闘している様こそがかっこよいのではないかと思っております。
◆「グローバル」がかっこよいんじゃない。『何をするか。』なので、無駄にハードルを上げない
「グローバル」に憧れていた時は、グローバルって全く別世界のもので、グローバルの人たちって生まれつきその要素がある人たちなのだと思っていました。確かにそういう人もおりますが、そうでなくでも、アメリカに来て、活躍されている人はたくさんいます。 私が大学時代に見ていた情報では、グローバル人材として取り上げられている人の多くが帰国子女や海外経験者豊富な人だった記憶があり、いつの間にか彼らの経歴が「正解のルート」みたいなものだという思い込みに取りつかれていたのかもしれません。

▲サンフランシスコの、この天気と景色で、かなり前向きにやっていけますよ!
「何がなんでもグローバル目指せ!」というつもりはないですが、私は自分が面白いと思うことがアメリカにあるので、アメリカを目指し、今ここで頑張っています。海外に面白みや興味を感じられる方には、もちろん海外進出をおすすめします。
皆さんの目標が何であれ、この記事を通して皆さんの背中を少しでも押せれたら幸いです。
恩師からのメッセージ
一言で言えば勝間田さんは、自分に正直な、向上心の持ち主です。優れた人に出会うとその人のようになりたいのに自分の気持ちをごまかし、努力を止める人もいます。この点、勝間田さんは夢を描き続け、一つずつ着実に叶えてきたと思います。きっと輝いているはずです。
ウオルトディズニー氏の名言 "If you can dream it, you can do it." を思い出させる教え子です。
■プロフィール■
勝間田 靖子(かつまた やすこ)さん
btrax, Inc.(アメリカ・サンフランシスコ)勤務:Marketing Specialist
1989年生まれ、千葉県浦安市出身。
2012年中央大学商学部 商業・貿易学科卒業。卒業時のゼミ:「ビジネス・コミュニケーション」林田博光教授
新卒で中外製薬株式会社へ入社。社内ITの管理・運用からITによる働き方改善などに約3年間、従事。留学のために退職。Hult International Business School(アメリカ・サンフランシスコ)にてInternational Marketingの修士号を取得。
卒業後は、サンフランシスコのエクスペリエンスデザイン会社、btrax, Inc. <https://btrax.com/jp/> に入社。
マーケティングスペシャリストとして大手企業のアメリカ進出マーケティングなどを担当。
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