大学紹介

新年のご挨拶 -学長 河合 久-

2025年01月01日

学長 河合 久

 皆様におかれましては、お健やかに新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。2025年の年頭にあたり、学長より謹んでご挨拶を申し上げます。

 法学部の都心移転と7年に1度の機関別認証評価が一段落して迎えた昨年は、本学の将来を眺望する新たな視点が萌芽した年でした。例えば、世界に存在感を示すに足る包括的な国際化と研究支援体制に関する全学方針が示されました。また、スポーツ情報学部(仮称)と情報農学部(仮称)の新学部構想において、これまで人文・社会科学系学部のみで構成されていた多摩キャンパスに理系要素を組み入れることによって、学問領域の拡大と文理融合型教育を展開する可能性が現実味を帯びてきました。

 昨年のこうした取組は、深刻な人口減少問題を抱える日本社会にイノベーションをもたらす人材を育てるべきとされる、高等教育機関への国や社会からの負託に応えるために、崇高な理想の下に導入可能な新たな方策を全学的に共有した段階であったと位置づけることができます。

 それらに関連し、一昨年から昨年にかけて、文部科学省の「大学・高専機能強化支援事業」、科学技術振興機構(JST)の「次世代研究者挑戦的研究プログラム」、そして、東京都の「大学発スタートアップ創出支援事業(タイプⅡ 環境構築型)」に採択されたことは、本学の教育・研究・社会貢献活動が高く評価された証左であり、本学に対する大きな期待の表れであると理解しています。

 さて、本年は「Chuo Vision 2025」の最終年度であると共に、創立150周年に当たる2035年の学校法人中央大学のあるべき姿を想定した次期中長期計画「Chuo Vision 2035」を策定する年でもあります。節目の一年となるとはいえ、2026年度の理工学部再編、2027年度の新学部創設という大きな構造改革を控え、本年は、連続性が求められる事業についてはその定着化を図る一年、また、検討の継続が必要な事項についてはその精緻化・具体化を図る一年にすべきでしょう。

 学長の姿勢を改めて申し述べるとすれば、「未来に向けた本学のチャレンジは、伝統と実績に裏付けられた質の高い教育を展開している各学部・大学院および各研究所の弛まぬ変革を基本としつつ、それぞれの底力を結集し、全ての教育研究機関の努力を全学的な教育力、研究力、社会貢献力のいっそうの向上に結びつけ、さらに開かれた中央大学を目指す」ということです。そのうえで、本年、特に強調したい事項は以下の4点です。

 第一に、本学の「Chuo Global-X」構想に盛り込まれた包括的な国際化に向けた事業を定着させ、また、研究力強化に向けた研究支援体制方針を実施に移すための基盤を順次整えることです。

 第二に、大学院改革の推進です。今後の大学院改革を構想し、推進していくことを目的として、学長の下に新たに設置した中央大学大学院改革推進委員会を中心に、博士後期課程における研究職を含む多様なキャリアパスを想定した高度専門職業人養成に通じるような博士前期課程における教育・研究の改革の実現を目指します。

 第三に、地域・地方の教育研究機関との実質的連携の推進です。大学の所在地周辺だけでなく、人口減少や地場産業の低迷に苦しむ地域との連携による当該地域の発展に資する貢献が大学に期待されていることに鑑み、本学が培ってきた研究成果だけでなく、アントレプレナー精神を備えた学生のアイデアを当該地域に実装できるような、斬新な地域共創モデルを稼働するプラットホームの構築を目指します。

 第四に、教育・研究DXを推進するグランドデザインの策定です。学内における組織の壁を越えた相互連携を一層強化し、教育研究活動にかかわる支援が均一に享受できる体制の確立こそが教育・研究DXの到達点であるとの認識に立って、事務機能の見直しと業務全体の最適化を図り、学生と教職員が情報ストレスから解放されるスマートキャンパスを目指すために、新たな検討組織の設置を視野に入れて、検討を加速します。

 中央大学の輝かしい未来を創造するためには、これまで以上に教職協働による創発力を発揮すること、そして学生の有意義な大学生活を期するために、卒業生ならびにご父母との連携をさらに強めていくことが肝要かと考えております。皆様におかれましては、本学のこうした不断の前進についてご理解賜り、あるいは共に歩んでいただきながら、本年が素晴らしい一年となりますことを心からお祈り申し上げます。

2025年1月1日     

 中央大学学長 河合 久