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インフラ内部の欠陥を高感度で可視化するユビキタスな電磁波撮像プラットフォーム --カメラシート、3D印刷、ロボット支援の技術を融合

2021年05月21日

東京工業大学
中央大学


インフラ内部の欠陥を高感度で可視化するユビキタスな電磁波撮像プラットフォーム
-カメラシート、3D印刷、ロボット支援の技術を融合-

【要点】
○広帯域電磁波を活用したユビキタスな撮像プラットフォームを開発
○高感度フレキシブルカメラシート、3Dプリンタで作製した検査モジュール、小型光源を一体化
○難所インフラの無人全自動検査を可能にする非破壊画像診断技術として期待

 

【概要】
 東京工業大学 科学技術創成研究院の河野行雄特定教授(中央大学 理工学部 教授 兼任)と同 工学院 電気電子系の李恒大学院生(博士後期課程2年)らの研究グループは、高感度のフレキシブルカメラシートを搭載した、無人インフラ検査のためのユビキタスな電磁波非破壊撮像プラットフォームを開発した。
 IoT(用語1)社会の発展により、危険を伴う難所インフラ検査において、非破壊かつ非接触の電磁波画像診断の活用に期待が集まっている。しかしこれまでは、検査対象物の形状やサイズの制約、システム自体の持ち運びにくさなど、動作環境の自由度が低いことが実装の大きな妨げとなっていた。
 河野特定教授らは、独自保有技術である、カーボンナノチューブ薄膜(用語2)を材料とするフレキシブル電磁波撮像カメラシートの撮影感度向上を実現した。また3Dプリンタを活用した検査モジュールの設計や、小型光源の一体化を行い、これらを自走探査や多軸関節といったユニット駆動と組み合わせたオールインワン型ロボット支援モニタリングシステムの構築に成功した。さらに、さまざまな工業製品や難所インフラ模型を例として、無人・遠隔操作での高速全方位非破壊画像診断を実証した。本技術は、既存の電磁波撮像技術が抱える動作環境制約を打破でき、将来的には環境親和型なセーフティネットとしての役割が期待される。
 本研究成果は、2021年5月21日付で国際科学誌「Nature Communications」のオンライン版で公開される。