広報・広聴活動プレスリリース

2020年08月31日

理工学部応用化学科 森 寛敏 教授らによる論文がアメリカ化学会発行のIndustrial & Engineering Chemistry Research誌に掲載--量子化学理論と AI 解析を組み合わせた電子状態インフォマティクス技術開発により温室効果ガスを効率的に吸収するイオン液体の混合方法を発見

 中央大学理工学部応用化学科教授 森 寛敏、助教 黒木 菜保子、丸山 峻太さん(2019年度 応用化学科 卒業)による「電子状態インフォマティクスによる温室効果ガス吸収性イオン液体の混合最適化方法」に関する論文が、アメリカ化学会発行のIndustrial & Engineering Chemistry Research誌に掲載され、表紙を飾りました。
 

【掲載論文】Ind. Eng. Chem. Res. 59, 8848 (2020).

【タイトル】Theoretical Strategy for Improving CO2 Absorption of Mixed Ionic Liquids Focusing on the Anion Effect: A Comprehensive COSMO-RS Study

【著  者】Kuroki N.*, Maruyama S., Mori H.*

概要

 物質を混合すると、その物質を構成する分子間に働く相互作用により「混合比に単純に比例しない特異な機能」を生じることがあります。例えば、水とアルコールを混合した際に、混合前後で体積が変化するのはその一例です。
 本研究では、温室効果ガスである CO2 を吸収する性質を持つ機能性液体「イオン液体」を混合することで、単独のイオン液体を凌駕する CO2 吸収量を持ちうることを、量子化学計算に基づくインフォマティクスアプローチにより理論的に見出しました。本発見に関連した実験的検証の成果は、2020年9月25日にオンライン開催される化学工学会・秋季年会にて発表されます。

ポイント

 有機物の陽/陰イオンの組み合わせから構成される融点の低い塩:イオン液体は、そのイオンの組み合わせにより CO2 を始めとした工業排ガスを吸収できる機能性液体になることが知られています。しかし、そのイオンの組み合わせは膨大であり、どんなイオンの組み合わせが温室効果ガスの固定に最適な物になるかは自明ではありません。そのため、従来、環境化学工学の分野では、種々のイオン液体を合成し、その後、ガス吸収特性を測定することで、時間をかけてその機能最大化に取り組んできました。
 今回、中央大学理工学部応用化学科・理論化学研究室(森 寛敏教授グループ)では、量子化学計算により有機イオンの電子状態データベースを構築し、昨今発展目覚ましい AI(機械学習)技術による解析を実施することで、温室効果ガスの吸収/選択性に優れたイオン液体とその混合方法を、瞬時に予測する手法を開発しました。当該技術は、CO2 以外の工業排ガスの分離・回収技術にも応用することが可能です。環境・エネルギー分野に寄与する「電子状態インフォマティクス」の技術開発に成功しました。

本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。

 戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)
 研究領域:「理論・実験・計算科学とデータ科学が連携・融合した先進的マテリアルズイ 
  ンフォマティクスのための基盤技術の構築」(研究総括:常行 真司 (東京大学 大学院 理学系研究科 教授)
 研究課題名:「特定混合比で発現する特異物性を利用した新材料創成のための第一原理分子シミュレーションと機械学習の連携」
 研究者:森 寛敏(中央大学 理工学部 教授)
 研究実施場所:中央大学
 研究期間:平成28年10月~令和2年3月

 戦略的創造研究推進事業 個人型研究(ACT-I)
 研究領域:「情報と未来」(研究総括:後藤 真孝 産業技術総合研究所 人間情報インタラクション研究部門 首席研究員)
 研究課題名:「CO2 フリー社会実現のための物理化学と情報科学の融合」
 研究者:黒木 菜保子(中央大学 理工学部 助教)
 研究実施場所:中央大学
 研究期間:平成28年12月~令和2年3月

ご参考

理論化学研究室(森 寛敏 教授グループ)
https://sites.google.com/g.chuo-u.ac.jp/theochem/home

<本件に関するお問い合わせ>
 中央大学 理工学部 応用化学科
 理論化学研究室(森 寛敏 教授)
  E-mail:qc-forest.19d◎g.chuo-u.ac.jp (◎を@に変換して送信してください。)

<取材に関するお問い合わせ>
 中央大学広報室
  TEL:042-674-2050
  Email:kk-grp@g.chuo-u.ac.jp