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中央大学大学院の学位論文等の執筆における「生成系AI」利用上の留意事項について
2023年09月29日
中央大学大学院の学位論文等の執筆における「生成系AI」利用上の留意事項について
2023年9月19日
法学研究科委員長
経済学研究科委員長
商学研究科委員長
理工学研究科委員長
文学研究科委員長
総合政策研究科委員長
国際情報研究科委員長
決定
中央大学大学院(以下「大学院」という。ただし、法務研究科及び戦略経営研究科を除く。)の教育課程における生成系AIシステムの利用については、以下に定める例外の場合を除き、2023年6月5日付け学長決定「中央大学の教育課程における『生成系AI』利用上の留意事項について」(以下「大学の留意事項」という。)による。
そもそも、大学の留意事項は、主として学部の教育課程を念頭に、単位認定資料としてのレポート等の作成やその評価の方法について定められたものである。他方で大学院の教育課程においては、大学院生は研究者としても位置付けられ、単位認定資料としてのレポート等に留まらず、自らの研究の成果として、修士論文、博士論文あるいは大学院の刊行物に投稿する論文(以下「学位論文等」という。)を執筆するところ、学位論文等は、学術論文として研究者間で共有され、時に社会性を獲得するものであるから、執筆者には、それが学術界において一般に認められる研究者倫理に従ったものであることを担保する責任がある。
こうした点に鑑み、大学院研究科委員長は、大学の留意事項第2項ただし書きの規定に基づき、大学院の学生が学位論文等を執筆する場合(学生以外の者が大学院に提出する学位論文等を執筆する場合を含む。)について、大学の留意事項に代えて遵守すべきものとして、下記のとおり「中央大学大学院の学位論文等の執筆における『生成系AI』利用上の留意事項」(以下「本留意事項」という。)を定める。
(本留意事項の対象範囲)
1 本留意事項は、中央大学に所属する大学院学生(ただし、法務研究科及び戦略経営研究科に所属する大学院学生を除く。以下「大学院学生」という。)及びそれ以外の者であって大学院に学位論文等を提出する者を対象とする(以下両者を併せて「大学院学生等」という。)。ただし、特に明示しない限り、本留意事項各項に定める事項は、学位論文等を執筆する場合に限り適用する。
(本留意事項の位置付け)
2 大学院の各研究科は、生成系AIの利用について、必要に応じて、本留意事項とは別の定めをすることができる。また、各研究科は、学位論文等の執筆指導を担当する教員が、大学院の留意事項又は各研究科の定めと異なる定めをすることを認めることができる。
(生成系AIシステムの定義)
3 本留意事項において、生成系AIシステムとは、大学の留意事項と同様に、コンピュータシステム(ネットワーク上のサービスとして提供されているものを含む。)のうち、データに基づく学習を行い、かつ、その学習結果に基づく新たな出力を行う機能を備えるものをいう。
(大学院学生等による生成系AIシステムの利用)
4 生成系AIシステムは、利用者が入力した情報を記録及び学習する特性を有することから、大学院学生等は、生成系AIシステム利用の目的が学位論文等の執筆であるか否かを問わず、次のような情報を入力してはならない。
ア 個人情報やプライバシー情報等の人格的利益を害する蓋然性のある情報
イ 他者の名誉等の人格的利益を害することを目的とする虚偽の情報
ウ 他者の知的財産権や研究上の秘密等として扱うべき情報
(学位論文等の執筆に係る責任)
5 大学院学生等は、学位論文等を学術界において一般に認められている研究倫理に従って執筆しなければならず、その記述内容に係る全ての責任は、執筆者である大学院学生等が負う。
(学位論文等の執筆における生成系AI利用の基本的な考え方)
6 大学院学生等は、学位論文等の執筆に生成系AIシステムを利用することを妨げられない。ただし、生成系AIシステムの出力内容であることを明示せずに、それを学位論文等の一部を構成するものとして利用することは、極めて重大な研究倫理違反であり、これを行ってはならない。また、生成系AIシステムの出力結果であることを明示して、それを学位論文等執筆の参考資料として利用する場合であっても、出力内容の正確性(出力結果が確かな論拠に基づいていることを含む。)、適法性及び倫理性については、自らこれを保証しなければならない。
(学位論文等の執筆における生成系AI利用制限)
7 大学院学生等は、学位論文等の執筆に際して、生成系AIシステムの出力内容そのものを、事実の根拠として扱ってはならない。必ず一次情報まで遡る等の方法により自ら検証を行い、事実の根拠となるデータ等を記述しなければならない。
8 大学院学生等は、前項に定める検証を行うに際して、生成系AIシステムの出力内容には、その特性上、インターネット上にも存在しない虚偽の情報(ハルシネーション)又は不正確な情報が含まれる場合があることを踏まえなければならず、生成系AIシステムの出力内容の真偽についての確認を怠って、虚偽の情報又は不正確な情報を学位論文等に利用した場合、当該情報を生成したのが生成系AIシステムであることを免責理由として主張してはならない。
9 生成系AIシステムの出力内容は、一般に著作権法上の著作物ではないと理解されているが、その一部に第三者の著作物が含まれていることがある。大学院学生等が、このような生成系AIシステムの出力内容に由来する第三者の著作物を学位論文等に組み込む等の方法で利用した場合、当該大学院生の認識のいかんにかかわらず、当該第三者の著作権侵害の不法行為となる可能性があり、又は、著作権侵害とはならなくとも研究倫理違反たる剽窃となる可能性があるため、学術論文等の執筆に際しては、特段の注意をしなければならない。
(学位論文等の執筆における生成系AI利用方法)
10 大学院学生等が、学位論文等を執筆する場合において、生成系AIシステムの出力内容を参考資料とし、又は、それを学位論文等の一部に組み込む等の方法で利用した場合、当該学位論文等に次の事項を明示し、又は、添付しなければならない。ただし、以下のウ及びエについては、執筆指導を担当する教員が予め指示したときは、追加提出に応じることができるように準備することで足りるものとする。
ア 利用した生成系AIシステムの名称及びバージョン
イ 生成系AIシステムの利用日
ウ 生成系AIシステムに投入したプロンプト等の情報及び環境設定
エ 生成系AIシステムの出力内容
(改正)
11 本留意事項の改正は、研究科委員長会議の議を経て、法学研究科委員長、経済学研究科委員長、商学研究科委員長、理工学研究科委員長、文学研究科委員長、総合政策研究科委員長、及び国際情報研究科委員長が、共同してこれを行う。
以上