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国文学「近現代文学」(『2017年度文学部ガイドブック』より) 宇佐美 毅 教授

「近現代のフィクションを幅広く考察します」

 狭い意味での「文学」、つまり小説や詩歌などに限定せず、フィクション作品を広く考察することで、日本の現代文化を考察しています。その目的から、前期は日本のテレビドラマ作品を、後期は日本の現代小説を取り上げています。2015 年度前期は、「日本の戦後史をテレビドラマから考察する」というテーマで、各時代のテレビドラマを見ながら、その作品が放送された時代背景と作品との関係を考えました。後期は、村上春樹作品を取り上げ、作風が変化していく過程や世界中で読者を獲得している理由などを考察しました。

 

「講義の感想を次回にフィードバックしています」

 毎年100名以上の履修者がいるので、基本的には講義形式で進めています。ただ、講義が単調にならないように、私の講義内容と関連のある映像を見せながら進めています。前期の課題のテレビドラマであれば、そのドラマを実際に見てみますし、後期の課題の村上春樹であれば、映画化された作品や村上春樹をめぐる報道の映像を見ながら授業を進めます。また、毎回簡単な授業の感想やコメントを全員に書いてもらい、それを私が読んで、履修者の希望や疑問点を理解し、次回の講義に生かすようにしています。

 

「時代に左右されない普遍的な能力を身に着けつけます」

 コンピュータの操作ができるとか、新しい知識を人より先に知っているとか、そういうことは年々新しくなり(ヴァージョンアップされて)、すぐ必要なくなってしまいます。それよりも、時代が進んでも対応できる能力を身につけることの方が、よほど「役に立つ」ことになります。一見ささいなこと、小説とかテレビドラマとか、多くの人には娯楽や暇つぶしのようなもののなかに、とても重要なメッセージや世界を考えるヒントがつまっています。テレビドラマから戦後日本の変化が見えてくる、村上春樹の小説から日本文化のありかたが見えてくる。大切なのはそういうものを見つけ、考察することのできる普遍的な能力です。