東洋史学専攻

授業紹介

東洋史学とは、歴史学とは、何か。
その成り立ちと歴史から考える。

東洋史学研究法(阿部 幸信教授)

東洋史学を含む近現代の歴史学について、その成立・展開の過程、および研究方法の基礎を学びます。
東洋史学についての説明に一定の力点を置きますが、それだけにとどまらず、歴史学全般や関連する諸領域(人文地理学・地政学・文化人類学・比較文明学など)の理論も幅広く紹介します。従って、人文・社会科学全体の中における東洋史学・歴史学の立ち位置についても同時に理解することができます。

授業の進め方

この授業は以下の4つの部分に分かれています。
 1.「東洋」概念の発生と東洋学の歴史
 2.東洋史学の成立と研究史
 3.世界史研究の諸理論
 4.近現代史学史
以上をとおして、東洋史学や歴史学に関する理解を深めていただくことが一番の狙いです。
講義の中では、個別的な知識をただ伝えるのではなく、研究史や諸理論が時代背景とどのように関わっていたのか、詳しく説明するようにしています。学問と同時代の社会との結びつきについて知ることは、現代社会において東洋史学(あるいは歴史学)を学ぶ意義を考えるうえでも、欠かすことができないプロセスだからです。

履修者の声

この授業では、東洋史学の成り立ちや歴史研究で留意しておくべきことを、思想家や学者の解説とともに学びました。過去の出来事を知るだけなら本を読めばある程度分かりますが、ただ内容を鵜呑みにしても歴史研究はできません。文章は必ずしも出来事を正確に伝えるわけではなく、私達は無意識に偏った見方をしているからです。そのため歴史研究には「方法」があります。この「方法」とその意味を意識できるようになったことは、これから勉強する上で非常に有意義だったと感じています。また、歴史に限らず、自らの偏見を意識して物事を判断することはいつでも必要なスキルです。東洋史学研究法で学んだことは、時代の中で私達が置かれた立場を見直す方法でもあったと思います。

藤野 沙蘭(ふじの さら)2022年度入学

イスラームとは何か、アラビア語史料の読み方
イスラーム史についての総合的知識を高める

イスラーム地域史演習(鈴木恵美 教授)

授業のテーマ

中東・西アジア地域がイスラーム化した7世紀から現代までの歴史を扱います。取り上げるテーマも、政治、経済、社会、宗教、文化、ジェンダーなど多岐にわたります。多くの分野を取り上げる目的は、視野が特定の時代や分野に偏らないようにするためだけでなく、イスラーム一色に思われがちな地域の多様性を理解するためでもあります。この授業では、歴史を過去のものとせず、現代と結び付けて考察する力を養います。

授業の進め方

授業は、文献の講読と学生による報告を中心に行います。具体的には、各学生が関心のある分野から学術論文を選び、その内容について報告してもらい、皆で議論します。この作業を通して、イスラーム世界への理解を深めるだけでなく、学術論文とはどのようなものか、史資料の扱い方、書き方、レポートとの違いなどを学びます。

近年、卒業論文で人気のあるテーマは、ジェンダーやハラールフードなど、現代的なトピックです。このような題材を選んだ学生の皆さんは、歴史的視野を取り入れつつ、独自の切り口を模索しながら論文を執筆しています。また、中世に関心を持ち、アラビア語の古文書を扱いながらも、現代的アプローチを用いて新しい視点を提示する学生もいます。

西洋と東洋の接続点にある中東・西アジア地域では、周辺地域とは全く異なる、イスラームに根差した歴史がダイナミックに展開してきました。イスラーム史の醍醐味は、西洋と東洋の中間から古今東西の歴史を俯瞰することにあります。是非、古代オリエント以来の歴史が積み重なる世界、イスラーム史の扉を開けてみてください。

履修者の声

ゼミって何をするところなんだろう?
ズバリ!ゼミとは自分の大好きや興味を極める場所です。
鈴木ゼミではイスラーム史を中心とした政治や文化などの研究を専門に行います。つまり、イスラーム大好き、興味ある人間の巣窟です。
イスラームと聞くと何かお堅いもの、危ないものといったイメージを抱く方は少なくないと思いますが、世界に影響を与え、特徴的な文化や風習などが数多くあります。

勉強と研究しかしていないの?
いえ!そんなことはありません!夏休みに行われるゼミ合宿では互いの研究成果の報告だけでなく、ボードゲームをして遊んだり、ハイキングにいったりとイベントも盛りだくさん!夏の思い出の王道、花火もできます!20人程度の少人数だからこそ、和気あいあいとしたアットホームな雰囲気の中で、共に研究し、思い出を作ることができます。そしてその輪の中心にいるのが我らが鈴木恵美教授です。経験豊富な一方でおちゃめな先生のもとで打ち込める環境はそうそうありません。

皆さんも鈴木ゼミに入らないのですか?
「それはハラームですねぇ」(鈴木先生の口癖。それはダメだね、の意)

日下部 美央(くさかべ みお)2021年度入学


2023年夏合宿(黒姫高原にて)