哲学専攻

よくいただくご質問

よくある質問・疑問について、お答えします。

「哲学」ってなんですか?

この世界には、いろいろな謎があります。そして、その謎を解く方法もさまざまです。 自然科学であれば、物質や生物、そして宇宙が、どのようなものでできていて、どんな働きをしているのかということを、一つ一つていねいに調べていきます。宗教であれば、人の生き方やこの世界の成り立ちを、われわれの日常とは違った角度から見つめ、深く考えます。 それでは、哲学というのは、どういうやり方をするのでしょうか? 哲学は、世界の謎に、正面から素手で立ち向かうのです。科学のように、数学や道具を使い実験するわけでもなく、宗教のように、この世界を超えたところからの声に耳を澄ますのでもありません。日常の謎を、自分の頭だけで、徹底的に考え抜くのです。なんの道具も使わずに、どこまでも深くうんうん考えるのです。 これが、哲学です。 でも、どんな学問も、最初は、この哲学から、生まれてきたんですけどね。

哲学を学ぶと、社会に出てどんな役にたちますか?

本がしっかり読めるようになります。ひとの言うことがきちんと理解できるようになります。論理的にものごとを考えることができるようになります。明晰な文章を書けるようになります。 こうして思考力、読解力や表現力がつちかわれる結果、視野が広くなります。(おまけに漢字に強くなります)

哲学専攻の卒業生の進路は?

一般企業、公務員、教員など、ほかの専攻と同じように、就職先は多種多様です。 哲学専攻の学生は、個性的で、しかも緻密な人が多いので、どの業種でも歓迎されているようです。論理的思考と、斬新な発想が求められる、たとえばIT関連の企業などにも、多くの卒業生が入社しています。

大学院に進みたいのですが、どうすればいいですか?

テキスト(原典)をしっかり読解する力を、学部時代から身につけることが大事です。大学院では、専門に研究する哲学者のテキストを原典で読んだ上で、研究発表をし、修士論文を書くことになるからです。 大学院の入試は、四年制の大学を卒業した人なら、だれでも受験資格があります。詳しくは、大学院の入試情報をごらんください。

入学後、とくに何に力を入れて勉強すればいいですか?

1年生のうちは、あまり興味を限定せず、自分が気に入った哲学や思想の本を、多読することをおすすめします。同時に、英語はもちろん、ドイツ語・フランス語などの、語学のひたむきなトレーニングも大切です。

西洋哲学・中国哲学・日本思想のコースに分かれているのですか?

コースには分かれていません。基礎演習科目や必修科目で、西洋哲学や中国哲学・日本思想の基礎を学んだあとは、それぞれの関心に応じて、授業科目を選択し、もっとも関心のあるテーマで卒業論文を書くことになります。

途中で、ついていけなくなるのではないかと心配しています。

学習について不安があるときは、授業担当の先生をはじめ、クラス担任や教務担当の先生が、適宜アドバイスをしてくれます。哲学共同研究室では、それ以外の先生はもちろん、上級生や大学院生も、さまざまな相談にのってくれます。

なんかオタクっぽくて暗そうな雰囲気を想像するのですが・・・。

たとえば、哲学共同研究室に来てみれば、明るく楽しく、しかも仲よく熱心に勉強する先輩たちに、大勢出会えます。

英語や漢文が苦手ですが、授業についていけますか?

哲学の文章は、文学作品にくらべればボキャブラリーが少ないとも言えます。単語の暗記にエネルギーを費やさなくてもいいから、哲学の勉強は、ある意味では楽です。高校時代に勉強した文法さえ身につけていれば、必ずついていけます。 また漢文については、大学に入ってから初めて学ぶ人もいるでしょうが、予習を欠かさずにすることで、しっかり力がついてきます。

教員になりたいのですが、哲学専攻ではどの教員免許がとれますか?

中学の社会、高校の地理歴史、高校の公民の三つです。ただし、哲学以外の「専門に関する科目」を履修することが必要です。詳しくは、教職課程をご覧ください。

哲学にしようか、心理学にしようか迷っています。哲学専攻にはいっても、ほかの専攻の授業は受けられますか?

「他人の心がわからない」、「自分という人間がわからない」というのは、まさに哲学的な悩みでもあります。実験などをとおして心を分析していく方法を学びたいなら心理学を、もっと深く根本的に、人間とはなにかを探究したいなら、哲学をおすすめします。 また、他専攻の授業も、もちろん受けられます。その数は、約300科目、幅広く横断的な学習をすることができます。

高校で習った倫理と、大学で学ぶ哲学のちがいはなんですか?

基本的には同じですが、方法もテーマも、大学ではいっそう広く深くなります。「善悪とはなにか」は倫理学のテーマですが、大学の哲学では、「自然とはなにか」、「芸術とはなにか」、「言語とはなにか」、「時間とはなにか」、「死とはなにか」・・・などさまざまな根本問題が扱われます。また、いままでの学説を批判的に分析することもあって、そこも高校の倫理とはちがう点でしょう。

哲学を専攻すると、将来、就職で不利になりませんか?

まったく不利にはなりません。企業の側からいえば、哲学を学んできた学生の論理性や、広い視野は魅力です。もちろん、企業側の期待に応えられる力を、4年間でつちかっていることが必要ですが。

哲学を学ぶおもしろさってなんですか?

私たちは、知らないうちに、いろいろな先入見にとらわれています。
世界は、私たちとは関係なく、「客観的」にあるとか、だれでも、「同じ」色を見ているとか、明日も「必ず」太陽は、昇ってくるとか、「他」人も、自分と同じ痛みを感じているとか・・・。 こんな当たり前だと思っていることのなかにも、おおくの落とし穴があり、よく考えると、私たちは、とんでもなく不思議な世界に住んでいたんだ、と気づかせてくれるのが、哲学です。 哲学を学ぶと、本当に変な世界に、われわれはいるんだなぁということが、実感できます。 それに、一見役にもたたない、こんなおかしなことを考えていた先輩たちが、西洋にも、東洋にも、今までたくさんいたんだということも発見できます。
だれにとっても、ものすごくおもしろいというわけではないけれど、好きな人にはたまらない、とても深みのある味わいぶかい学問です。