フランス語文学文化専攻
ゼミ紹介
ゼミナールの授業内容と卒業論文の主な指導分野
阿部 成樹(あべ・しげき) 美術史美術館専門演習
授業内容
この授業ではおもにフランス美術史を取り上げて、議論と発表、見学を通じてさまざまなテーマについて考え、学びます。
進め方としては、教員が提示する全体テーマ(2024年度は、「美術とジェンダー」)からいくつかのサブテーマを引き出し、研究班を作ってそれを掘り下げていきます。テーマは、私たちが生きる社会と関連のある、身近な関心を持てるテーマを設定します。
各班の研究は、ディスカッションを通じて考察を深め、方向性を決めながら、文献や作品にあたって進めていきます。前期末には、そこまでの成果をゼミで報告して、後期の見通しを発表します。
後期は、テーマに関連する美術館見学を行います。美術館という場と実際の作品に触れることで、さらに目を開かれていきます。
並行して4年次には卒業研究を行います。専門文献を読み、ときには他大学や美術館を訪ね、卒論を執筆します。ゼミで構想発表、中間発表を行い、教員やゼミ生からコメントをもらって自分では気づかなかった視点を取り入れていきます。卒論のテーマは、広く美術史の各時代、地域から教員と相談しながら選びます。
上記の全てについて、もちろん担当教員がアシストします。
美術史の奥深さと美術館のアクチュアルな課題についての専門的な知識をつけるとともに、自らテーマを決める積極性と企画力、議論を通じてそれを進めるコミュニケーション能力、面白さを伝えるためのプレゼンテーション能力の獲得も目指しているゼミです。夏季休暇には、希望者で地方(京都、金沢、福岡、倉敷など)へ見学旅行に行き、当地の文化や美術と風土を体験します。
主な指導分野
フランス近代を中心とする西洋美術史です。また日本近代美術は西洋美術と深い関わりがあるので、そうした観点から指導することもできます。建築、写真、デザインなどをテーマとする卒論指導も行います。
詳しくは、ゼミ紹介のページをご覧ください。
泉 美知子(いずみ・みちこ) 美術史美術館専門演習
授業内容
ゼミでは、フランスを中心とした西洋美術の歴史、美術館や文化遺産の歴史と今日のあり方を学びます。
ゼミの活動は、①展覧会の見学をもとにしたグループ・ワークと発表、②卒論のための個人発表が中心です。
前期は2~3回の展覧会見学を行います。見学先は教員ではなく、ゼミ生が案を出し合って決めます。展覧会を見学する際には必ず事前学習を行い、企画意図や出品作品、必要な専門知識を把握します。そして見学後は、教員の指示に従って、グループ・ワークと発表を行います。発表準備では図録を参照しながら、担当する作品の考察を深めます。このように事前学習、見学、事後学習の三段階を踏むことで、作品の観察と、その言語化をじっくり学んで身につけるというのが、このゼミの特徴です。
上記の活動と並行して、3年生から卒業論文の指導を始めます。教員との面談で、学生の興味の範囲を聞いたうえで、参考文献を紹介します。そして、授業での個人発表を通して、テーマの方向性や、論文構成などを指導します。
その他のゼミ活動として、4~5月の懇親会、夏合宿あるいは夏旅行があります。前期はグループ・ワークが中心となるので、懇親会は3~4年生の親睦を深めることが目的です。夏の企画は、教員のスケジュールや学生の意向によって決まります。夏旅行は1泊2日で地方の美術館を訪問します。夏合宿では、参加者全員が発表し、ひとりひとりの研究テーマをみんなで共有しつつ、ディスカッションを通して、卒業論文のレベルアップを目指します。
詳しい活動については、ゼミブログをご覧ください。
主な指導分野
忘れ去られ価値がないものと思われていた作品が、どういう風に再発見され、どういう文脈で再評価され、美術館や文化財保護という制度のもとでどのように保存されてきたのかについて興味があります。具体的な例で言うと、2019年にパリのノートル=ダム大聖堂が火災に見舞われましたが、フランスが19世紀以降この大聖堂を大切に見守ってきた歴史が、研究対象です。
指導分野については、➀フランスを中心とした西洋美術(作家研究、作品研究)、➁歴史的建造物、都市と景観、➂19世紀フランスの美術館(パトロン、コレクション)、展覧会です。
小野 潮(おの・うしお) 語学文学文化専門演習
授業内容
ルソーの『告白』は近代的自伝を一挙に完成させた著作であると評されるとともに、それ以後の文学者に、「文学とは私を語ることである」というふうに思い込ませた著作と考えられています。ルソーはこの作品のみで「私」を語ったのではなく、その他にも「ルソー、ジャン=ジャックを裁く』 と『孤独な散歩者の夢想』という二編の自伝的作品を残しています。また 19 世紀の多くの作家が自 伝的作品を書き残しています。シャトーブリアンの『墓の彼方からの回想』、スタンダールの『アン リ・ブリュラールの生涯』『エゴチスムの回想』、ジョルジュサンドの『わが生涯』、アレクサンドル・ デュマの『回想録』、ルナンの『幼年時代・青年時代の回想」などがあります。またこの時期に自分 語りの道具として日記というものが前景化し、多くの作家が日記を付け、ある時期以後には当初から出版を頭に起きつつ日記をつけるゴングール兄弟、アミエルのような人々も現れます。さらに言えば、手紙もまた特定の宛先人に宛ててではありますが、やはり私を語る文学ジャンルとして受け 止められ始めます。本専門演習では 19 世紀フランスを中心として「私語り」の諸相を見ていきます。 当初はそのように位置づけうる作品を小野のほうから紹介していく形で授業を始めますが、その間に参加者の皆さんには、自分がそれについて考えてみたいと思う作品をひとつないし複数選んでいただき、その作家の「私語り」の特徴について考え報告していただきます。また夏季休業明けと学年末には自分が選んだ作品についてのレポートを提出していただき、成績評価は授業内の発表と提出されたレポートによっておこないます。またそれと並行して、授業内ではそのような「私語り」 の代表的なテキストの抜粋をフランス語で購読していくこともおこないます。そのテキストについては、manaba で配信します。 卒論は必修ではありませんが、なるべく卒論を執筆したいという学生を歓迎します。小野の専門は文学ですが、文学だけでなく、映画、文化論といったテーマもできるかぎりで指導します。
主な指導分野
小野自身の関心は作家としては19世紀前半の作家、スタンダール、コンスタン、スタール夫人、シャトーブリアンでフランス革命期にも大いに関心があります。現代の著述家としてはブルガリア出身の歴史家、エッセイスト、ツヴェタン・トドロフの著作にはよく親しんでいて、何冊か翻訳も出しています。
詳しくは、語学文学文化コースオリジナルWebサイトの「先生たち」や「卒論・卒業課題」のページをごらんください。
学谷 亮(がくたに・りょう) 語学文学文化専門演習
授業内容
このゼミでは、詩を中心とするフランス近現代文学と日仏交流史を主たる研究テーマとします。2024年度は、「象徴主義」に分類される詩人の韻文作品を中心に取り上げます。フランス文学のなかでも、詩は何となくとっつきにくく感じている人が多いかもしれません。しかし、フランス語をしっかり学んだ皆さんにこそ、詩に親しんでもらいたいと思っています。小説や戯曲と違い、詩はストーリー性が希薄ですが、それだけに単語一つ一つにきわめて大きな負荷がかかります。それに加えて、音節数や脚韻といった音声上の工夫も凝らされています。そのため、フランス詩はフランス語で読んでこそ真の理解に達するのであり、日本語訳で読むのとは体験としての質が決定的に異なるのです。
前期は、皆さんが詩を原文で分析・解釈できるようになるための手ほどきを行います。韻律の規則や辞書の使い方、注釈書や参考文献の調べ方など、習得すべき知識・技術は多くありますが、ワークショップ形式によってできるだけ楽しみながら身につけてもらえるようにしたいと思います。もちろん、これらは詩以外のジャンルについて研究する上でも役立つでしょう。後期は、皆さんによる発表が中心となります。ボードレール、ランボー、マラルメなどいくつかの詩人を選び、韻文詩の分析と解釈を披露していただきます。
なお私は、皆さんの人格と自主性を最大限に尊重して指導にあたるというのが信条です。そのため、このゼミでは一人一人が責任をもって、主体的に活動することが求められます。授業内の課題にせよ、卒論・卒研の執筆にせよ、「教員にすべてお膳立てしてもらいたい」と考える方にはこのゼミは不向きですので、注意してください。自らの頭で思考する意欲をもち、「教員や他のゼミ生と一緒になって新しいことを勉強してみよう」という考えのできる方を心から歓迎します。
主な指導分野
最も得意とするのはフランス近代詩ですが、19世紀後半から20世紀前半にかけてのフランス文学・思想・文化(美術関連を除く)に関するテーマであれば、概ね指導可能です。また、日仏交流の歴史や、フランス文学が日本文学に与えた影響といった、比較文学・比較文化に関するテーマも受け入れます。
詳しくは、語学文学文化コースオリジナルWebサイトの「先生たち」や「卒論・卒業課題」のページをごらんください。
田口 卓臣(たぐち・たくみ) 語学文学文化専門演習
授業内容
私のゼミは「完全グループワーク制」です。扱う対象は、文学、映画、マンガ、音楽、文化・社会現象などさまざまです。ただし、教員が「正解」を押し付けることはありません。「体験というプロセス」の中で獲得したものだけが、本物の知識になる、という考え方に基づいて、各グループで出した答えを最大限、尊重しています。
ゼミでは毎回、共同作業を通したアウトプットをおこなっています。異なる立場の人と一緒に、同じ素材と向き合い、一緒に話し合い、成果物を作り、人前で発表する、という訓練をおこなっています。短い報告文から、長めのレポート、グループ全体での共同発表、レジュメやパワーポイントの作り方など、自分たちの力で発見していくプロセスを重視しています。
ゼミでは毎年、1つのテーマを設定し、さまざまな対象やテーマを扱っています。これまで設定したテーマは、「幸福」「「私」とは何か?」「心と身体」「家族とは何か?」でした。2025年度以降は、しばらく「食文化」に注目しようと考えています。
ゼミでは「1グループ=4~5名」という単位に分かれ、ディスカッションを中心に進めます。毎回、みなさんの自主的な予習が不可欠となります。自分たちでLINEグループを作り、資料を調べ、役割分担やスケジュール管理を自主的に共同で行っていくのです。発表のリハーサルなど、授業時間外での活動も必要となりますが、それによって、ゼミ生同士が仲良くなります。
また毎年、ゼミ出身のOB・OGをお招きし、どういう仕事をしているか、どんな就活を心がけたのか、それが田口ゼミとどんな関係を持っているかについて、お話を伺うイベントをおこなっています。このような活動を通じて、卒業後も続くゼミの先輩・後輩のネットワークができており、ゼミ生のモチベーションにつながっています。OB・OGとのつながりについては、以下のリンクでご確認ください。
田口ゼミ:OBトーク、最終回までの授業の流れ (chuo-bun-futsubun-gobun.blogspot.com)
田口ゼミ:OB・OGトーク、後半の授業模様 (chuo-bun-futsubun-gobun.blogspot.com)
主な指導分野
田口ゼミの卒業論文リストについては、以下をご覧ください。
田口ゼミ:卒論タイトル一覧 (chuo-bun-futsubun-gobun.blogspot.com)
また、語学文学文化コースオリジナルWebサイトの「先生たち」や「卒論・卒業課題」のページも参考にしてください。
Michaël FERRIER (ミカエル・フェリエ) 語学文学文化専門演習
授業内容
テーマ:Langue, littérature et politique chez les écrivains d’expression française
1) 授業概要・内容 : il s’agit d’étudier dans ce cours des écrivains d’expression française d’Europe, d’Afrique, des Caraïbes et de l’Océan indien. Pour chacune de ces zones géographiques, nous lirons des extraits de textes (écrivains du XXe siècle et contemporains), en portant notre attention sur leur extraordinaire fécondité linguistique, leurs ressources poétiques et politiques, et les enjeux dont ils sont porteurs – pour l’écriture et pour la pensée – en ce début de XXIe siècle.
2) 作家 : Amadou HAMPATE BA (Mali), Aimé CESAIRE (Martinique), Edouard GLISSANT et Patrick CHAMOISEAU (Martinique), Kateb YACINE (Algérie),
Abdelkebir KHATIBI (Maroc), Agota KRISTOF (Hongrie), Emil CIORAN (Roumanie), Antonine MAILLET (Canada), Axel GAUVIN (La Réunion)… Le cours fera aussi référence, dans une perspective comparatiste, à des écrivains et à des penseurs japonais (KATÔ Shûichi, 加藤 周一, TAWADA Yôko 多和田 葉子, Mizumura Minae 水村美苗et autres écrivains des « littératures transfrontalières » 越境文学), et proposera des liens vers d’autres arts, en particulier l’art contemporain et le cinéma.
詳しくは、語学文学文化コースオリジナルWebサイトの「先生たち」や「卒論・卒業課題」のページをごらんください。
前之園 望(まえのその・のぞむ) 語学文学文化専門演習
授業内容
私のゼミでは20世紀前半に世界規模で展開された芸術運動であるシュルレアリスム運動を主な研究対象とします。シュルレアリスム運動は文学・美術それぞれの領域を交差するように発展しましたが、私のゼミでは主に文学的側面からのアプローチを行います。シュルレアリスムとは絶対的な「自由」を求める運動です。知らぬ間に私たちの生活を支配し、いつしか当たり前となった「制度的なもの」の姿を暴き、それにゆさぶりをかけ、そこから「自由」になろうと、シュルレアリスト達は徹底的にもがき続けました。皆さんには、このゼミを通して、「制度的なもの」に対して敏感に反応できる、しなやかな感受性を身に着けてもらえたら、と願っています。
2024年度はアンドレ・ブルトンの散文作品『狂気の愛』(1937)の第1章を精読します。ブルトンは『ナジャ』(1928)を「美とは痙攣的だろう、さもなくば存在しないだろう」という謎めいた一文で結んでいました。『狂気の愛』の第1章では、この「痙攣的な美」に関してブルトンが持論らしきものを述べています。ゼミではこの作品を読み込むことで「痙攣的な美」の特性を掘り下げます。教室ではグループディスカッションと発表が中心になります。謎の多い作品ですので、履修生同士でお互いにアウトプットし合い、毎回頭の整理をする時間を設けます。
その一方で、学術論文の探し方・読みかた・書き方、パワーポイントによる資料(動画)作成方法の基本も紹介します。履修生には、その知識を使って、任意のフランス文学作品の研究論文を紹介する「論文紹介動画」、フランス文学作品の楽しみ方を紹介する「フランス文学作品紹介動画」を作成してもらいます。また、夏休みに日本国内でできるフランス文化(につながるような)体験をしてもらい、後期に「フランス文化体験報告」をしてもらいます。
主な指導分野
私の専門はアンドレ・ブルトンの詩学です。19 世紀以降のフランス詩、20 世紀前半にフランスで展開された前衛運動諸派の文芸作品について指導が可能ですが、その他のテーマについても相談に応じます。卒業論文を執筆する学生を歓迎します。
詳しくは、語学文学文化コースオリジナルWebサイトの「先生たち」や「卒論・卒業課題」のページをごらんください。