学部・大学院・専門職大学院

ゼミ紹介

阿部 成樹(あべ・しげき)  美術史美術館専門演習

授業内容

この授業ではおもにフランス美術を取り上げて、議論と発表、見学を通じてさまざまなテーマについて考え、学びます。
進め方としては、①西洋美術史の通史を素材とする「講義班」②美術館見学を企画する「見学班」に分かれて議論と企画・立案を進め、その成果をゼミでのレクチャーと見学の実施という形でそれぞれ発表します。
講義班ではテキストを用いながら、ひとつのテーマ(例えば、「ルネサンス以降の西洋美術における女性のイメージとは」など)を決めて、ゼミで連続講義を行います。それによって、西洋美術史の面白さが文字通り「身につく」実感があるでしょう。卒業論文への準備にもなります。
見学班は、10-12月に3回実施するゼミ全体での美術館見学の企画立案を行います。3回の見学を貫くテーマ(例えば、「美術館と地域のつながりとは」)を決め、それに合わせた見学先を選定し、見学のねらいをゼミで紹介し、実際の見学を組織します。それを通じて、美術をめぐる文化の現在を生(なま)で学ぶことができます。
並行して4年次には卒業研究を行います。専門文献を読み、ときには他大学や美術館を訪ね、卒論を執筆します。
上記の全てについて、もちろん担当教員がアシストします。
美術史の奥深さと美術館のアクチュアルな課題についての専門的な知識をつけるとともに、自らテーマを決める積極性と企画力、議論を通じてそれを進めるコミュニケーション能力、面白さを伝えるためのプレゼンテーション能力の獲得も目指しているゼミです。夏季休暇には、地方(京都、金沢、福岡など)へ見学旅行に行きます。

主な指導分野

フランス近代を中心とする西洋美術史です。また日本近代美術は西洋美術と深い関わりがあるので、そうした観点から指導することもできます。建築、写真、デザインなどをテーマとする卒論指導も行います。
詳しくは、ゼミ紹介のページをご覧ください。

泉 美知子(いずみ・みちこ)  美術史美術館専門演習

授業内容

ゼミでは、フランスを中心とした西洋美術の歴史、美術館や文化遺産の歴史と今日のあり方を学びます。
ゼミの活動は、➀個人発表とグループワークによる発表、➁展覧会の見学、➂夏合宿です。
ゼミでは課題が与えられますが、それは同時期に都内で開催される展覧会と連動したものになっています。
例えば2019年度のテーマは、19世紀フランスにおける政府主催の美術展覧会「サロン」です。ここに出展された有名な作品を教員がピックアップし、担当を決めてそれぞれ1枚の絵について個人発表してもらいました。ここでは、1枚の絵について主題、技法、美術史的な価値について詳しく説明する方法を身につけます。2019年春には「ドービニー展」が開催されましたので、ゼミで見学会を実施しました。展覧会レポートを一定の形式で書いてもらい、みんなで評価を付け、さらに展覧会図録に掲載されている論文をグループで学習し、発表しました。授業で展覧会に必要な知識を得て、その知識でもって実際に作品を見学し、さらに授業で専門的に理解を深めるという三段階の方法をとっています。「サロン」をテーマにすることで、19世紀のフランスではどういう絵画作品が評価されたのかについて学ぶことができたと思います。
上記の活動と並行して、3年生から卒業論文の指導を始めます。教員の研究室での面談で、みなさんの興味の方向性を聞いたうえで、参考文献を紹介します。卒業論文を書くための方法や文献の集め方などを指導します。そして夏合宿が卒業論文のための発表の場です。ここでは参加者全員の発表を聴くことで、仲間の興味をみんなで共有しつつ、いい発表については全員で評価し、ゼミ生の発表技術のレベルアップを目指します。
このゼミは2019年にスタートしたばかりです。ゼミの活動については、ゼミブログをご覧ください。

主な指導分野

忘れ去られ価値がないものと思われていた作品が、どういう風に再発見され、どういう文脈で再評価され、美術館や文化財保護という制度を使ってどのように保存されてきたのかについて興味があります。パリのノートル=ダム大聖堂が火災に見舞われましたが、フランスが19世紀以降この大聖堂を見守ってきた歴史が、研究対象です。
指導分野については、➀フランスを中心とした西洋美術(作家研究、作品研究)、➁歴史的建造物、都市と景観、➂美術館(パトロン、コレクション)、展覧会、文化政策です。

小野 潮(おの・うしお)  語学文学文化専門演習

授業内容

ルソーの『告白』は近代的自伝を一挙に完成させた著作であると評されるとともに、それ以後の文学者に、「文学とは私を語ることである」というふうに思い込ませた著作と考えられています。ルソーはこの作品のみで「私」を語ったのではなく、その他にも「ルソー、ジャン=ジャックを裁く』 と『孤独な散歩者の夢想』という二編の自伝的作品を残しています。また 19 世紀の多くの作家が自 伝的作品を書き残しています。シャトーブリアンの『墓の彼方からの回想』、スタンダールの『アン リ・ブリュラールの生涯』『エゴチスムの回想』、ジョルジュサンドの『わが生涯』、アレクサンドル・ デュマの『回想録』、ルナンの『幼年時代・青年時代の回想」などがあります。またこの時期に自分 語りの道具として日記というものが前景化し、多くの作家が日記を付け、ある時期以後には当初から出版を頭に起きつつ日記をつけるゴングール兄弟、アミエルのような人々も現れます。さらに言えば、手紙もまた特定の宛先人に宛ててではありますが、やはり私を語る文学ジャンルとして受け 止められ始めます。本専門演習では 19 世紀フランスを中心として「私語り」の諸相を見ていきます。 当初はそのように位置づけうる作品を小野のほうから紹介していく形で授業を始めますが、その間に参加者の皆さんには、自分がそれについて考えてみたいと思う作品をひとつないし複数選んでいただき、その作家の「私語り」の特徴について考え報告していただきます。また夏季休業明けと学年末には自分が選んだ作品についてのレポートを提出していただき、成績評価は授業内の発表と提出されたレポートによっておこないます。またそれと並行して、授業内ではそのような「私語り」 の代表的なテキストの抜粋をフランス語で購読していくこともおこないます。そのテキストについては、manaba で配信します。 卒論は必修ではありませんが、なるべく卒論を執筆したいという学生を歓迎します。小野の専門は文学ですが、文学だけでなく、映画、文化論といったテーマもできるかぎりで指導します。

主な指導分野

小野自身の関心は作家としては19世紀前半の作家、スタンダール、コンスタン、スタール夫人、シャトーブリアンでフランス革命期にも大いに関心があります。現代の著述家としてはブルガリア出身の歴史家、エッセイスト、ツヴェタン・トドロフの著作にはよく親しんでいて、何冊か翻訳も出しています。

詳しくは、語学文学文化コースオリジナルWebサイトの「先生たち」や「卒論・卒業課題」のページをごらんください。

斉木 眞一(さいき・しんいち)  語学文学文化専門演習

授業内容

テーマは食を手掛かりに小説と映画を読み解くことです。人間にとって極めて身近な食べるという行為については、それを中心にして広大な文化が形成されていますが、とりわけフランスではその傾向に顕著なものがあります。フランス文化の隅々にまで波及しており、専門演習ではすでに長い間このテーマを掲げていますが、毎年いろいろなことがわかってきて、なかなかやめられません。ゼミという場で大勢の知恵が出され、それがまた新たな発想のきっかけになるという連鎖のおかげです。

授業では一年交代で小説か映画を取り上げ、そこに描かれた食事風景や食べ物・飲み物の話題などをめぐって、作品の分析と解釈をしていきます。ひとつの作品にはさまざまな事象が互いに関連しながら渾然一体となって描き込まれているわけですから、食を入口としながらも多くのことを考える契機となるはずです。つまり食文化そのものの研究にとどまらず、そこから発展してフランスの文化や文学を総合的に学んでいこうというわけです。

来年度は映画の年です。どの作品にするか、現時点ではまだ決まっていませんが、前回(2018年度)はヌーヴェル・ヴァーグの即興的・前衛的性格の強い作品だったので、次はむしろ正統派で台詞や構成のしっかりしたものにしようと思っています。

授業は主に個人あるいは 3 人前後のグループによる口頭発表をもとに、自由に議論する形で進め ていきます。教材に沿った課題の詳細を各学期の初めに提示しますので、それにしたがって準備して教室で発表、という段取りです。課題としては、卒業論文・卒業課題研究への第一歩としてもらうため、作品研究の具体的な手順が体験できるようなものにしています。

主な指導分野

19世紀後半からのフランス小説および文化全般(美術以外)が指導分野です。 専門はプルーストをはじめとする近・現代小説ですが、その時代背景としてさまざまな分野をのぞいているうちに食の重要性、奥深さに気づきました(もともとフランス料理に興味はありましたが)。 そういえばプルーストの小説は、糖分・脂肪分たっぷりで名前も意味ありげなお菓子マドレーヌを食べるところから始まるし、その後もしばしば長い食事の場面を通して多彩な人間模様を描いています。

詳しくは、語学文学文化コースオリジナルWebサイトの「先生たち」や「卒論・卒業課題」のページをごらんください。

田口 卓臣(たぐち・たくみ)  語学文学文化専門演習

授業内容

私は、17~18 世紀フランスの思想を勉強しています。この時代の思想家たちは、現代を生きる私たちにとって避けられない問題に、最初に直面した人たちです。それをキーワード化するなら、「人間自身の怪物性」と表現できます。人間は、ともすれば、自分を「自然の所有者にして支配者」(デカルト)とみなしがちです。しかし、その人間は、自力でコントロールできないものを今でも生み出し続けています。

上記の視点に基づいて、私のゼミでは、「人間とは何か?」という問いを宿した作品や文献を読んでいきます。また、年度ごとに一つのテーマを立てることも、このゼミの特徴です。たとえば、2020年度のテーマは、「幸福 le bonheur」でしたが、「就活の集団討論に役立った」と好評でした。一方、2021 年度のテーマは、「世間 le public」です。「なぜ、この世の中はこんなに息苦しいのか?」とい う素朴な疑問から出発して、日本やフランスの「世間」の在り方を比較していきます。「空気」「同 調圧力」「自己責任」「自粛」といったキーワードも、このテーマと関わることでしょう。

なお、教科書を 1 冊、購入してもらう予定です。また、前期に日本語の文献を読み、後期にフランス語の文献を読む、という方向で調整中です。受講生自身に、資料調査をしてもらう場合もあります。

指導分野

卒論を執筆する学生には、特別指導をします。卒論は、やっつけ仕事ではできません。自分で勉強計を立て、自力で資料を集め、自分の頭で仮説を立てなければなりません。覚悟を決めて取り組んでください。

詳しくは、語学文学文化コースオリジナルWebサイトの「先生たち」や「卒論・卒業課題」のページをごらんください。

Michaël FERRIER (ミカエル・フェリエ)  語学文学文化専門演習

授業内容

テーマ:Langue, littérature et politique chez les écrivains d’expression française

1) 授業概要・内容 : il s’agit d’étudier dans ce cours des écrivains d’expression française d’Europe, d’Afrique, des Caraïbes et de l’Océan indien. Pour chacune de ces zones géographiques, nous lirons des extraits de textes (écrivains du XXe siècle et contemporains), en portant notre attention sur leur extraordinaire fécondité linguistique, leurs ressources poétiques et politiques, et les enjeux dont ils sont porteurs – pour l’écriture et pour la pensée – en ce début de XXIe siècle.

2) 作家 : Amadou HAMPATE BA (Mali), Aimé CESAIRE (Martinique), Edouard GLISSANT et Patrick CHAMOISEAU (Martinique), Kateb YACINE (Algérie),
Abdelkebir KHATIBI (Maroc), Agota KRISTOF (Hongrie), Emil CIORAN (Roumanie), Antonine MAILLET (Canada), Axel GAUVIN (La Réunion)… Le cours fera aussi référence, dans une perspective comparatiste, à des écrivains et à des penseurs japonais (KATÔ Shûichi, 加藤 周一, TAWADA Yôko 多和田 葉子, Mizumura Minae 水村美苗et autres écrivains des « littératures transfrontalières » 越境文学), et proposera des liens vers d’autres arts, en particulier l’art contemporain et le cinéma.

詳しくは、語学文学文化コースオリジナルWebサイトの「先生たち」や「卒論・卒業課題」のページをごらんください。

前之園 望(まえのその・のぞむ) 語学文学文化専門演習

授業内容

私のゼミでは 20 世紀前半に世界規模で展開された芸術運動であるシュルレアリスム運動を研究対象とします。シュルレアリスム運動は文学・美術それぞれの領域を交差するように発展しましたが、このゼミでは主に文学的側面からのアプローチを行います。シュルレアリスムとは絶対的な「自由」を求める運動です。知らぬ間に私たちの生活を支配し、いつしか当たり前となった「制度的なもの」の姿を暴き、それにゆさぶりをかけ、そこから「自由」になろうと、シュルレアリスト達は徹底的にもがき続けました。皆さんには、このゼミを通して、「制度的なもの」に対して敏感に反応できる、しなやかな感受性を身に着けてもらえたら、と願っています。
世界の見方を相対化する試みとして、2021 年度は、シュルレアリスム運動の中心人物、アンドレ・ ブルトンが 1940 年代に提唱した「透明な巨人」の神話について皆さんと一緒に考えてみたいと思います。オンラインでの開講を予定していますので、manaba でのゼミへの積極的な参加が前提になり ます。また、並行して学術論文の読み方、書き方の基本の紹介にも時間を割きたいと思っています。 皆さんには、講義動画を視聴していただき、掲示板への書き込みや小レポートといった課題に取り組んでもらいます。教員からはmanabaの閲覧履歴が細かい時刻まで確認できますので、動画を公開してから数日たっても閲覧がない、などということのないようにお願いします。特にコースニュースはすぐに確認しましょう。毎月 1 回は Webex の回とし、主に学生間でのディスカッションにあてます。学期末ごとにレポートを提出してもらいますが、学生間でレポート評価を行うピアレビュー方式も可能であれば取り入れるつもりです。成績は授業への参加度とレポート内容に基づいて評価を行います。

主な指導分野

私の専門はアンドレ・ブルトンの詩学です。19 世紀以降のフランス詩、20 世紀前半にフランスで展開された前衛運動諸派の文芸作品について指導が可能ですが、その他のテーマについても相談に応じます。卒業論文を執筆する学生を歓迎します。

詳しくは、語学文学文化コースオリジナルWebサイトの「先生たち」や「卒論・卒業課題」のページをごらんください。