ドイツ語文学文化専攻
卒業生便り
本専攻の卒業生の方は、以下のメールアドレスにお便りをお寄せください。メールには氏名、卒業年度、所属ゼミ(もしくはクラス担任)教員氏名を明記してください。お送りいただいたメールは各教員に転送します。またご許可いただけるようでしたらこのホームページで公開させていただきます。
E-mail:dokubun-grp@g.chuo-u.ac.jp
ドイツのメディアから/沢辺ゆりさん
はじめまして。私は中央大学独文専攻の卒業生で、フランクフルト在住の沢辺ゆりと申します。1989年、ベルリンの壁崩壊直前にドイツにやってきました。留学の2年間を終えそのままドイツで就職し、最初は日本語専任講師としてドイツの大学に勤めましたが、2002年にフランクフルトに引っ越してからは、ドイツ語担当のローカルスタッフとして日系企業で働いてきました。新聞を読むのが好きなこともあり、特にここ8年間は、ドイツの時事ニュースを日本語でまとめて日本の本社に送る仕事も引き受けてきました。
今春で会社勤務は辞めましたが、今年6月から、「なるべく平易な文章で」、「ドイツのことを知らない読者にも分かり易く」書くことをモットーに、ドイツで今話題になっているニュースを取り上げて私の視点からまとめ、日本の読者に発信していく試みを始めています。メディアの役割は、なるべく多くの事実を正確に伝えることと並んで、1つの事柄を様々な角度から捉えて、賛否両論なるべく多くの異なる見方を読者・視聴者に提供し、「さあ、貴方も自分の頭で考えて下さい」と呼びかける、その姿勢にあるのではないかと思います。そしてこの点で、ドイツのメディアのレベルはかなり高い、というのが私の印象です。
日本と異なり、ドイツのテレビの毎日のニュースでは、15分ぐらいの番組のうち半分ほどが自国外のニュースで埋まります。ドイツは欧州大陸の真ん中に位置するだけでなく、大国としてEUをけん引する立場にもあり、従ってEU内のどの国で起こることにも注意しなければならず、更にEUとして対ロシア、対中国、対米国、対中近東、対アフリカの姿勢を決めねばなりません。ですから国外で起こることにもドイツは常に目を向けているのです。ドイツにいると日本にいるよりはるかによく世界が見えてくるのは、そのためです。
現在ドイツという国について学んでいる皆さんが、「今、この時」にドイツで、あるいは欧州で何が起こっているのかを知りたいと思われるようでしたら、どうぞ私のブログ「アマガエルのドイツ便り」を覗いてみて下さい。今後も5、6日に1本、新しい記事を加えていくつもりです。https://doitsudayori.blogspot.com/
中央大学大学院独文専攻修士課程1984年度修了生 沢辺ゆりさん(2020)
四年という時間を過ごしての実り/平塚瑞穂さん
大学での四年間は、長いでしょうか、短いでしょうか。
私の大学生活は、とても短く、そしてとても濃かったと感じています。この専攻で、文化、文学、歴史を学ぶことで、語学以外の幅広い教養にも同時に触れられたのが、私にとって何よりの経験となりました。
とりわけ良い経験が短期留学でした。ドイツ語文学文化専攻には、通常の授業に加え、春休みにドイツに留学できる独自のプログラムがあります。私が居たバイエルン州のヴュルツブルグ大学では、ヨーロッパ諸国やアジア圏の学生が同じプログラムに参加しており、それぞれが異なる文化を持つ中で意見を出し合うという時間がありました。
異文化に触れると自己成長に繋がるとしばしば言われますが、日本という枠組みの中で安心していたのが、他国の文化の中で意思を主張するように求められるので、それまでの自分ではいられなくなります。私は主張する事は恥ずかしいと考えていました。否定されることが嫌だったからですが、意見がない者はその場に居ないも同然とみなされるのがドイツの当たり前で、拙くても自分の意見を言うように意識を変えました。
大学に入るまでは、語学だけを学べば社会に出ても潰しが効くだろうという考えていましたが、「~だけ」という単視眼的な考えのままでは、社会に出てもやっていけなかっただろうと、社会人になった今、強く思います。グローバル化が進み、SNSが普及している現在の社会を生きていく上で、多元的な見方と意見を持ち、伝えられるようになったことは大きなプラスとなりました。文化的な教養は身に着けても、社会に出てすぐにそれを活かし、お金を稼げるわけではありません。ですが、その経験は確実に自分の強みを増やしてくれるものです。
現在私は会社員として働く傍ら、趣味で文章を書いており、企業広告等に提供しています。特にエッセイなどでは、実際のエピソードを添えて書くと、リアリティがより深まるようで、好評を得ています。独文専攻で異文化に触れた体験が、私の見識を広め、良い方向に変えてくれたと感じています。
10代~20代での経験は、その後のキャリアに大きく関わります。一つの場所でそこから見えることだけを究めるのも素敵ですが、できる限り多くの経験を積むチャンスがあるか、その環境があるかを基準に、自分が身を置く場所を選び、自分の人生を掴み取ってください。
ドイツ語文学文化専攻2015年度卒業生 平塚瑞穂さん(2018)
ドイツ語文学文化専攻から司法の世界へ/望月沙織さん
私はドイツ語文学文化専攻(以下、「独文」)を卒業した後、法科大学院に進学し、司法試験に合格して現在にいたります。独文の世界と司法の世界はまったくの別世界ですが、独文での4年間は様々な分野に興味を持つきっかけを与えてくれました。
独文というと、難しいドイツ語の文章を読解する授業をイメージするかもしれませんが、実際には、歴史や政治、文化、芸術、言語学等の様々な分野に広く接し、学生が自分の頭で物事を多角的に考えられるようになるよう先生方が後押しして下さる場所でした。 私自身もドイツ語の授業だけでなく、「現代ドイツ事情」や「ドイツ語学」等の科目を幅広く履修することによって、一見すると無関係な分野であっても、ある部分では密接に関連し合っていて、相互の学習を通じてより深い理解を得られるのだと知りました。
この学習体験を通じて、現代の複雑な社会問題を深く分析するにあたっては、一つの分野だけではなく関係した他の分野の研究も行い、様々な角度から分析を加えることが不可欠なのだと知ることができました。 そして、多くの分野に触れる中で漠然としていた司法への興味が明確になり、思い切って法科大学院へ進学する決意をしました。その時も先生方が応援して下さったことを鮮明に覚えています。
在学中には、先生方だけではなく、独文、他学部を含め多くの友人に恵まれました。ドイツのあらゆる側面に興味を持った仲間から刺激を受け、今まで知らなかった世界を知ることができたことも私を大きく成長させてくれたと思います。
世の中には様々な出来事があり、また様々な人がいて、互いに関連し合いながら変化を遂げていきます。私は独文の4年間で、今まで知ることのなかった世界を知ることができて、それまでより何倍も視野を広げることができました。独文で様々な体験をすることで、自己の可能性は大いに広がることと思います。
ドイツ語文学文化専攻2010年度卒業生 望月沙織さん(2015)
今の私の原動力を生み出した四年間/高安加奈さん
ドイツ語文学文化専攻で学んだ四年間は、新たな発見の繰り返しで、自らの引き出しを増やすことのできた、とても充実した四年間でした。
私は、大学に入学するまでドイツ語を学んだことがありませんでした。そのため、入学当初は、授業についていくことができるかとても不安でした。しかし、先生方が親身に、基礎から丁寧に教えて下さったので、入学してから学び始めた私も、安心して授業を受け、着実に力をつけることができました。
この専攻には様々な科目があります。語学の授業では、様々な小説をドイツ語で読んだり、ドイツ語で劇をしたりなどして、楽しんでドイツ語を学習しました。また、語学だけでなく、ドイツの歴史や文学、文化について学ぶ科目があり、ドイツの過去や現代についての知識を深め、ゲーテやニーチェなどの様々な文学に出会うことができました。
さらに、ゼミ演習では、ドイツ語のチャットにおける会話分析を行いました。先行研究が少ない中で分析するため、方向性が定まらず、途中でくじけそうになったこともありましたが、先生方の温かいご指導のもとで分析を進めることができました。ゼミで得た、自らで問題を提起し分析する力、分析したことを相手に分かりやすいように発表する力は、現在、仕事をする上での大きな原動力となっています。
私は、この専攻で学んだことで、英語のみを学んでいた高校生のときよりも学問的な視野が広がりました。現在私は教職に就き、子どもたちに英語を教えています。英語や外国の文化を学ぶことの楽しさを伝えるために、日々試行錯誤しながら授業に励んでいます。今後は、大学で得た言語や歴史、文化についての知識、相手に分かりやすいように伝える力を生かし、英語をより広い視野で、子どもたちに教えることができるように努めていきます。また、自己研鑽を忘れず、自らを常にスキルアップしていきたいです。
ドイツ語文学文化専攻2010年度卒業生 高安加奈さん(2013)