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専攻概要

教育学は、学校だけでなく家庭や地域も含めた社会全体のあり方を問い、人々の生き方を問う、幅の広い学問

教育学専攻 池田賢市 教授

いじめ、不登校、子どもの自死、児童虐待、高校での必修科目の履修漏れ、また、フリーターやニートの問題、そして、戦後の日本の教育を規定してきた教育基本法の全面改正。今、子ども・若者・学校をめぐる課題が注目されています。 では、どのような対策を立てればよいのでしょうか。道徳教育の重視、少人数クラス編成、多様な選択科目、受験制度の見直し、職業教育の強化などなど、いろいろと思いつくかもしれません。しかし、それらは印象に基づいたり、対処療法的なものではいけません。歴史をふまえ、哲学的基盤をもち、また、統計的な裏づけも求められます。

教育学専攻では、1年次の基礎演習で、これからの学習の基礎となる教育学の考え方をしっかりと学びます。同時に、教育哲学・教育史・教育行政学・教育社会学・教育方法学・生涯教育学といった基本となる専門分野の履修もはじまります。2年次からはこれに加えてより専門性の高い科目がたくさん用意されています。3年次からは、少人数での演習で学習を深めていき、4年次で、自分の問題関心に基づき卒業論文を作成します。教育学には、幅広い知識と豊かな発想が求められます。人が育ち、生活していくことをトータルにとらえる「複雑・多様な」学問が、教育学です。

学びの特色

授業以外での自由な学びがある

正規の授業以外にもいろんなことを勉強してみたいと思いませんか。教育学専攻では、1年次から4年次まで、学年の枠を超えて学生たちが自主的にいろいろなテーマを決めて学習していくサブゼミ(現在10程度のグループがあります)という伝統があります。新入生歓迎会を開いたり、研究発表のための合宿も行っています。先輩からいろいろな情報を得ることもできます。

学校教育だけではない幅広い学びがある

「教育」というと学校での勉強を思い浮かべてしまう人が多いことでしょう。しかし、教育学が対象とするのは学校教育ばかりではなく、家庭教育や社会教育など乳幼児から高齢者に至るまで生涯にわたる人間の成長を問題としています。また、教育は人類の歴史とともに古く、したがって、哲学、歴史学、政治学、経済学、心理学、社会学などとの関連も、さらには外国の教育事情についても学んでいくことになります。

実際に教育現場を訪問する学びがある

1年次・2年次での基礎的、専門的科目を幅広く学んだ後、教育学専攻のハイライトとも言えるのが「教育実地研究」です。これは、学生自身が訪問先を決めて4泊5日で行う現地研究です。さまざまな人との出会いのなかから実践的な観点を学んでいくことで、教育の新たな問題が見えてきます。

そして卒業後の進路は多様・多彩

教育学は、人間の成長という非常に大きな問題をテーマにし、人間をトータルにとらえる、いわば人間学そのものですし、その人間は真空のなかで成長するわけではないので、常にその時代その社会との関係において考えることになります。ですから、教育学は、実はどんな仕事に就くにしても必要な学問です。就職先は教員ばかりではありません。