文学部

文学部の授業でモノづくり 『学びの扉をひらく』を刊行

2022年03月25日

文学部の授業科目:「特別教養(実践的教養演習)」(2021年度)で学生が中心となって企画・編集した教科書、『学びの扉をひらく-時間・記憶・記録-』(上巻・下巻)が刊行されました。

 

中央大学文学部(編)

発行:中央大学出版部

ソフトカバー  190ページ

定価:各1,000円+税

発行:2022年3月15日

 

 

内容紹介

この本は、中央大学文学部に開設されている授業科目「特別教養(実践的教養演習)」の成果として刊行されています。この科目は、中央大学の「教育力向上推進事業」という競争的資金に文学部が「学生が作る/学生と作る実践的教養教育」という計画を申請し、採択されたことで開設されました。領域横断的なテーマのもとに多様な領域の学生と教員が一緒に「書籍の出版」「イベントの実施」「動画の発信」という「ものづくり」に取り組み、学びの成果を目に見える形にするところが特徴です。

今回の出版は、2021年度、こうした計画の趣旨にそって、「時間・記憶・記録」という年間テーマを設けて「書籍(教科書)の出版」に取り組んだ成果です。文学部のすべての専攻・プログラムから教員が執筆し、さらに理工学部の先生にも協力いただきました。また、一緒に本を作ってきた学生(科目履修者)の皆さんがそれぞれの文章をどのように読んだのかを示す学生コラムを併せて収録しています。最初から読んでいただいてもいいですし、興味のある分野からつまみ食いしていただいてもかまいません。「時間・記憶・記録」という同じテーマから、これほど多様な学問的なアプローチができることを感じていただければ、この本の役割は果たされています。

進路選択の参考になったり、大学生の皆さんであれば、自分の専攻する分野の特徴を再認識することになったり、学問はこんなに面白いと興味を持っていただいたり、そういう出会いがあったら、この本にかかわった私たちにとって、これほど嬉しいことはありません。

学問は本来楽しいものです。この本を通じてその楽しさをおおいに味わっていただくことを心から願っています。

 

 

―上巻・目次―

文学部発、中央大学の学びの楽しさへ向けて(宇佐美毅)

本書の概要(大川真)

第一章 震災を記憶し、未来に残す

 ・時間と共に変化する記憶・変化しない記憶

(文学部心理学専攻 山科満)

学生コラム(深野颯一郎)

 ・フィクション作品から考える「時間/記憶/記録」―テレビドラマ『時は立ちどまらない』をめぐって―

(文学部国文学専攻 宇佐美毅)

学生コラム(松村優子)

第二章 記録を解釈し、管理する

 ・歴史研究から時間・記憶・記録を考える

(文学部日本史学専攻 宮間純一)

学生コラム(平田尚輝)

 ・デジタルアーカイブ―記憶を記録し、継承する社会装置―

(文学部社会情報学専攻 常川真央)

学生コラム(桑田笑歩)

第三章 歴史と記憶を語り、表現する

 ・To Play, or Not to Play『ヴェニスの商人』のシャイロックをめぐる記憶の問題

(文学部英語文学文化専攻 木村明日香)

学生コラム(岡部晴香)

 ・中国文学における時間、記憶、記憶

(文学部中国言語文化専攻 飯塚容)

学生コラム(杉本麻郁子)

第四章 記憶・時間と向き合い、考える

 ・記憶とうまくつきあうために

(理工学部人間総合理工学科 檀一平太)

学生コラム(小柳晴矢)

 ・哲学者が語る時間、記憶、記録

(文学部哲学専攻 青木滋之)

学生コラム(宮内俊輔)

「知」の越境と協働、その先へ(尹智鉉)

出版部門メンバー一覧

 

 

―下巻・目次―

文学部発、中央大学の学びの楽しさへ向けて(宇佐美毅)

本書の概要(大川真)

第一章 社会的危機を記録し、その意味を問う

 ・死者からの贈り物―カミュ『ペスト』における「記憶」と「記録」を読み解く―

(文学部フランス語文学文化専攻 田口卓臣)

学生コラム(高松映莉華)

 ・日々を記録し、危機の瞬間に記憶をつかまえる―日常生活のフィールドワーク―

(文学部社会学専攻 新原道信)

学生コラム(松村優子)

第二章 過去の生者を見つめ、現在を考える

 ・人はいつ死ぬと思う…?

(文学部東洋史学専攻 阿部幸信)

学生コラム(奥田彩乃)

・暴力の記憶と死者の追悼―イルゼ・アイヒンガーにおけるグリム童話の継承と断絶

(文学部ドイツ語文学文化専攻 羽根礼華)

学生コラム(垣内咲南)

第三章 批判的な視座を持ち、近代的な時間管理を考える

 ・近代イギリスの時間意識をどう考えるか―産業革命・標準時・帝国―

(文学部西洋史学専攻 石橋悠人)

学生コラム(小柳晴矢)

 ・学校教育を支える時間・記憶・記録の批判的検討

(文学部教育学専攻 池田賢市)

学生コラム(松村優子)

第四章 自然科学から記録方法を捉え直し、記憶の向上を考える

 ・運動・スポーツとの関わりからみた時間と記憶

(文学部学びのパスポートプログラム 加納樹里)

 ・身体運動からみた「記録」

(文学部学びのパスポートプログラム 布目靖則)

学生コラム(河村帆乃)

・時間とは何か―理論物理学の観点から―

(理工学部物理学科 中村真)

学生コラム(宮内俊輔)

「知」の越境と協働、その先へ(尹智鉉)

出版部門メンバー一覧