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自分たちで学びをかたちに―新授業「特別教養:実践的教養演習」

文学部では、2020年度から、「自分たちで学びをかたちに」をキーワードとした新しいタイプの演習授業「特別教養:実践的教養演習」が始まります。ひとつのテーマについて、①大学の授業で使う教科書をつくる、②学内で学術イベントをする、③動画で発信する、という3つの課題に挑戦します。文学部のすべての専攻・プログラムから参加できる全く新しい授業です。大学の学びをつくるのも、学びの成果を発信し広めるのも、自分たちの手で!――いかがでしょう?大学生活が何倍も楽しくなりそうだと思いませんか!

授業の特色

  1. 領域横断的な学び:文学部には13の専攻があり、文学・言語学・歴史学・哲学・社会学・社会情報学・教育学・心理学など、様々な学問を専門とする人が集まっています。どの学問を専門とするかによって、考え方も関心も大きく違います。では、文学部に集まるすべての人にとって面白いテーマはあるのでしょうか――答えは「YES」です。「特別教養:実践的教養演習」は、「ヒトとモノ」「いろとかたち」など、文学部のみんなが共通して楽しく考えられるテーマを軸に展開されます。異なる専門をもつ人たちが集まれば、同じテーマをいろいろな角度から見ることができて、学びも議論もそれだけ刺激的になります。いつもとは違うメンバーと、いつもとは違う議論を楽しみましょう。
  2. 主体的・対話的な学び:大学の授業のクラスサイズは様々ですが、大きいと200人を超えるような授業もあります。「特別教養:実践的教養演習」では、参加者が小さなグループに分かれて課題に取り組みます。PCやプロジェクターが何台も備え付けられた最先端の設備をもつアクティブ・ラーニング型教室で、グループのメンバーと協力しあって、課題の実現を目指しましょう。自分の考えをまとめ伝える力(思考力・表現力)、互いの意見のよいところを取り入れながら全体として優れた考えを作り上げる力、必要な作業を分担し、協力して成果を生み出す力(協働性)を伸ばすチャンスです。
  3. 実践的な学び:大学生になったら、学んだことの成果をレポートにまとめたり、みんなの前でプレゼンテーションしたりするためのアカデミック・スキルが求められる場面がたくさん出てきます。しかし、「特別教養:実践的教養演習」では、もう一歩進んで、さらに一味違うスキルを身につけることができます。テーマについて学び、理解したことを、教科書出版、イベント企画、動画発信という形でまとめ上げるのです。これほど実践的な授業は、よそにはなかなかありません。大学の授業で使う教科書を自分の手で作りたい! 学内で行われる学術イベントの企画に携わりたい!文学部の面白さを動画で発信したい!そんな気持ちのある人は、ぜひ、「特別教養:実践的教養演習」に参加してみましょう。

授業の内容

2020年度は、「ヒトとモノ」という共通テーマの下に、文学部の異なる専攻・プログラムで学ぶ参加者が協力し、刺激しあいながらともに学びます。具体的には、出版、イベント、動画発信という3つの部門に分かれ、共通テーマ「ヒトとモノ」について理解したことを(論文やレポートとは違う形で)表現するための実践的なスキルを習得します。部門ごとに、プロの編集者、脚本家、映画監督、文化資源調査の専門家などのお話もうかがいながら、必要な技術とものの見方を身につけていきましょう。

前期スケジュール

  出版部門
「本」という“モノ”を創る
イベント部門
キャンパスにおけるヒトとモノを調査する
動画制作部門
コンテンツを理解し、動画で表現する
「ヒトとモノ」というテーマについて様々な角度から論じる論稿を集め、テーマ講義の教科書を作ります 「ヒトとモノ」というテーマについて考える学術イベントを企画し、文学部の学生・教職員に参加を呼びかけます 「ヒトとモノ」というテーマについて考える動画や、この授業の学びについてアピールする動画を作成し、発信します
中村昇(哲学)
及川淳子(中国言語文化)
横山佐紀(総合教育)
中坂恵美子(総合教育)
小山憲司(社会情報)
青木滋之(哲学)
第1回 導入①授業の趣旨と内容の説明・各部門のねらいと課題
第2回 導入②各部門の活動に関わる法律上の基礎知識
第3回 共通テーマ「ヒトとモノ」に関するブレインストーミング
第4回 コンセプトの創出①本を創造する目的 モノ・文化資源の調査とは(レクチャー・ディスカッション) 動画制作の手順
第5回 コンセプトの創出②テーマと執筆者 調査①(図書館など) 前回のふりかえり、動画制作部門の目標の立案
第6回 関係全体の確認:調査とインタビュー 調査②(図書館など) 本演習の学びのアピール動画の制作①企画
第7回 「本」の具体的設計① 執筆者と時期 データ整理(リスト化) 本演習の学びのアピール動画の制作②シナリオ制作
第8回 「本」の具体的設計②作業分担 調査③(来歴など) 本演習の学びのアピール動画の制作③取材
第9回 具体的交渉①執筆内容の検討 調査④(聞き取り調査など) 本演習の学びのアピール動画の制作④編集
第10回 具体的交渉②執筆者の決定 調査結果まとめ 本演習の学びのアピール動画の制作⑤試作品の確認
第11回 前期報告会の準備 前期報告会の準備 本演習の学びのアピール動画の制作⑥再編集・構成
第12回 動画制作部門の成果報告
第13回 イベント部門の成果報告
第14回 出版部門の成果報告・まとめ

後期スケジュール

  出版部門
「本」という“モノ”を創る
イベント部門
キャンパスにおけるヒトとモノを調査する
動画制作部門
コンテンツを理解し、動画で表現する
第1回 導入①授業の趣旨と内容の説明・各部門のねらいと課題
第2回 導入②各部門の活動に関わる法律上の基礎知識
第3回 共通テーマ「ヒトとモノ」に関するブレインストーミング
第4回 原稿の分担 作業の手順・分担の確認/前期の成果の振り返り 前期のふりかえり、動画制作の手順
第5回 原稿の検討(文学・歴史) 調査①(1号館など) 共通テーマに関する学修①関連文献の講読
第6回 原稿の検討(哲学・社会) 調査②(屋外など) 共通テーマに関する学修②関連文献を用いたディスカッション
第7回 執筆者①との座談会【論文講読】 データ整理(リスト化) 共通テーマについて考える動画の制作①シナリオ制作
第8回 執筆者①との座談会【座談会】 調査③(来歴など) 共通テーマについて考える動画の制作②取材
第9回 執筆者②との座談会【論文講読】 調査④(聞き取り調査など) 共通テーマについて考える動画の制作③編集
第10回 執筆者②との座談会【座談会】 調査結果まとめ 共通テーマについて考える動画の制作④試作品の確認
第11回 後期報告会の準備 後期報告会の準備 共通テーマについて考える動画の制作⑤再編集・構成
第12回 動画制作部門の成果報告
第13回 イベント部門の成果報告
第14回 出版部門の成果報告・まとめ

(予定は変更になる可能性があります)

履修上の注意と履修方法

  • 本授業の定員は36名(3部門の合計)です。
  • 授業開始前に抽選を行います(抽選の詳細はC plusでお知らせします)。
  • 本授業では、前期の成果をもとに後期までかけて活動が完了します。授業に積極的に参加する意欲の高い方、前期後期を通じて継続的に履修できる方をお待ちしています。

多摩キャンパス文化資源マップと文学部の魅力発信動画が完成しました

マップ:中央大学を知ろう!―中央大学135年の歴史を歩く―(2020年度実践的教養演習 第二部門制作)
文化資源マップ(PDF:4.7M)文化資源マップ(高精細PDF:23M)

動画:文学部紹介動画(2020年度実践的教養演習 第三部門制作)

多摩キャンパス文化資源マップと文学部魅力発信動画が完成しました!
――新授業「特別教養・実践的教養演習」の成果として

「自分たちで学びをかたちに」をキーワードに文学部で2020年度からはじまった授業「特別教養・実践的教養演習」の成果として、学内資源マップ、文学部の魅力発信動画が完成しました。この授業では、ひとつのテーマについて深く学び考えたことを、教科書出版・学術イベント開催・映像制作の三つの部門に分かれて具体的なかたちにしていきます。2020年度は「ヒトとモノ」が共通テーマで、それぞれの部門でテーマについて検討し、コンセプトを決め、その道のプロである外部講師のレクチャーを糧としつつ成果物を創り上げていきました。

2021年度も「時間/記憶/記録」というテーマで3部門に分かれて授業をおこないます。全学年履修可、他学部履修も可能ですので興味のある方はシラバスをご覧ください(応募人数多数の場合は抽選です)。

*この授業は、2020年度・2021年度中央大学教育力向上推進事業の支援を受けて実施するものです。

【新刊紹介】特別教養(実践的教養演習)で学生が企画した本が出版されました

学生と教員が相談をしながらつくり上げる授業「特別教養(実践的教養演習)」の成果物が、『読書する知性:「本づくり」演習成果』として刊行されました。

中央大学文学部(編)
発行:中央大学出版部
四六判 240ページ 並製
定価 1,000円+税
中央大学出版部:https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784805752326

(以下、書籍カバーの折り返しから抜粋)
 本書は、中央大学文学部が2020年度に開始した「実践的教養演習」のうち、実際に本を編集・出版する部門の成果。全部門共通のテーマ「ヒトとモノ」をめぐり、ブレインストーミングから演習は始まった。会話で思考を柔軟にしたうえで、学生と教員が議論を重ね、共通テーマを本の具体的なテーマに落とし込む。執筆者の選定、執筆依頼、書籍としての構造設計、そして編集実務まで学生が自ら行い、さらに、それぞれがコラム原稿を執筆した。
 授業の基本はワークショップだが、編集者を招いてのレクチャー、教員による講義、執筆者と学生による座談会も行われた。本のタイトルづくりでは、講師のコピーライターと数回にわたってやりとり。それぞれの最終作品がコンテストにのぼり、投票により書名が決定した。プログラムの最後には、他部門(イベント、映像)と合同で報告会が開催された。
 執筆者に与えられたテーマは、「二十歳の頃に読み、その後を方向づけた本」。執筆した先生方にとっては、自身の知的ルーツを探り、さらには無意識にまで光を当てようとする、難しくもやりがいのある作業になったようだ。

文学部の2021年度授業科目:特別教養(実践的教養演習)で学生が中心となって企画・編集した科書『学びの扉をひらく-時間・記憶・記録-』(上巻・下巻)が刊行されます。

学生と教員が相談をしながらつくり上げる授業「特別教養(実践的教養演習)」2021年度の成果物が、『学びの扉をひらく-時間・記憶・記録-』(上巻・下巻)として刊行されます。

中央大学文学部(編)
発行:中央大学出版部
ソフトカバー 190ページ
定価  1,000円+税
発売:2022年3月25日

内容紹介

この本は、中央大学文学部に開設されている授業科目「特別教養(実践的教養演習)」の成果として刊行されています。この科目は、中央大学の「教育力向上推進事業」という競争的資金に文学部が「学生が作る/学生と作る実践的教養教育」という計画を申請し、採択されたことで開設されました。領域横断的なテーマのもとに多様な領域の学生と教員が一緒に「書籍の出版」「イベントの実施」「動画の発信」という「ものづくり」に取り組み、学びの成果を目に見える形にするところが特徴です。
 今回の出版は、2021年度、こうした計画の趣旨にそって、「時間・記憶・記録」という年間テーマを設けて「書籍(教科書)の出版」に取り組んだ成果です。文学部のすべての専攻・プログラムから教員が執筆し、さらに理工学部の先生にも協力いただきました。また、一緒に本を作ってきた学生(科目履修者)の皆さんがそれぞれの文章をどのように読んだのかを示す学生コラムを併せて収録しています。最初から読んでいただいてもいいですし、興味のある分野からつまみ食いしていただいてもかまいません。「時間・記憶・記録」という同じテーマから、これほど多様な学問的なアプローチができることを感じていただければ、この本の役割は果たされています。
進路選択の参考になったり、大学生の皆さんであれば、自分の専攻する分野の特徴を再認識することになったり、学問はこんなに面白いと興味を持っていただいたり、そういう出会いがあったら、この本にかかわった私たちにとって、これほど嬉しいことはありません。
 学問は本来楽しいものです。この本を通じてその楽しさをおおいに味わっていただくことを心から願っています。

上巻・目次
文学部発、中央大学の学びの楽しさへ向けて(宇佐美毅)
本書の概要(大川真)

第一章 震災を記憶し、未来に残す

・時間と共に変化する記憶・変化しない記憶
(文学部心理学専攻 山科満)
学生コラム(深野颯一郎)

・フィクション作品から考える「時間/記憶/記録」―テレビドラマ『時は立ちどまらない』をめぐって― (文学部国文学専攻 宇佐美毅)
学生コラム(松村優子)

第二章 記録を解釈し、管理する

・歴史研究から時間・記憶・記録を考える
(文学部日本史学専攻 宮間純一)
学生コラム(平田尚輝)

・デジタルアーカイブ―記憶を記録し、継承する社会装置―
(文学部社会情報学専攻 常川真央)
学生コラム(桑田笑歩)

第三章 歴史と記憶を語り、表現する

・To Play, or Not to Play『ヴェニスの商人』のシャイロックをめぐる記憶の問題
(文学部英語文学文化専攻 木村明日香)
学生コラム(岡部晴香)

・中国文学における時間、記憶、記憶
(文学部中国言語文化専攻 飯塚容)
学生コラム(杉本麻郁子)

第四章 記憶・時間と向き合い、考える

・記憶とうまくつきあうために
(理工学部人間総合理工学科 檀一平太)
学生コラム(小柳晴矢)

・哲学者が語る時間、記憶、記録
(文学部哲学専攻 青木滋之)
学生コラム(宮内俊輔)
「知」の越境と協働、その先へ(尹智鉉)
出版部門メンバー一覧

下巻・目次
文学部発、中央大学の学びの楽しさへ向けて(宇佐美毅)
本書の概要(大川真)

第一章 社会的危機を記録し、その意味を問う

・死者からの贈り物―カミュ『ペスト』における「記憶」と「記録」を読み解く―
(文学部フランス語文学文化専攻 田口卓臣)
学生コラム(高松映莉華)

・日々を記録し、危機の瞬間に記憶をつかまえる―日常生活のフィールドワーク―
(文学部社会学専攻 新原道信)
学生コラム(松村優子)

第二章 過去の生者を見つめ、現在を考える

・人はいつ死ぬと思う…?
(文学部東洋史学専攻 阿部幸信)
学生コラム(奥田彩乃)

・暴力の記憶と死者の追悼―イルゼ・アイヒンガーにおけるグリム童話の継承と断絶―
(文学部ドイツ語文学文化専攻 羽根礼華)
学生コラム(垣内咲南)

第三章 批判的な視座を持ち、近代的な時間管理を考える

・近代イギリスの時間意識をどう考えるか―産業革命・標準時・帝国―
(文学部西洋史学専攻 石橋悠人)
学生コラム(小柳晴矢)

・学校教育を支える時間・記憶・記録の批判的検討
(文学部教育学専攻 池田賢市)
学生コラム(松村優子)

第四章 自然科学から記録方法を捉え直し、記憶の向上を考える

・運動・スポーツとの関わりからみた時間と記憶
(文学部学びのパスポートプログラム 加納樹里)

・身体運動からみた「記録」
(文学部学びのパスポートプログラム 布目靖則)
学生コラム(河村帆乃)

・時間とは何か―理論物理学の観点から―
(理工学部物理学科 中村真)
学生コラム(宮内俊輔)
「知」の越境と協働、その先へ(尹智鉉)
出版部門メンバー一覧

学びの扉をひらく-時間・記憶・記録-(上巻・下巻)
学びの扉をひらく-時間・記憶・記録-(上巻・下巻)