国文学専攻

国文学専攻教授 吉野朋美ゼミ 合宿を実施

2025年09月20日

 国文学専攻の専門科目「ゼミナール(1)・(2)」(中世文学ゼミ/担当:吉野朋美 文学部教授)では、9月10日から12日まで金沢に宿泊し、福井の一乗谷や永平寺などをめぐるゼミ合宿をおこないました。中世文学作品の背景となった風土を体感し、作品理解を深めることが目的です。
 初日は北陸新幹線とバスを乗り継いで、一乗谷朝倉氏遺跡へ向かいました。戦国大名の朝倉氏が、応仁の乱以降五代百余年にわたる越前支配の拠点として計画的に築いた城下町跡です。特に五代義景は詩歌・画・禅に通じ、連歌師等を積極的に招くなど、文化活動にもすぐれていました。一乗谷には往時の暮らしがよくわかる遺構が残され、復元もされています。風もない蒸し暑い谷間を歩きながら、一万人も住民がいたという復元城下町の暮らしの様子を見、往時に思いを馳せました。
     次いで、道元禅師が開山した曹洞宗の大本山、永平寺へ。宗教の時代とも言われる中世の文学や文化を理解する上で、さまざまな仏教思想を学び、修行道場へ足を運ぶことは重要です。只管打坐を中心とする厳しい修行と、人間もあらゆるものも絶対の真理に生かされているという教えを思い起こしながら、整然と配された七堂伽藍を廻り、今も大勢居る修行僧とすれ違い、厳粛な雰囲気を味わいました。
 二日目は自由行動の日で、宿泊地の金沢を中心に、各自、事前に調べた福井県や石川県の名所を自由にまわりました。白山信仰の拠点で、『平家物語』や『古事談』にも語られて中世に大きな勢力を持っていた平泉寺白山神社を訪れたり、同じ福井県勝山市にある県立恐竜博物館(中世からはうんと遡りますが……)に行ったりしたグループもいましたし、地震復興の一助にという願いも込め、能登半島まで足を伸ばしたグループもいました。
 三日目は東京に帰る日でもあったため遠出はできず、また昼前から雨模様だったため、兼六園や金沢城を中心に金沢市内をめぐりました。戦国大名の城下町の遺構を見た後での近世の大名の城や庭園の端正さ・豪勢さに、あらためて中世との違いが感じられました。
 残暑も厳しく天気も良くない予報のなかでしたが、三日目以外は天気予報が外れて雨にもほとんど降られず、参加者全員が元気に、何事もなく旅行を終えることができました。個人ではなかなか行かないような、かつ自身の専攻する中世文学に縁の深い地にゼミとして旅をしたことは、今後中世文学を学んでいく上での一助になるでしょう。 
 なお、この合宿は文学部「特色ある学部教育補助予算」の助成を受けて実施しました。助成に感謝いたします。