国文学専攻
国文学専攻教授 中川照将ゼミ 夏合宿を実施
2025年08月29日

国文学専攻の専門科目「ゼミナール(1)・(2)」(平安文学ゼミ/担当:中川照将 文学部教授)では、8月27・28日に京都でゼミ合宿を行いました。テーマは「平安文学の理解を深める」。古典文学作品に描かれている場所を実際に訪れて、作品世界を追体験するのが目的です。
1日目は、洛北にある上賀茂神社・下鴨神社・貴船神社などをめぐりました。上賀茂神社と下鴨神社は、現在でも毎年5月15日に行われる葵祭にゆかりのある神社で、『源氏物語』でも葵巻などに描かれています。貴船神社は、和泉式部が「もの思へば沢のほたるもわが身よりあくがれ出づるたまかとぞ見る」(『後拾遺和歌集』1162番歌)という和歌を詠んだ場所として有名です。
2日目は、毎年、ゼミ生がそれぞれ行ってみたいところに赴くことにしています。今年は宇治方面を散策するグループと、嵐山方面を散策するグループに分かれました。この宇治や嵐山も、当然『源氏物語』などの平安文学作品で印象的に描かれる土地です。
わたしたちのゼミ合宿で特に意識している点は2つあります。1つは、なるべく徒歩で移動すること。平安時代にバスや電車はないからです。もう1つは、平安時代の地図(平安京条坊図)を見ながら歩くこと。最近はスマートフォンで現在の地図と平安時代の地図を重ねたものを見ることができます。そうした機器を使って、常に現在地
を確認しながら移動することで、「文学を読むこと」と「歴史を生きること」がつながるはずです。
8月の京都はとても暑く、全員汗まみれになりましたが、普段の授業では見ることのできない笑顔や会話に触れ合うことのできた、充実の2日間でした。この合宿での体験は、平安文学を単なる文字として読むのではなく、土地・身体・時間を通して感じ取る学びの重要性を再確認する機会になりました。
尚、この合宿は文学部「特色ある学部教育補助予算」の助成を受けて実施しました。