国文学専攻
【新刊案内】文学部教授 山下真史 年譜執筆等『宮沢賢治/中島敦』
2016年04月18日

現在刊行中のシリーズ「日本文学全集」の第16巻として、
「宮沢賢治/中島敦」が刊行されました。
刊行にあたっては、山下真史教授が中島敦の年譜を執筆し、
『李陵・司馬遷』の題名と本文は、山下真史・村田秀明校訂『中島敦『李陵・司馬遷』』
(神奈川近代文学館、2012)が採用されました。
『宮沢賢治/中島敦』
(シリーズ: 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集 全30巻)
河出書房新社 2016年4月
体裁:A6変形 514頁
定価:2,900円+税
内容情報---------------------------------------------------------------
■ 目次より
宮沢賢治
春と修羅
疾中
星めぐりの歌
[われらひとしく丘に立ち]
スタンレー探険隊に対する二人のコンゴー土人の演説
農学校歌
[生徒諸君に寄せる]
*
水仙月の四日
ひかりの素足
北守将軍と三人兄弟の医者
気のいい火山弾
狼森と笊森、盗森
雪渡り
土神ときつね
雁の童子
泉ある家
十六日
ポラーノの広場
*
[石川善助追悼文]
中島敦
環礁-ミクロネシヤ巡島記抄-
悟浄出世
悟浄歎異-沙門悟浄の手記-
弟子
李陵・司馬遷
章魚木の下で
巡査のいる風景-一九二三年の一つのスケッチ-
解説 池澤夏樹
付録1 「言葉の流星群」
付録2 「ポラーノの広場に集う者」
年譜
■ 帯より
世界文学を自分の内部に抱え込んだ二人の創作者。
詩において、童話において、小説とエッセーにおいて、
奔放にあふれるエネルギー。--池澤夏樹
自然と人間の欲望の対立を苛烈に綴った詩「春と修羅」、
病床で自らの死と対峙した連作詩「疾中」、
「野はらのまんなかの祭のあるところ」をめぐる幻想詩童話「ポラーノの広場」、
吹雪で家路を見失った幼い兄弟を描く「ひかりの素足」など、
宮沢賢治の詩や童話19篇。
南洋の自然と風俗の濃密な匂いが立ちのぼる「環礁」、
中国故事をもとに三人の男の異なる生きざまを描いた「李陵・司馬遷」、
孔子とその門下の子路の交流を描く「弟子」のほか、
「悟浄出世」「悟浄歎異」など、中島敦の7篇。
夭折した二人の天才作家の精髄を集成。
◎月報:夢枕獏・古川日出男
■ 河出書房新社HPより
ぼくがこれを選んだ理由 池澤夏樹
この二人は近代日本文学の双柱だが、共に創作の領域が広すぎて全容をまとめがたい。
宮沢賢治は死を間近にした「疾中」詩編を中心に詩を選び、これに短篇の佳作を配した。
中島敦では中国の古典に材を取ったものと南洋体験を生かしたものに、朝鮮の一光景を添える。