文学部

英語文学文化専攻教授 大田美和が『現代詩手帖』3月号に寄稿

2023年03月06日

 英語文学文化専攻教授 大田美和が『現代詩手帖』3月号 特集「川口晴美 シスターフッドの未来」に、論考「この世界を踏み砕く魔法」を寄稿しました。

 

 この特集は、第46回高見順賞受賞詩人である川口晴美が、詩集『やがて魔女の森になる』(思潮社、2021年)によって第30回萩原朔太郎賞を受賞し、前橋文学館で「世界が魔女の森になるまで―—第30回萩原朔太郎賞受賞者 川口晴美」展(2023年3月4日~5月21日)を開催することを記念して企画されました。

 

 大田美和の論考「この世界を踏み砕く魔法」は、女性による女性についての表現の可能性を探ってきた文学研究者・詩人・歌人として、川口晴美の詩集を「現代社会において必要とされている表現が文学的水準に高められた」ものと高く評価した上で、この詩集に納められた代表作「世界が魔女の森になるまで」を丁寧に読解しています。その読みはガートルード・スタインの小説『三人の女』や、ディズニーのアニメ『アナと雪の女王』や、鳥に変身した王女フィロメラの神話などに言及して豊かに広がっています。さらに、詩から連想される現代日本社会における技能実習生の女性の困難や、新自由主義の過酷さにも思いを馳せます。そして最後に、この詩が「自分も他人の生も心から祝福できる、完璧な魔女」を誕生させたことを称え、「この言葉が・・・多くの人に届き、祝福がこの世界を満たし、この世界が今よりもっと幸せを感じられる場所になることを願わずにはいられない。」としめくくっています。

 

 大田美和には、「「わたし」と「あなた」の融合と乖離 川口晴美の詩集『液晶区』から詩集『lives』まで」という論考もあり、思考集『世界の果てまでも』(北冬舎、2020年)に納められています。

 

 ぜひお読み下さい。『現代詩手帖』3月号は現在書店などで発売中です。中央大学中央図書館「雑誌コーナー」で読むこともできます。