ドイツ語文学文化専攻

在学生便り

ドイツ語文学文化専攻の日々

学びから実践、そして新たな発見へ/高橋来佳

ドイツ語文学文化専攻は、他の専攻と比べて学生数が少なく、1学年約60名という小規模な環境で学ぶことができる。入学当初、必修のドイツ語コミュニケーション授業の教室に約30名しかいなかったことに驚いた。しかし今では、この少人数制こそが本専攻の大きな魅力であると感じている。
本専攻の強みとして、「教員との距離の近さ」が挙げられる。授業では、ドイツ人教員に発音や表現についてすぐに質問できる。仮に自分から質問することが苦手であっても、教員が学習の様子を細かく見取り、適切なタイミングで声をかけてくださるため、安心して取り組むことができる。
また、学生同士のつながりも魅力の一つである。選択科目では受講者が10名以下になることもあり、学年を越えて一つの机を囲みながら学んでいる。単語の意味を推測したり、日本ではなじみの薄い文化について意見を交わしたりする中で、多角的な視点が育まれていく。教員も初級者に配慮した語彙で丁寧に解説してくださるため、安心して議論に参加できる。未知の言語に挑戦するからこそ、学生同士で励まし合いながら成長していける環境がある。本稿とともに載せた写真は、昨年、ドイツ人教員が焼いてくださったシュトレンを囲みながら、受講生8名でクリスマス会をした一コマだ。ドイツでは、華やかなクリスマスマーケットが有名だ。そのような楽しい雰囲気を、学内で友人とともに味わえる時間は、かけがえのないものである。
ドイツ語を難しいと感じたことはあっても、学ぶことを嫌いになったことはない。それは周りの人々に支えられながら学習に取り組むことができているからだ。例えば、誤った文法を使ってドイツ語を話していると、教員は厳しく指摘するのではなく、正しい形に直してリアクションをしてくださる。単語の意味が分からないとき、友人は英単語を交えて教えてくれる。このように自分にあった環境で学ぶことができているなかで、私は「教える」という行為そのものに関心を持つようになった。教える側は学習者の意欲を高めながら正解へと導いていくことが求められていると気が付いたからだ。
現在は外国語教育の専門演習と教職課程を履修し、指導法について学んでいる。本専攻では、英語科およびドイツ語科の教員免許を取得することが可能である。演習では、例えば学習者の誤りに対するフィードバックには明示的なものと非明示的なものがあり、状況に応じて使い分ける必要があることを学んだ。演習で得た知識は教職課程の実践的な学びと結びつき、実践を通してさらに理解が深まっていく。このように「学びから実践、そして新たな発見へ」と循環していく点も、本専攻の魅力である。
学生生活は残すところ、あと一年。私自身、まだまだ学びたいことがたくさんある。意欲的に学ぶ仲間と支えてくださる教員の存在に感謝しながら、これからも外国語教育の奥深さを追究していきたい。

ドイツ語文学文化専攻3年 高橋来佳(2025)

クリスマス会の1コマ

 

ドイツ語、そしてドイツ語学との出会い/吉巻詩織

ドイツ語文学文化専攻で学ばせていただくなかで、恵まれていると感じることが多々あります。まず一つ目は、専門科目の授業環境の素晴らしさです。どの授業もきめ細やかな対応で学生一人一人に配慮してくださっており、質問することは勿論その分野に沿ったご指摘やフィードバックを頂くことができる貴重な環境となっています。ドイツ語の学習においては、自主学習をすることは前提としてありますが、授業で教えてくださったことを中心に学びを進めていくことで至らぬ私でも少しずつ成長することができました。また日々のドイツ語の授業に加えて、ドイツ語検定試験「ゲーテ・ツェルティフィカート(Goethe-Zertifikat)」対策のワークショップを臨時で開催してくださりました。試験でのポイントを教えていただきながら模擬テストをすることで、自身に足りないところを明確化することができ、また会話練習の機会をさらに増やしていただいたおかげで、資格取得への不安を解消することができました結果、合格に至りました。
二つ目は、三年生から始まるゼミ論文執筆の経験です。私は林明子先生のドイツ語言語学ゼミで学ばせていただいております。大学に入学して以来、レポートやレジュメを作ることは勿論、発表することが苦手で悩ましい日々でした。しかしゼミという場で、林先生は丁寧で温かいご指導をしてくださり、また先輩方のゼミに対する取り組みの姿勢を模範として学ばせていただき、自身の研究を良いものとするために私なりに書いてみようと挑むことができました。執筆時には時間ばかり過ぎ遅々として上手くいかず悩むことがありますが、その苦境を乗り越える経験は、自身を成長させる起爆剤になってくれていると思います。

元々行動力があるかというと、決してある方とはいえませんでした。しかし専攻のなかで自身の研究と向き合ううちに、気がつくと自ら自然に探究している状況になっていました。苦しいときもありますが、それを乗り越えることができるのは、懸命に導いてくださる先生の教えや周囲の方々の存在が大きいのだと思います。ドイツ語文学文化専攻の学びは、自分史に彩りを与えてくれるだけではありません。畏敬の念を抱きながら過ごし「今までの人生の中で、最も飛躍的な変化を与えてくれる四年間になるだろう」と確信しています。

自分一人ではこのような貴重な時間を過ごすことはできません。
私と関わってくださった全ての方々に深く感謝申し上げます。

ドイツ語文学文化専攻3年 吉巻詩織(2024)

洸洋たる蒼海を目指して/倉田愛梨

大学では何よりもドイツ語の勉強に没頭したい。ドイツ語を体得し、言語学を学ぶことでドイツ語そのものに没入したい。私は高校時の進学先選定の際にこのように思っていましたが、大学入学後はドイツ語文学文化専攻という専攻名の通り、語学だけでなく主にドイツ語圏に関する文学や文化、歴史、言語学、舞台芸術などの多種多様な分野の学修が始まりました。その結果、予想外の多様な学びは私の大学生活を豊かにし、発見を齎してくれました。
ここ独文専攻ではドイツ語のスキルアップを目指すだけでなく、多様な研究を見据えた科目が設けられています。文学や舞台演劇の変遷や分析・解釈の方法論、ドイツ語圏の古代史から近現代史、ドイツ語学など授業内容は多岐に亘ります。歴史や思想は多くの分野の研究において根幹に据えられています。学びが進むにつれ、それぞれは独立しておらず互いに関連していることに気付きました。その時、広範囲に及ぶ学修の楽しさが実感できました。また、芸術作品が成立した当時の文化や歴史を視野に入れた上で、その作品の解釈やそれに付随する思想を学びました。これは新たな関心分野の一つとなり、学芸員資格の取得という目標もできました。自分の元々の関心に限らない学びは新たな着眼点も養成し、自身の成長に大きく貢献していると感じています。
もちろん語学の学習にも打ち込みました。文法やコミュニケーション、発音と充実した授業があり、ドイツ人の先生方からの指導も豊富です。二年次には長文読解にも挑戦しました。一文に約八〇語もある文を初めて見た時の衝撃は忘れられません。文字数に気後れしましたが、先生方は些細な質問にも快く答えて下さり、諦めずに読み進められました。まだ実力不足をよく実感しますが、未知の表現に出会う度、ドイツ語の面白さを再発見します。また、独力で文構成の仕組みを紐解くことができた時には、努力が実ったのだと強い達成感を得られます。
四月からは専門演習が開始されます。入学前から志していたゼミに参加し、言語学の本格的な学修、研究を叶えられることになりました。これまで独文専攻外に設置された日本語学や社会言語学などの履修を通じて言語学の広さと奥深さを実感してきました。今後も自分の興味を追及し卒業論文に取組みたいと考えています。
学ぶことに夢中になった二年間でした。その中で二〇二四年度学長賞給付奨学金も頂くことができ、これまでの努力が認められたように感じました。勉学への熱量を洸洋たる研究の世界に向け、残り半分の大学生活を精一杯謳歌したいです。

ドイツ語文学文化専攻2年 倉田愛梨(2024)

新たな分野に挑戦していく楽しさ/皆川遥夏

ドイツ語文学文化専攻では、ドイツ語圏の様々な事柄について学ぶことができます。まずドイツ語という言語について、またドイツ語圏の文学や文化について、そして歴史について。私は入学当初は世界史が苦手で、ドイツ史について研究することはないだろうと感じていました。しかしながら、私は現在、ドイツの歴史・社会を主に扱うゼミに所属し、ワイマル期~ナチ体制下のドイツについて研究しています。

はじめに述べた通り、ここドイツ語文学文化専攻では、ドイツ語圏の歴史や文化や言語を総合的に学ぶことができます。一・二年のうちに基礎演習で様々な分野を一通り学び、それ以外の、各分野に特化した講義や演習で専門的な知識を得ます。私がドイツ史に興味を持つようになったのは、二年生の頃に受けたドイツ史演習という授業がきっかけでした。その授業は、第一次世界大戦では敵国同士だった日本とドイツが第二次世界大戦で手を組むようになる経緯をドイツ語の文献で読んでいくという内容でした。正直初めはあまり興味が湧かず、たまたま空いていたコマだったために履修した授業でしたが、文献を読みながら先生の解説を聞き、今まで点であった知識が繋がって線になっていく感覚が楽しくなり、結果的にドイツ史を扱うゼミへの所属を決めるまでになりました。しかしながら、最初に述べた通り、私は今まで世界史が苦手だったのもあり、持っていた知識量はかなり貧弱でした。ですが、先生が読むべき本や歴史の学習への向き合い方を教えてくださり、今もどうにかドイツ史を学んでいけています。

ドイツ語文学文化専攻では、多くの分野を総合的に学びます。それによって、思いもよらない方向に自分自身の興味が向かうこともあります。そして、その分野を究めることに、先生方は親身になって協力してくださいます。新しい領域に挑む楽しさを、この専攻では感じることができると思います。

ドイツ語文学文化専攻3年 皆川遥夏(2022)

コロナ禍の中で出会った学問の世界/宇田川恵

私は2020年度に入学したので、1年生の初めからコロナ禍の中にあり、オンライン授業が当たり前の学生生活を送ってきました。サークルなど学外活動に参加し始めるのも遅くなってしまったため交友関係も中々広がらず、留学にも行きそびれ、不足を感じることの多い2年間でしたが、それはそれで1つの学生生活の在り方だとも思えるのは、ドイツ語文学文化専攻で質の高い学問に触れることが出来ているからなのではないかと思います。

質が高いと言うと抽象的ですが、具体的に言うと、私は独文専攻で学び始めたことで学問の世界が如何に広いのか、そして如何に深いのかを感じることが出来たということです。大学に入るまでの勉強においては必ず正解があり、それを超えるものは無かったため、私は何処か窮屈さを感じていたような気がします。しかし大学で出会った学問の世界においては、知識はどこまでも広がり、知識についての考えはどこまでも深く、自分がどんなに掘り下げたとしても既にその分野についてはずっと深く掘られています。具体的には、独文専攻の授業を受けて、各分野のマニアックとも思えるほどの深さと視点の多様性に驚かされましたし、細分化された視点の1つをとっても、古代の文明から現代の若者のカルチャーにまで話が及んでいく広がりの度合いも衝撃的でした。そのため、大学に入って、如何に自分が未熟で小さいかを知りました。しかし大学は知らないことを知っていく場所なのであるから、それは当たり前に経験する事であり、独文専攻はこの「何も知らない私」を受け止めてくれる場所であると感じています。

ドイツ語の授業でドイツ人の先生に質問すると、先生はよく„Das ist eine gute Frage.“「良い質問ですね」と仰ってくださいます。それはドイツ語では慣例化された表現なのかもしれません。しかし日本人の先生方も含め独文専攻では、„Das ist eine gute Frage.“の姿勢で、学生の問いを受け入れてくださるように感じています。学生である私のレポートは広い学問の世界においてはとても拙いものであり、毎回物足りなさを感じますが、それ以上にどうすれば良いのかも分からず提出に至ります。ですがこの独文専攻の雰囲気のためか、あまり恥ずかしいとは感じず、こうして今の自分が出せる力を出して成長していけば良いのではないかと思っています。このように、独文専攻の導きにより学問の世界の入り口に立つことが出来たからこそ、私はコロナ禍を理由にこの学生生活を否定したくないのかもしれません。

ドイツ語文学文化専攻2年 宇田川恵(2021)

恵まれた学習環境/濵口莉花

独文というと、ドイツ語の学習を思い浮かべる方が多いと思います。進学に当たっては不安を覚える方もいらっしゃるかもしれません。私もそのうちの一人でしたが、授業を通じて克服することができました。日本語母語話者とドイツ語母語話者の先生方の授業があり、「読む・聞く・書く・話す」の四つの技能が満遍なく備わります。文法事項など小さな点でも親切に質問に答えてくださり、わからないことや苦手なことを一つ一つ減らしていくことができました。

少人数で、学生・教員間の距離が近いことがドイツ語文学文化専攻の大きな特長であり、濃密な授業を受けることができます。課題は決して簡単ではありませんが、レポートやプレゼン作成の際には、学生一人ひとりに時間をかけて丁寧に向き合い、指導してくださります。文学・言語学・歴史学などがあり、それぞれの分野によってアプローチが異なるということも難しさの一つです。しかし、プロのご指導を受けながら、学生が吸収し、成果を発揮できるよう試行錯誤することは、大学で学ぶことの醍醐味です。そして確かに自身の力となって活きてくると実感しています。

学生同士もまた深いかかわりを持っています。独文の学生が大半を占める第二ドイツ語学会の部会員は特に仲がよく、あたたかで素敵な方ばかりです。夏合宿、クリスマスパーティーといった大きな行事だけでなく、日ごろから多くの時間を共に過ごします。先輩方には、入学時から大変お世話になっています。教材や本を薦めてくださったり、難しい論文を一緒に読んでいただいたり、大学院のコロキウムの見学へ誘ってくださったりすることもありました。新たな経験によって勉強に対する関心が一層高まりました。

独文での学生生活の折り返し地点に立った今、この素晴らしい環境に感謝し、さらに学びを深めたいと強く望んでいます。これからは私自身も、同期や後輩の仲間と今まで得た経験を共有することで、少しでも役に立てれば嬉しいです。独文で養った力、出会うことのできた素敵な仲間は、生涯においてきっと大切な宝物となるに違いありません。

ドイツ語文学文化専攻2年 濵口莉花(2019)

人生の分岐点/千葉華音留

ある出会いが私の人生を大きく変えたと確信している。誰の人生にも大きな分岐点があるだろう。私にとっての分岐点はドイツ語に出会ったことだ。ドイツ語に出会ったことで、私の人生は思わぬ方向に導かれたのである。元々はドイツの歴史に興味があり、またヨーロッパへの強い憧れもあったことから中央大学のドイツ語文学文化専攻を選択した。ここで私は初めてドイツ語を学んだ。言語自体の素晴らしさに気づいたのもドイツ語に出会ったのが一番の理由ではないだろうか。これまでかれこれ4年間ドイツ語を学んできたのだが、私をここまで動かしたのは、新たな言語で話すことが出来たという感動によるものである。まるで自分の狭かった世界に大きな亀裂が入ったような感覚だ。この感覚は今でも忘れられない。

私は大学2年の頃にある40代の女性と出会った。その女性のお陰で今の自分があるのだと言っても過言ではないだろう。彼女はアメリカに住んでいるドイツ人である。SNSをきっかけに知り合い、そこから毎日のように電話でやり取りをした。彼女は日本語や日本の文化を勉強したいということから私とやり取りをし始めたのである。ここから私は実践的にドイツ語を使うことが出来たのであった。これがきっかけで私のドイツ語に対する感動は更に膨れ上がった。

また2年時にもう一つ運命的な出会いがあった。この出会いにより私のドイツ長期滞在が可能になったのである。ある時、私がドイツに憧れるのと同じように日本への憧れを持つ若者と知り合った。彼は日本へ旅行に来ていたのである。彼とは初めて会ったときからお互いに打ち解けあった。私のドイツへの憧れに強く共感してくれた彼は、彼が実家にいない間に彼の家族の元で生活してみないかという提案をしてくれたのだ。彼はちょうど日本でWorking Holiday Visaを用いて長期滞在をするとのことであった。その結果、私は幸運なことに大学3年時にWorking Holiday Visaを用いてドイツ長期滞在をすることが出来た。

人との出会いは本当に大切である。また人と人とを繋げる言語には強大な力がある。その言語を学ぶことで自分の世界がより大きく広がるのである。私はその世界をもっと広げるために今年の夏から1年間留学をすることを決めた。これも一つの運命なのだろうか。冒頭でも述べたように、我々の人生には分岐点がある。それが良くも悪くも運命なのである。私の人生はこれからどうなるかは勿論まだわからない。ただ一つわかることは、自分の人生にはまだ分岐点があるということと、何が起こってもそれが運命なのだということだ。今できることを大切に生きたい。

ドイツ語文学文化専攻3年 千葉華音留(2017)

文学部学外活動応援奨学金による活動

中央大学3号館から世界へ/山本未來

私は文学部学外活動応援奨学金を受給しました。この奨学金について初めて知ったのは、入学初日のオリエンテーションです。先輩のお話を聞いて、私には関係のない存在だと思っていました。ましてや留学など自分には手の届かない雲の上の出来事だと感じていました。ですが、ドイツ語文学文化専攻での学びが進むうちに留学も奨学金も実現可能なものへと変化しました。そして留学した地で、それまで教室でスクリーン上に平面として見ていたものが、立体として浮かび上がり現実になったのです。
活動の計画はベルリンの博物館と演劇、コンサートに訪問することで、卒業論文のテーマを固める目的もありました。計画書を書くだけでもベルリンという街に詳しくなり、留学生活への期待が膨らみました。
実際の活動は、留学前に想像していたよりも遥かに素晴らしいものでした。博物館には展示の工夫が散りばめられ、学芸員を目指している私にとっては将来につながる学びが多くありました。ドイツの文化施設に訪問するだけでも、芸術がどのように人々の生活に溶け込んでいるのかが分かりました。全ての展示、コンサートは幅広い客層に支えられ、芸術が「誰にでも開かれているもの」ということがありありと示されていました。さらにベルリンを中心に、ドイツ国内外で広範囲に活動したことでドイツの歴史の知識が自然と身につきました。一緒に訪れた友達と知識を出し合い、話す時はかけがえのない時間でした。そこでは自分の持っている記憶の点と点とが結びつき、大学の授業や中学・高校での学びの一つも無駄ではなかったと思いました。座学ではない、フィールドワークで学ぶという楽しさを身を以て体験できました。
当初はできる限り「ドイツの文化・芸術」に触れるという漠然とした計画だったものが、最終的に卒業論文を博物館について書くと決定しました。そして、現在ではさらに大学院進学に向けての準備を始めています。
文学部学外活動応援奨学金による支えと学びの喜びから、ドイツ内外のいろいろな都市をめぐりたいという意欲が芽生え、「行動する知性」を体現できた貴重な機会となりました。
大学での学びによる成長は全て自分で掴み取ることができるものです。夢だったものが現実味を帯びてくる喜びを皆さんもぜひ体験してください。

ドイツ語文学文化専攻3年 山本未來(2025)

Berliner Ensemble の劇場内

ボーデ美術館

気づきの繋がりを辿って体得した「行動する知性」/川崎民恵

分野を超えて様々な観点から、自分の関心事について学びを深めることができるのは、ドイツ語文学文化専攻の特徴です。幅広く多様なテーマに触れていく中、私は1年次に受講した現代ドイツへの知見を深める講義を通して、ドイツの「環境」というテーマに特に興味を惹かれました。2年次以降は、「現代ドイツ事情」では環境先進国としてのドイツ、「ドイツ社会誌」では緑の党の台頭とその意義、「ドイツ文化講義」では環境問題に対する意識や考えを学ぶ機会があり、またコミュニケーションの授業では環境先進都市フライブルクの、観光都市や大学都市としての側面にドイツ語でアプローチすることで、理解を深めていきました。学年が上がるにつれ、「環境」というテーマについての私の関心はますます高まっていき、もっと専門的に学びを深めたいと思うようになりました。しかし卒業研究は、以前から興味のあった歴史教育か舞台演劇について扱うことを考え、既に準備を進めていました。そこで、「環境」については、奨学金を利用して独自に調査することを検討しました。

私が受給した「文学部学外活動応援奨学金」とは、学生が自分で設定したテーマで自由に活動・研究・調査することを目的としたもので、ドイツ語文学文化専攻の先輩方が今まで何人も活用しています。私はエントリーから事前準備、報告書に至るまで、専攻の先生方に大変お世話になりながら進めていきました。調査では「環境教育」「環境に配慮した街づくり」に焦点を当て、ドイツ・フライブルク市と、姉妹都市・愛媛県松山市にて資料収集、体験調査、専門家の方々や関連施設職員の方々へのインタビューを行うことで、日独の環境保全意識の違いを分析・考察しました。実際に現地へ足を運ぶことにより、「環境」というテーマについて研究する具体的な方向性を幾らか定めることができました。さらに、予定していたよりも大変多くの知見を得ることができたため、興味・関心の幅が広がりました。そして何より、一から自分で立てた計画を、意義あるものにしなくてはと自らを奮い立たせ得た経験は、自信にも繋がりました。

大学では一見、関係がないように思われる講義やテーマが、思わぬところで繋がりを持つことも多く、その気づきを見つけることが講義を受ける楽しみにもなります。ドイツ語文学文化専攻では幅広く多様な分野に触れることができるため、自分の興味の対象を増やしていく機会が多く、そして何よりそれを実行に移すことができる環境があります。ドイツ語文学文化専攻での様々な刺激と気づきの日々により、中央大学のユニバーシティー・メッセージである「行動する知性」を体得できた、充実した4年間となりました。

ドイツ語文学文化専攻4年 川崎民恵(2017)

教室を飛び出しフィールドワーク ―学外活動応援奨学金を受給して―/薬袋未夏

文学部には「学外活動応援奨学金」という奨学金があり、テーマや日程、場所などを全て自分で設定して研究活動ができる制度があります。自分がやってみたいと思ったことを実現させていくことが目的なので、専攻分野でもっと深く研究してみたいと思ったことでも、専攻分野とは直接関わらないテーマでも受給が可能です。

私は卒業論文ではナチ時代のドイツ社会の人びとの動きについて扱うと決めていたのですが、同時代の日本の戦時下の生活や人間模様に関心があり、これからを生きる私たちが何を考え、どう行動していくべきかを考えていくために戦争体験者の生の声をお聴きしたいと思いました。そのため、四年生の夏休みに「学外活動応援奨学金」を利用した研究活動を計画しました。今回の活動では特に長崎の被爆者の方にインタビューを行うことにしました。

事前準備ではインタビュー対象者と質問事項を決めるため、原爆に関する資料収集から始めました。その過程で私の知らない「あの日」が見えてきました。二重差別に苦しむ外国人被爆者や、「被爆者」ということを隠して生きてきた人たち。今の世の中からは想像もできないほどの苛酷な日々。今、私たちが平和に暮らしていけるのは、絶望的な状況の中でも、前を向いて生きようとしてくれた先人たちがいてくれたおかげであり、彼らの苦労や怒りや悲しみから平和が生まれてきたのだということが再認識できました。 インタビューでは、「長崎はどのように原爆を受け止め、立ち向かってきたと思いますか。その中で長崎の特色だと思うことは何ですか」、「原爆がもたらしたものについて伝わり切れていないと思うことはありますか」などについてお聞きしました。実際にインタビューをしてみて改めて感じたことは、被爆体験は被爆者の数だけあるということ、そして被爆体験の受け止め方は彼らの社会的帰属に影響を受けているということでした。そして特に印象に残った言葉は「想像力を持ってほしい」という言葉でした。想像力を働かせることで歴史と自分との距離が縮まり、その歴史の問題点や教訓を考えるようになると思います。「もし自分があの時長崎にいたら…」そのような姿勢で原爆問題を考える。その視点をもつことの重要性を考えるようになりました。

私の卒論のテーマは「ナチ時代における抵抗運動」ですが、人が歴史というものをどのように受け止めていくのかという問題は共通であり、卒論では抵抗運動がナチ体制崩壊後のドイツでどのように認識され、その認識がどのように変容してきたかを中心に取り組むことにしました。その意味で、長崎で得たものは卒論を考える際にも役立ちました。

このように奨学金の活動を通して、自分が興味を持っていることについて、それにかかわっている人や抱えている問題がいろいろと見えてくる機会が得られ、高校生までのものごとを覚える学習から、大学生で必要とされる、自ら進んで学んでいくという学問の世界を味わうことができました。

ドイツ語文学文化専攻4年 薬袋未夏(2014)

4年間を振り返って

不安が楽しさへ変わった 4 年間/谷口大季

この 4 年間は、良い友人たちと出会い、温かい教授から学び、想像もできなかった事を経験できた充実した 4 年間だったと思います。
入学前は、大学での学びについて行けるのか、自分が学びたい分野に出会えるのかという漠然とした不安を抱えていました。しかし専攻でのドイツ語の授業を通じて友人たちと出会い、そうした不安は次第に楽しさに変わっていきました。ドイツ語については多くの人が初習者で、最初の 2 年間を使って文法や発音、コミュニケーションの基礎を集中的に学びます。今思い返せば、この 2 年間は毎日のように慣れないドイツ語を学び、毎週出される難しい課題と向き合っていました。こうした課題は一人で解くのは難しく、やる気を保てなくなりそうな時もありました。そんな時、同じスタートラインから始めた友人が一緒に頑張ろうと声を掛け引っ張ってくれたり、分からない部分を共に教え合えたことで最後まで楽しくドイツ語を学べました。授業中も、発音やコミュニケーションの練習などではクラス全体が協力して声を出し合うとても良い空気感がありました。あの時ともに諦めず頑張った友人たちとの縁は、変わらずこの先も続いていくのだろうなと感じています。
また、この専攻には教授たちが挑戦を温かくサポートしてくれる環境も整っていました。一年生の頃に受けたドイツ語検定試験Goethe-Zertifikatでは、ドイツ人の先生が対策講座を開いて下さいました。とても温かく明るい雰囲気の中、試験を受ける人同士でグループワークを行い、楽しみながら試験対策ができたことで無事合格することもできました。さらにそのワークがきっかけで仲良くなった友人とは、4年の夏にドイツ語圏であるドイツ、スイス旅行に行くことができました。写真は、ドイツ留学中だったその友人のもとを訪れ、街を案内してもらった時のものです。それ自体が貴重な経験でしたが、この専攻で学んだドイツ語、歴史、そして縄田教授のゼミで学んだドイツやスイスの文化、風土についての知識を抱えた状態で訪れることができたからこそ、現地の住民の方との会話を楽しみ、思いを共有し、優しさに触れることができたのだと感じています。それは、入学前自分がヨーロッパを旅することなど想像もできていなかった私にとって宝物のような出会いと経験であり、この専攻で過ごせたことを嬉しく思います。専攻の教授や友人たち、家族には感謝の気持ちでいっぱいです。
ドイツ語文学文化専攻という新たな環境への入学を検討している方にとっては「ドイツ語の勉強について行けるのか」「自分の関心の強い分野と出会い、しっかりと学びを深めて行けるのか」など人それぞれの形で不安があると思います。ですが、他の学部に比べ少人数で学ぶことができるこの専攻だからこそ学生と学生、学生と教授の距離は近く、4年間を通してそんな不安を支え様々な可能性を提示してくれる温かい教授や、不安をともに乗り越え楽しみに変えてくれるような良い友人たちにきっと出会うことができます。前向きな気持ちで、入学前には想像もできなかったような出会いや経験を楽しんで欲しいと思います。

ドイツ語文学文化専攻4年 谷口大季(2025)

ヴュルツブルクーアルテ・マイン橋にて乾杯

ヴュルツブルクーマリエンブルク要塞からの景色

置かれた場所で咲くこと/木村遥

受験生の方々には示しがつきませんが、私は何がしたいのか、何のために大学に行くのか、軸を探せないまま中央大学に入学しました。ドイツ語に対しても、親友がドイツに行ったことがあると話していたから、なんとなく興味を持った、という程度でした。
ドイツ語の勉強はほとんどの人がゼロからのスタートなので、特段プレッシャーもなく進めることができました。予習や宿題を自分のペースで進めていくうちに、「楽しいかも?」と思い始めたのを覚えています。
楽しいと思えたことをきっかけに、大学3年生の夏に、テュービンゲンに1ヶ月間短期留学しました。たった1ヶ月ですが、その場に身を置いてしまえば大抵の事は乗り越えられるということ、そして、自信と勇気でコミュニケーションは成立するということ、この2つを学ぶことができただけで、留学は強く意味を持ったと思います。
このような留学の経験や日々の授業の中で、コミュニケーションと言語の関係に興味を持ち始めました。そこで、言語学ゼミでポライトネス理論を使った研究をしようと決めました。幼い頃から大好きだったジブリ映画より、『魔女の宅急便』のドイツ語版であるKIKIS kleiner Lieferserviceを研究対象とし、初対面の発話における言語表現の特徴と登場人物の性格付けとの関連を研究しました。大好きな作品を、興味のある観点から分析できた卒業論文執筆期間は、すごく楽しかったです。
私が以上のような4年間を過ごせたのは、母の言葉が影響しています。私が目的や軸がないまま入学しようとしていた時、母は「置かれた場所には何かしらの理由がある。あなたが中央大学に行くと決まったのも、なにかの運命だから。」と言ってくれました。
予想外の環境であっても、置かれた場所で咲くこと。咲こうという意思と、咲けるだけの努力をすること。当初は目的のなかった4年間が、こんなにも充実した日々になったのは、母の言葉とそれを貫いた自分の努力あってこそだったと思っています。

ドイツ語文学文化専攻4年 木村遥(2025)

ドイツへ憧れた4年間/歌川喜矢

4年間を振り返ってみると、短かったと思う一方で、一つひとつの思い出の濃さには自分でも驚くものがあります。入学したての頃には考えもしなかった経験を沢山した4年間でした。
私が独文専攻を選んだきっかけは、高校時代に触れたヴァイツゼッカー大統領の演説を原文で読んでみたいと思ったことでした。しかし、そんな軽い気持ちで踏み込んだドイツ語の世界は、決して甘いものではありませんでした。0から学ぶドイツ語は想像以上にハードで、テストの点数は周りの学生と比べても高くはありませんでした。それでも懲りずにドイツ語の勉強を続けたのは、留学でドイツへ行くという目標があったからです。その甲斐もあってか、留学に必要な最低ラインの資格をなんとか取って、1年間の留学をすることができました。そしてこの留学を通して、私の価値観は大きく変化しました。
留学ではテュービンゲン大学へ行き、ドイツ語をもっと使えるようになるぞと意気込んでいたものの、慣れない外国語だけの環境は言いたいことが伝わらないことも多く、言い回しを工夫する毎日でした。しかし、授業やイベントへの参加を通して沢山の人と関わるようにしていた結果、多くの友人に出会うことができました。そんな中、留学も半分終わった頃に、ゼミの担当教授の林明子先生から「ドイツ語を学ぶことだけではなく、ドイツ語で学ぶことが肝要だ」という指摘を受け、私の意識も変わりました。それまではドイツ語を使えるようになることに躍起になっており、ドイツ語学習自体が目的化していたことに気がつきました。その後、私は卒業論文の執筆に向けて、意識的にドイツ語の文献を読んだり、改めてドイツ語学の基礎を確認したり、何を学びたいのかを今一度考えたりするようになりました。その結果、さらに学びを深めたいと思うようになり、以前から漠然としていた大学院への進学という目標が確固たるものになりました。
高校生の時から持っていたドイツへの憧れは、4年間の学びを通し、気がつけば私の人生にとってかけがえのないものになっていました。大学生活を通して触れたドイツ語やドイツ語学の学修においては、まだまだだなと思うことが多いですが、一緒に学ぶ友人や先生方のおかげで楽しく学びを重ねてきました。この4年間の経験を忘れず、これからも努力をし続けたいです。

ドイツ語文学文化専攻4年 歌川喜矢(2025)

一日一日が宝物/横山泰地

2020年春、ずっと夢見ていた大学生。どんな人たちと出会えるのか、どんな経験ができるのか。授業やサークル、飲み会、文化祭、今後待ち受けるありとあらゆる「初めまして」に心を躍らせていた。
しかし、私が入学した頃はコロナまっただ中。授業がオンラインになり、サークル活動はいっさいできなかった。このままではまったく友達ができないまま1年生が終わってしまう!と焦りの気持ちが出てきて、zoom授業のグループワークの際に、SNS交換を始めた。まだ「友達」とは言えなくても、「なんとなく知っている存在」というのが私には大きかった。
2年生になり、対面での授業が始まると、「なんとなく知っている存在」から「友達」という存在になる子が増えた。一緒に授業を取り、学食を食べ、一緒に帰る。そんな憧れていた生活がようやく1年経って実現した。また、1年生の時は慣れなかったドイツ語の文法にもようやく慣れ始め、「ドイツ語って面白い」と素直に感じられるようになった。
3年生になり、私には明確な目標ができた。それは「ドイツに行って生のドイツ語に触れたい」というものだ。百聞は一見にしかず、ドイツに行けるよう日々努力した。しかし、私の不注意で中央大学が設けている留学のチャンスを逃してしまい、私は絶望を覚えた。それでも諦めきれず、外部の留学サポート機関を探し親に頭を下げ、ようやくドイツに行けることになった。
ドイツに行き、日本で勉強していた言語がそこら中に溢れていることが嬉しかった。さっそく授業で習った「注文の仕方」をレストランで実践したりもした。アルバイトもしたいと思い、30社以上に応募したが、どこからも合格をもらえず、悔しい思いをした。それでも現地での1分1秒が、日本での生活では得られない大切な瞬間であったことは間違いない。
4年生になり、卒業論文執筆が本格化したが、書き終わった今となっては好きなことについて深く分析をしていた時間がものすごく充実していたように感じる。
4年間は長いようであっという間だ。しかし、この4年間で以前にも今後にもできないような経験ができたと自負している。

ドイツ語文学文化専攻5年 横山泰地(2024)

「やりたい!」を追求した4年間/高木伽菜乃

中学生の時に出場したチアダンスの大会で中央大学の演技を目にし、「必ずこの大学に入って踊る」と心に決めました。受験時には、グローバルな社会において他言語を習得することが強みになると感じ、ドイツ語文学文化専攻を選択しました。高校時代までは学業に対して「やらされ感」を抱えていた私にとって、大学での学びは、自由度が高く、学問の面白さを深く実感できる貴重な経験でした。
独文専攻の魅力の一つは、教授と学生、学生同士の距離が近く、アットホームな環境で学べる点です。ほとんどの授業が大規模講義ではなく、20名ほどの少人数制であったため、発言しやすく、疑問点をすぐに解消できる環境が整っていました。1、2年次はコロナ禍でありながらも、学業に加えてソングリーディング部での活動やアルバイト、遊びなど、非常に充実した日々を送りました。特に、2年次の冬にはチアダンスの全米大会に出場し、忘れられない経験をさせていただきました。
3年次からは対面授業が中心となり、野外教育やTOEIC講座、会話や口頭発表に焦点を当てたドイツ語授業など、他の学生との交流や意見交換を重視した授業に積極的に参加をしました。この経験は学問に対するモチベーションを一層高め、視野を広げる機会となりました。
ゼミではドイツ演劇学を専門とし、高橋慎也教授に大変お世話になりました。舞台演出における身体表現とチアダンスには共通点があり、8年間打ち込んできたダンスの経験を学びに生かせたことは、「好き」と「学び」が一致した瞬間でした。教授は演劇学に関する豊富な知識を持ちながらも、ゼミ生の意見に耳を傾け、どんな考えにも「演劇の感じ方に正解はない」として尊重してくださいました。そのため、型にはまらない柔軟な学びができたと実感しています。
「やりたい!」を追求することができた恵まれた環境と、授業や活動を通じて出会ったかけがえのない仲間たちに、心から感謝をしています。

ドイツ語文学文化専攻4年 高木伽菜乃(2024)

独文で過ごした4年間/橋本美桜

私は、ドイツという国や文化について深く学んでみたいと思い、ドイツ語文学文化専攻を選びました。
私がドイツと出会ったのは、小学生の時でした。歴史上の人物の伝記漫画を読んでいた時に、『アンネの日記』で有名なアンネ・フランクの話を見つけました。そこで知ったドイツの「負の歴史」に衝撃を受け、大変興味を持ちました。第二外国語を学べた高校時代、私は迷わずドイツ語を選択しました。2週間のドイツ留学も経験し、ドイツの文化にますます興味が湧きました。大学でもドイツについて学んでみたいと思い、本専攻に入学しました。
1・2年次では、ドイツ語と文化について広く学びました。語学はもちろん、歴史や文学、社会問題など様々な授業を受けていく中で、私が最も興味深いと感じたのが、ドイツ演劇の授業です。私はもともと演劇鑑賞が趣味だったのですが、ドイツは演劇が盛んな国であることをこの授業で初めて知りました。明らかに日本の演劇とは演出方法が異なっていると感じ、さらに深く学びたいという気持ちを抱きました。
そこで、3・4年次ではドイツ演劇について研究する高橋ゼミに所属し、ドイツの代表的な劇作家ハイナー・ミュラー作の『カルテット』を2年かけて研究しました。万人受けするミュージカルのような商業演劇にばかり親しんできた私は、ミュラーの舞台のような変わった演出の科白劇に馴染めず、最初のうちは理解するのに大変苦労しました。ですが『カルテット』と同じく小説『危険な関係』(ラクロ作)が原作の宝塚作品『仮面のロマネスク』と比較しながら、「女性像」にテーマを絞って研究を進めた結果、卒業研究を終えた時にはミュラーの演出を理解できるようになっていました。どんな舞台でも、演出に込められた意味を多角的な視点から考察して鑑賞するスキルが身に就いた2年間でした。
この4年間で、様々なことを学びました。単なる知識だけでなく、「ドイツ」を通して自分の好きなことを研究することができ、充実した大学生活だったと感じています。一口にドイツと言っても、その事柄は様々です。皆さんもぜひいろいろな入り口から、ドイツ文化の世界に足を踏み入れてみてください。

ドイツ語文学文化専攻4年 橋本美桜 (2024)

学べることへの感謝/青木萌夏

私は中央大学ドイツ語文学文化専攻で4年間学び、多くの知識と経験を得ました。中でも、自分にとって初めての経験だったのは、研究をするということです。

私は、専攻で学べる多くの分野の中で、言語学に興味を持ちました。きっかけは1年次に受けた独文基礎演習という授業です。独文基礎演習では、ドイツに関する各学問分野の基礎を学びます。その上で、3年次には、各分野に分かれたゼミを選択します。基礎演習の言語学の授業で、私は私自身が普段何気なく使っている“ことば”について意外と知らないことを再確認し、当たり前のことに疑問を持ち、自らが言語と向き合って得たデータから様々な可能性を提示できる言語学の面白さに惹かれました。

3年生から所属した言語学ゼミの個人研究では、日本語からドイツ語に翻訳された漫画で、異文化要素がどう翻訳されているかを研究しました。この研究を通して、原作が日本語の漫画翻訳には、日本の文化に魅力を感じている読者が想定されている可能性を提示しました。この研究ではドイツ語や翻訳漫画のことを分析・考察しましたが、併せて海外の視点から見た日本の魅力も知ることができました。

言語学ゼミの教授であり、私の卒論執筆を指導してくださった林明子先生には、“自らが持った疑問はどんなものでも大事にし、後の自分のための記録をたくさん残す癖をつけること”をご教示いただきました。この姿勢の大切さは研究に限った話ではなく、「自分はどう考えたのか」を客観的に、そして冷静に見ることができるので、多くの場面で活きてくるものだと思いました。今後もこの姿勢を大切にし、何事にも興味や疑問を持てる豊かな人間でありたいと思います。

今回在学生便りの執筆の機会をいただき、小学校の卒業文集で「感謝」というタイトルで作文を書いたことを思い出しました。その作文では、学べることは当たり前でなく、先生や家族や友達など、周りにいる多くの人のおかげで私は学べていると書きました。この考えは、16年間の学生生活を終えようとしている今でも変わらずにいます。

私が学ぶことができたのは、林明子先生をはじめとした先生方、大学職員の方々、友達、家族のおかげです。ありがとうございました。

ドイツ語文学文化専攻4年 青木萌夏(2022)

4年間の悔しさと成長/品澤秀太

私の大学生活は、目標と興味が変化し続ける(変化し続けざるを得ない)4年間でした。

もともと私は金融系の仕事に就きたいという思いのもと大学選びを行っていました。しかし、学生最後の学びとして、自分が全く知らない分野について勉強してみたいという興味から、ドイツ語文学文化専攻に入学することを決意しました。

1年次は、ドイツ留学を目標に、ドイツ語の勉強に力を入れました。ドイツ語を全く知らない状態からのスタートでしたが、先生方が親身になって教えてくださり、ドイツ語検定試験であるGoethe-ZertifikatのA1レベルまでドイツ語が上達しました。また一方で、簿記検定試験の勉強も行ったり、バレーボールサークルにも力を入れるなど、充実した大学生活を送っていました。

しかし、新型コロナウイルスの発生により、大学生活におけるプランが全て崩されました。ドイツ留学の目標も諦めなければならず、2年次は何を目標に勉強すればいいのかわからなくなってしまった時期でもあります。そこで、自分の興味を広げるために、ドイツ語以外にも様々な分野(西洋史、音楽、映画、文化人類学など)の勉強を行いました。結果として、この時期にドイツにとらわれない勉強を行ったことは、その後の学修に向けて視野を広げる良い機会となりました。

3年次からは、ゼミ演習に力を入れました。1、2年次の勉強を通して、ドイツの戦後の歴史に興味を持ったため、ドイツ近現代史のゼミに入りました。その中で、特にドイツの環境政策について興味を持ちました。ドイツは環境先進国と言われ、再生可能エネルギー普及の早さにおいて注目されていることを知りました。そこで、ゼミ論文ではドイツが反原発の立場になった歴史を明らかにしていきました。

さらに、4年次では3年次からの勉強に関連し、環境先進国と呼ばれるドイツでさえ、まだ解決に⾄っていない「放射性廃棄物最終処分場問題」について研究しました。戦後の原子力をめぐる政府と市民の反応の歴史から、これまでの放射性廃棄物処理場や、反対運動に着目し、この問題について明らかにしました。

大学生活で留学に行けなかったことはとても悔しいですが、目標を変えながら、たくさんの学びを得ることができました。また、自分の目標に向かって一直線ではなく、色々な方向に理解と視野を広げることで、常にたくさんの興味を持つようになりました。卒業後は、もともと志望していた金融系の会社で勤務予定です。4年間の大学生活で、興味だけに留まらず、その興味に対し行動を起こせる人へと成長できたと思います。

ドイツ語文学文化専攻4年 品澤秀太(2022)

「文学」のその先を考える/早稲田友花

私は幼い頃から読書が好きで、高校生の頃の「現代文」の授業で一つの文の意味が何通りにも解釈できるということに感銘を受けました。そこから、人の思想やそれを形にする文学の手法について学びたいと思い、大学でも文学部を志しました。その中でもドイツ文学を専攻した理由は、幼い頃ドイツに住んでいた経験があり、ドイツ語にも馴染みがあったためです。

大学生活の4年間では、入学時の希望通り、ドイツ文学の研究に携われたことが一番の喜びです。1,2年次に学んだドイツ語や歴史学、言語学などの知識を活用し、より多角的な視点から研究ができたと感じます。3,4年次のゼミ演習では羽根礼華准教授に大変お世話になり、一つの作品ごとに学生が自らそれを読み解くための問いを設定し、議論を交わすといった活動的な学習をすることができました。ゼミ論文・卒業論文では、クリスタ・ヴォルフやエルフリーデ・イェリネクといった女性作家の作品を研究対象とし、作中で為されている社会批判について明らかにするという研究を行いました。

学習と研究を進める上で強く感じたことは、「文学を分析することで社会的事象の本質にせまることができる」ということです。ドイツは、ヒトラーによる支配や東西分裂など、世界史の中でも大きな出来事を経験している国です。同時代に書かれた作品や同じような境遇の作家が書いたドイツ文学を比較してみると、そこには作家達が見ていた社会の類似性や共通点が浮き彫りとなり、ニュースや歴史的事実だけでは分からない実際に起こっていた出来事の輪郭を捉えることができます。

まれに、文学研究に触れたことのない友人から「文学を研究してどんな意味があるのか。」という質問をされることがあります。高校生の頃の私なら、この問いに沈黙してしまったかもしれません。しかし今なら、「数値や情報だけでは分からない人間社会の本質にせまり、日々変化する社会において必要な価値観や考え方を発展させるためだ。」と自分なりに答えることができます。

ただ本を読むことが好きだった私がここまで文学研究の意義を考え、積極的に学習に取り組むことができたのは、独文研究室をはじめ、充実した授業を提供してくださったドイツ語文学文化専攻の先生方のおかげです。社会に出てからも、この4年間で得た「モノの見方、考え方」を生かし、日々精進していきます。

ドイツ語文学文化専攻4年 早稲田友花(2022)

ドイツ留学/漆原萌

私の大学生活における大きな出来事はドイツへの留学である。私が初めてドイツに渡ったのは大学1年生の春休みであった。とある授業で先生からミュンスターに1ヶ月留学するプログラムがあると紹介された。ミュンスターという街は聞いたこともなく、ドイツ語もできなかったが、ドイツに行きたいという一心ですぐに申し込みをしたことをよく覚えている。同じ学年の友達5人と共にミュンスターで過ごした時間は今まで経験したことがないくらい充実していた。午前中は語学学校の授業を受けて、午後はミュンスターを探索した。ミュンスターは治安が良く、程よい大きさの街であるため大変過ごしやすかった。私のオススメはAaseeと呼ばれる湖である。街の真ん中に位置していて、週末になると川辺でダンスを踊ったりビールを飲んだりと、人々が集まって自由に過ごしているのが非常に印象的であった。滞在中はドイツ人の家族とエクアドル人の留学生が住む家にホームステイした。当時の私のドイツ語能力は大変低く、ドイツ人の家族とドイツ語で会話することは不可能であったため、拙い英語でなんとかコミュニケーションを取っていた。大学でドイツ語を学んでいるにもかかわらず、ドイツ語でコミュニケーションを取れないことがすごく悔しく、ホストマザーにまたドイツに戻ってくるから家に泊めてくれと交渉して帰国した。

そして帰国してから4ヶ月後、大学2年生の8月から約半年間ミュンスターに語学留学した。留学は楽しいものであると勝手に思っていたが、実際は辛いことの方が多い。ドイツ語で自分の満足がいくコミュニケーションを取ることは簡単ではなかった。そんな中でもミュンスター大学のサークルに参加してみたり、アルバイト(ワーキングホリデービザであったため就労が可能であった)をしてみたりした。ミュンスター大学のサークルでは日本語を学びたいドイツ人とドイツ語を学びたい日本人が集まってゲームなどをした。アルバイトではドイツ語が拙すぎてクビを切られるなど、苦い経験もした。そんな経験も含めてやはりドイツの虜になってしまった私は、大学4年生でまたドイツに留学することを決意した。

大学3年生の頃からドイツの色々な大学にメールを送り、なんとかブレーメン大学から留学内諾を貰った。しかしコロナの流行により、留学予定日の2日前に日本からヨーロッパへの渡航が禁止されてしまった。半年遅れでドイツになんとか入国することができたものの、大学の授業は全てオンラインで行われ、スーパーや薬局以外の店は営業していなかった。そのような状況でも友達を作ることができ、毎週末ドイツ人の友達と家で料理をしたり、天気の良い日に散歩をしたりした。

短期留学は友達と一緒に留学し、毎日が新鮮ですごく楽しく、1ヶ月が一瞬で過ぎた。しかし長期留学は、日々の生活をずっとドイツ語で過ごさねばならないうえに、日本の友達や食事が恋しくなってしまい、毎日が楽しかったとは言えない。それでもドイツで経験した全てのことは、今の自分に大きく影響している。

高校から大学へ進学した時に、自分が想像もしていなかったような人々と出会い衝撃を受けた。ドイツへの留学はその何倍もの衝撃が日々絶え間なく続くような感覚であった。たった半年ではあったが、自分の考え方が大きく変わった。自分が頑張りたいと思えるものに出会えたこと、頑張りたいことを頑張れる環境は非常に貴重だと思う。今後も自分のやりたいことに全力で向き合っていきたい。

ドイツ語文学文化専攻5年 漆原萌(2021)

一生成長させていける知識/齊木怜仁

私は、「もし外国語を話すことができたらかっこいい!」という強くも漠然とした気持ちからドイツ語文学文化専攻に入学しました。大学入学まで英語以外の外国語に触れた機会がなかったため、1年次は新しい言語に戸惑ったり、コミュニケーションがうまくいかないことも多くありました。2年次からはドイツ語以外にもより専門的な学習をおこない、少しずつ知識を付けるなかで一番興味を持った演劇学を専攻し、高橋慎也教授のもとでたくさんの学びを得ました。中でも、卒業論文で扱ったフランツ・カフカ原作『審判』のアンドレアス・クリーゲンブルク演出については特別、熱を入れて学んだことが印象に残っています。3、4年次は新型コロナウイルスの影響もあり、オンラインでの授業となりましたが、ゼミ演習を中心として多角的にドイツに関して学ぶことができました。

大学生活の中で何度も思ったことが一つあります。それは、興味のある学問を好きなだけ学ぶことができる環境が整っていることのありがたさです。独文専攻には十分に学ぶことができる施設はもちろんのこと、学生の興味や疑問に全力で答えてくださる教員やともに考えることができる友人など、自分の個性を伸ばしながら学習ができる環境が整っています。もし、高校生に戻ってもう一度、大学を選択することができるとしても、私は中央大学の独文専攻を選択する、と自信を持って言えます。

卒業後は国家公務員として省庁に勤務をすることになっています。海外の方と関わる業務が多くあるので大学での学びは十分に活かしていけると考えています。学んだことを「知っているだけ」で終わらせることなく、実社会で用いていくことができる、これは本当にうれしいことだと思っています。社会に出るという意味ではもう一度、1年生からのスタートとなりますが、大学での学びを社会での経験と絡めながら、さらに成長させていけるようにこれからも精進していきます。

ドイツ語文学文化専攻4年 齊木怜仁(2021)

二度の留学/藤井はづき

五年間の大学生活の中で最も成長できたのはドイツへの二度の留学である。

私は大学三年次に交換留学で初めてベルリンを訪れた。それまでは大学で言語、文化、歴史など多方面からドイツについて学んできたが、直接触れるドイツ語やドイツの文化は自ら行動する楽しさを教えてくれた。特に日本語学科の学生とタンデムを通じてお互いの母語を学び合う機会が多かったことから、「日本語とドイツ語の比較」や「言語学習」に対する興味を抱いた。その為、コロナで留学が中断された後、卒業論文では「日本語とドイツ語の敬意表現の差異」を専門的に研究した。具体的にはアニメの日本語とドイツ語の字幕を言語学の視点から考察し、日本語の敬語がドイツ語ではどのように表現されているかを分析した。また、個人的な活動として日本で働くために来日した外国人に対する日本語学習のボランティアに参加した。そこでは、試行錯誤しつつ、実際に日本語が全く分からない生徒に対して「やさしい日本語」を用いながら教えることを学んだ。このように日本にいながら留学で培った行動力や追求心を活かして活動することができた。

しかし、現地でドイツ語学習や生活をしたいという想いを忘れることができず再度留学に挑んだ。前回の留学では、日本語を勉強している外国人や日本人の留学生と過ごすなど、常に日本語が付きまとう環境にいたことを反省していた。その為、二回目の留学では自らドイツ語だけの環境に身を置くことを意識し、行動した。特にドイツ語のクラスでは積極的に発言することや、休憩時間なども他の生徒とドイツ語で会話することで互いにモチベーションを高めた。また、大学で出会った友人や、タンデムを通じて知り合った友人などとクリスマスや新年などのイベントを共に過ごすことでドイツ特有の文化を学ぶことができた。このように前回の留学と比べ、実際のドイツ生活を味わうことができ、多角的な視点で物事を観察できるようになった。

以上のように、二度の留学は自身の思考や行動にプラスの影響をもたらした。独文で様々な機会を得るチャンスがあったことに感謝している。

ドイツ語文学文化専攻5年 藤井はづき(2021)

4年間の選択と学び/冨田まこ

大学での4年間を振り返ると、初めの2年は語学とそのステップアップに、後の2年は自分の特に学びたいことを選択して深く追求する生活でした。ドイツ語文学文化専攻では多様な学問に触れることができ、それぞれ専門のゼミが存在します。各分野では研究の仕方からレポートの書き方まで大きく違い、ゼミ選択前の2年次に各分野の授業を履修することで向き不向きを知ることができたのは良かったと思います。実際私はドイツの歴史が好きでこの専攻に入りましたが、レポートの書き方などが歴史学とは合わず、より自分に合った演劇学のゼミを選択しました。

私は新しいことを知るのが好きで、大学生活では多くの授業が目新しく大変学びになりましたが、特に物事を多角的な視点で分析することが楽しく、多くの授業で学んだことをゼミ活動や卒業研究に生かすことができました。例えば3年次に履修した倫理や宗教に関する授業では日本における魂の扱いや神とされるものについて学び、それによって演劇学ゼミで扱われた演劇における振付と霊的存在の関連性について日本とドイツの違いを考察することができました。

学習以外の点で得られた学びもあります。ネイティブの先生方は授業で学生が無反応であることを厭うとおっしゃっていたので、楽しく授業が進むためには発言を恐れないことが一番の近道でした。内容が理解できないときはその旨をお伝えすることで、より円滑な授業が望めました。またゼミでのディスカッションや卒業研究指導の教授との面談においても、全力でぶつかれば先輩や友人、教授からアドバイスを多く受けることができました。結果的にそれは卒業研究の精度を大きく向上させるに至りました。ここで得られた積極性はアルバイトなどの日常生活でも役立ちました。

ドイツ語文学文化専攻ではドイツと日本の関係について学ぶ授業があり、両国を比較しながら理解することが可能です。またドイツ語の文法について理解すれば他の欧州言語についても手掛かりになるでしょう。多くのことを積極的に学び、関連付けて習得することで集大成となる卒業論文や卒業研究を納得のいく形に仕上げることや、自分自身を成長させることもできると思います。私は多くを学び、様々なアドバイスをもらうことによって卒業研究を良い形で残せました。皆さんも大学生活をぜひ謳歌してください。

ドイツ語文学文化専攻4年 冨田まこ(2020)

充実した4年間/梶原理史

私は他の多くの学生と同じく、大学に入学するまでドイツ語に触れたことのなかった学生でした。しかしせっかくドイツ語、ドイツ文化を学ぶ機会が増えるのだから、長期の交換留学に挑戦しようと考え、そこに向け学習を始めました。

1・2年次は、留学の目標を達成するためにドイツ語で行われるゼミ形式の授業に積極的に参加しました。また、ドイツ語学習のモチベーションを保つために大学で実施されるドイツ語検定試験(Goethe-Zertifikat)にも取り組みました。一方で大学のジャズビッグバンドでの活動を行うなど、独文以外での学生生活にも力を注ぎました。

3年次の後期からは、念願だったベルリン自由大学というところに長期留学をしました。自分は文学を専攻しているので、特に人文学の分野に力を入れているこの大学を選びました。新型コロナウイルスの影響で、留学を半年で中断して帰国せざるを得ない状況になったのはとても残念でしたが、実際に現地で今まで学習してきたドイツ語を活かせたこと、日本とは異なった環境で生活できたことはとても良い経験となりました。

一口に独文専攻といっても、中大の独文で学べる事は多岐に渡ります。私は結果的には、文学に関心を持ち、卒業論文でもヘルタ・ミュラーの『澱み』における自己と共同体の関係について執筆しましたが、ドイツ文学のみならず、ドイツの歴史や演劇・オペラ、絵画、ドイツ語そのものについても広く学ぶことができ、それぞれで学んだことが自分の研究分野で活きてくることがたくさんあったと思います。また、ゼミ演習などでは多くの学生と意見を交わしながら作品について論じる機会があり、自分にはない新たな視点を得ることが出来ました。

私は卒業後、さらに学びを深めるために中央大学大学院に進学する予定ですが、これまでの充実した大学4年間の学生生活を超えるように励んでいきたいと思います。

ドイツ語文学文化専攻4年 梶原理史(2020)

行動力次第/増田凪紗

新しい言語を学びたいという思いから、私はドイツ語文学文化専攻を進学先に選びました。地元である栃木県・旧石橋町がドイツの地方都市と姉妹都市協定を結んでいたということも、この専攻を選ぶ後押しとなりました。

入学後は、ゼロからドイツ語の学習が始まりました。学びたかったこととはいえ、新しい言語を習得するのは簡単なことではありません。そこで私は少しでもドイツ語を向上させるため、4年間で多くのことにチャレンジしました。ここでは、2つの試みについて書きたいと思います。

試みの1つ目、それはGoethe-Institutによるドイツ語検定試験(Goethe-Zertifikat)を受けることです。私はこの検定試験に1年次と3年次の冬に挑戦し、無事に合格する事ができました。お陰様で、この2つの結果について表彰もしていただきました。試験を受けるのは任意ですが、勉強における中間目標を設定できたという点では受験して正解だったと感じています。

3年次には、ドイツ・テュービンゲンへの短期留学プログラムにも参加しました。これも私にとっては大きなチャレンジの1つでした。留学先は当然ながらほとんど日本語を使えない環境のため、辛く感じることも多々ありました。しかしその分学習への意欲も湧き、留学ならではの経験ができたと満足しています。

こうした活動には、いつも中央大学、ないし独文専攻によるサポートがありました。検定試験に際しては、独文主催の勉強会にも参加させてもらいましたし、短期留学は大学のプログラムを活用させてもらいました。

このように、私たちは支えてくれる体制に恵まれています。あとは自分がチャレンジするかどうか。自分の行動力次第で、4年間の充実度が変わってくるのです。

中央大学のユニバーシティ・メッセージ「行動する知性」に則り、後悔のない大学生活を送っていただければと思います。

ドイツ語文学文化専攻4年 増田凪紗(2019)

言語学と向き合った5年間/澄川遥香

私は大学生活で、留学やドイツ語の資格習得に加え、言語学ゼミでの研究にも力を入れました。言語学の授業で、映画「グッバイ、レーニン!」のセリフから、当時の東ドイツで話されていたドイツ語が、東ドイツの社会情勢を色濃く反映していたことを知り、言語と社会の繋がりに興味を持ったことがきっかけです。

3年次にテュービンゲン大学に留学した際には、ドイツ学科の言語学に関する授業だけではなく、日本学科で行われている言語学の授業にも参加しました。特に、私の発表担当だった論文は、日本の漫画に使われているアイコンを、意味を持つ最小の言語的単位である「形態素」に例えて、少年漫画・少女漫画ごとに現れる傾向を比較したものです。言語以外のものを言語学に当てはめて分析するという、興味深い内容でした。また現地での生活を通して、ドイツ南部で話されている方言「シュヴァーベン語」(Schwäbisch)や隣国のスイスで話されている「スイスドイツ語」(Schweizerdeutsch)に初めて触れ、ドイツ語の言語変種に興味を持ち始めました。

卒業論文では、「標準ドイツ語」(Hochdeutsch)と「スイスドイツ語」(Schweizerdeutsch)の両方を用いている映画 „Heidi“ に興味を持ち、言語変種をテーマに執筆することを決めました。しかし、卒業論文を書くときには、面白いことに、論文を最終的に書き終えるまで、どのような内容に仕上がるのか、本人にもあまり予測がつきません。例えば、言語学分野の場合、作品の分析を進めていくうちに、思いがけないテーマにおいても新しい発見があることから、最終的には、最初に思っていたものと、全く違うものになることもあるのです。

私はセリフを分析していくうちに、作品中に見られる「様々な叱り方」に興味を持ち始めました。ロッテンマイヤーがハイジを叱る際には、軍隊のような命令口調を用いたり、ハイジを犯罪者のように見立てながら極めて厳しく叱るのに対して、雇い主の娘であるクララには叱る場合にも丁寧さを欠かさないという、大きな違いに気付いたからです。そして最終的に、「ドイツ語において、発話の厳しさを調節する、様々な手法を明らかにすること」を研究目的に執筆しました。指導教授である林明子先生が、毎回オフィスアワーで私に徹底的に向き合ってくださり、先生と活発な議論ができたからこそ、細かく分析をすることができました。

最後に、独文の後輩に私が伝えたいことは、「実際にドイツに足を運んでほしい」ということです。「習いたてのドイツ語」で見えてくるドイツは、とても新鮮です。ドイツ語ができるからこそ、他の専攻の学生とは違う世界が見えるはずです。旅行で行くのもよいですが、中央大学では長期留学以外にも、短期留学のプログラムや文学部学外活動応援奨学金など、様々な方法でドイツに行くことができます。是非、その機会を利用して自分の世界を広げてみてください。

ドイツ語文学文化専攻5年 澄川遥香(2018)

4年間で得た自信/菊川美雪

私は、文学だけではなく歴史や言語学など、さまざまな学問を通してドイツ語圏の国々ついて学べることに魅力を感じ、ドイツ語文学文化専攻に入学しました。

実際に授業を受けると、異なる授業の中で同じ作品を取り上げることもあります。学問の分野や視点によって作品の解釈が変わるのは非常に勉強になりました。3年次からは高橋慎也先生のゼミに所属し、主に舞台芸術についての解釈と議論を行っていました。仲間とのディスカッションを通し、情報をインプットとアウトプットする技術が鍛えられました。卒業研究では『魔法少女まどか☆マギカ』というアニメーション作品について取り扱いました。ゲーテの『ファウスト』の一節が引用されて以降、関連性がインターネット上で話題になっていた作品です。研究では引用の妥当性や演出意図に着目し、分析しました。オタク気質なスタッフとファンに支えられている作品なだけに、情報量の多さに圧倒されましたが、ドイツ語圏についてしっかり学んできたからこその立ち位置から、執筆ができたと手応えを感じています。

スポーツについてもしっかりと学習したかった私は、FLP(ファカルティリンケージ・プログラム)内のスポーツ・健康科学プログラムにも所属しました。所属ゼミでは主にスポーツ心理学とスポーツ振興について取り扱っており、私は選手のモチベーションを上げるためのビデオの制作等を担っていました。昨年の箱根駅伝予選会から、陸上競技部長距離ブロックの選手たちに提供するビデオの編集を担当したことは、私の大きな自慢と自信になりました。

この4年間、素敵な学友と先生に恵まれ、好きなものを突き詰める楽しさを味わいながら勉学に励むことができました。私は4月からスポーツトレーナーを目指し進学しますが、大学での経験がなければ決断できないことでした。大学で改めて感じた勉強する楽しさを忘れず、常に上を目指せる人間であれるよう努力したいと思います。

ドイツ語文学文化専攻4年 菊川美雪(2017)

学びの挑戦/小土井楓乃

振り返ってみると、大学での4年間で想像もしていなかった体験がたくさんできたのだなと改めて思います。入学した当時、ドイツ語は全く学んでいなかったので不安に思っていました。ドイツについての知識もあまりなかったので、これから自分がどんなふうに勉強や研究をしていくのか全くわかりませんでした。

ドイツ語文学文化専攻では、とにかくたくさんの、多様な学び方があります。私はドイツについて幅広く学ぶために2つの挑戦をしました。

1つは留学です。私は3年の夏、ドイツのテュービンゲンへの短期留学に参加しました。自分の学力にあったクラスに振り分けられ、そこで様々な国のクラスメイトとドイツ語を勉強しました。午前中は授業、午後はチューターの指導のもと歌や遊びを通してドイツ語を学ぶチュートリアルが行われました。そこで学んだことをその日のうちに街で活かせたのはとても貴重な経験でした。また、夕方や夜にも自由参加のレッスンがあり、好きな時に好きなものを選ぶことができました。その内容はたくさんあり、ドイツ語の討論や文章作成といったものもあれば、ドイツの歌を歌ったりブレッツェル(ドイツのパン)を作るといったものもありました。クラスメイトと川のそばのレストランでドイツのビールや伝統料理を楽しんだことは今でも鮮明に記憶に残っています。

もう1つは、大学院の授業を受けることです。学部生でも、教授の許可があれば大学院の授業を受けることができます。私は言語学のゼミに入っており、もっと深く学びたいと思い挑戦することにしました。また、大学院生のコロキウムにも参加しました。内容は難しくても、問題の解決方法など大変参考になりましたし、発表の方法や質問に対する答え方などゼミでも使えるワザをたくさん得ました。自分の研究テーマについて先生や先輩方に意見を聞くこともできました。

この4年間、とても充実した時間を過ごしました。出会ったすべての人に感謝しています。もし、ドイツに興味がある、ドイツのことを学んでみたいという方がいらっしゃれば、自分にあった学び方がここにはあると思います。ぜひドイツ語文学文化専攻で自分の世界を広げていただきたいと思います。

ドイツ語文学文化専攻4年 小土井楓乃(2017)

自分の課題ファイルを見返して/石川綾音

私はこの専攻に身を置き、興味の趣くままに学ぶことができてとても幸せでした。

独文専攻の魅力の一つに、幅広い分野を学べるという点が挙げられると思います。ドイツ語圏の事柄という大枠の中で、文学、歴史学、現代社会学論、言語学などを学ぶことができます。私は元々小説が好きでドイツ語読解や文学の授業を比較的多く選択してきましたが、歴史や文化にも興味があり、さまざまな授業を受けました。たとえば歴史学そのものについて考えたことは大切な経験でした。また同じ分野の中でも取り扱う内容は多様です。私が4年間に提出した課題を保存したファイルには統一性のないテーマの論文が詰まっています。しかし不思議なことに、それぞれで得た知識や考察したことが予期せずほかのテーマにもつながっていく、ということがしばしばありました。知れば知るほど、たとえそれらが一見関連性のない内容に思えたとしても、物事がよく見えるようになるのだと感じます。三年生までの経験はすべて卒業論文にも活きたと思います。

卒業論文はエーリヒ・ケストナーの児童文学作品四つ(『エーミールと探偵たち』、『点子ちゃんとアントン』、『飛ぶ教室』、『ふたりのロッテ』)と長編小説(『ファービアン』)を研究対象とし、『ケストナー作品における登場人物の家庭外での相互理解関係』という題目で執筆しました。分析のために作品を読む時も、自らの考えを文字に起こす時も、文章や言葉を丁寧に扱うことを心がけました。これは私が二年生になって本格的にドイツ語を日本語に訳し始めた頃から常に気をつけてきたことです。ものを書くことは密かな夢だったので、卒業論文という形を残せたことを嬉しく思います。

独文ではよき友に恵まれました。授業の前後にその内容について、またはまったく別のことについてお喋りしたことは忘れないでしょう。そして素敵な先生方に出会うこともできました。お世話になった先生方の語り口は忘れないでしょう。大切な方々からいただいたものを、私自身もいずれ周りへ返すことができるように生きていきたいと思います。

ドイツ語文学文化専攻4年 石川綾音(2016)