西洋史学専攻

「特色ある学部教育-エジプト学特別講義-」の報告

2026年04月09日

 古代オリエント博物館研究員の田澤恵子氏による「古代エジプトの『洪水神話』と女神の変容」についての講演会が、2025年12月8日に多摩キャンパス 3354 教室にて開催しました。講演では、神話の定義と機能についての導入、世界各地の様々な時代の洪水神話(古代メソポタミア、旧約聖書、古代ギリシア、古代インドなど)の紹介の後
に、古代エジプトの「人類滅亡の物語」のあらすじが提示された:(1)「ラー神は血のように赤いビールを一晩で大量に作らせ、大地に撒いた」、(2)「ハトホル=セクメト女神はこの赤い液体を喜び、それを飲み干した」、(3)「女神は泥酔し、人類を滅ぼすというミッションを忘れた」。この物語は、(1)洪水の到来、(2)洪水の後退、(3)人類の滅亡回避というように、突然襲った洪水から人類が滅亡を免れるという典型的な「洪水神話」のパターンを共有していること、さらに、主人公の女神、ハトホル=セクメトの変容については、ハトホル女神とセクメト女神の特質や機能を踏まえた上で、神話学よりの解釈と、宗教学よりの解釈が可能であることを学んだ。