中国言語文化専攻

中国言語文化専攻主催講演会「文革、留学、ショパコンだって~中国語ができてよかった♪」を開催しました

2022年07月04日

写真:中国人ピアニストの草分けフー・ツォン(傅聰)との出会いが、榎本泰子教授との縁につながったことを紹介する森岡葉さん。榎本教授はフー・ツォンの父、フー・レイの書簡集『傅雷家書』の翻訳(『君よ弦外の音を聴け ピアニストの息子に宛てた父の手紙』樹花舎、2004年)を手がけた。

 2022年6月20日4限、音楽ジャーナリストの森岡葉さんをお迎えして、講演会「文革、留学、ショパコンだって~中国語ができてよかった♪」を開催しました。中国言語文化専攻では半期に一度、中国に関わる仕事をしている方をお招きして、中国の文化や社会についてお話を聞いています。コロナ禍ではオンライン開催でしたが、教室での講演会は久しぶりとあって、約100名の学生が集まる盛況でした。


 森岡さんは1972年の日中国交回復後、新聞記者として派遣された父親と共に、文化大革命末期の北京に滞在しました。北京大学と北京語言学院(現・北京語言大学)で学びながら、当時の中国の若者と同様、農村で労働した経験も持っています。帰国後、日中経済協会での勤務や、エレクトーン奏者としての活動のあと、ピアノを中心とする音楽ジャーナリズムの世界に進出しました。欧米語中心の音楽界では中国語ができる人材は貴重で、1990年代以降は中国人演奏家の台頭もあり、中国語でインタビューできるライターとして多くの演奏家に取材してきました。


 2021年10月の第18回ショパン国際ピアノコンクールでは、ワルシャワに一か月アパートを借りて滞在し、演奏家の活躍を見守りました。講演会で披露された写真の中には、優勝者のブルース・リウ(劉曉禹)や、入賞した反田恭平・小林愛実の両氏らと親しく交流する森岡さんの生き生きとした姿が映し出されており、ピアノファンには羨ましい限りでした。


 「ピアノが好きで、もっとピアノを知りたいという気持ちが、40歳を過ぎてからのライターの仕事を支えてくれた。すべては自分の強い気持ち、好奇心と興味にかかっている」という森岡さんの力強い言葉は、中国語を学び始めたばかりの学生の胸に大きく響きました。